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嘉手納基地や普天間基地周辺で河川や地下水の汚染を引き起こしている有機フッ素化合物PFAS。アメリカで、PFASの被害者を支援し、巨大企業と戦った弁護士がQABの単独インタビューに答えました。

現在、桜坂劇場で上映されている映画「ダーク・ウォーターズ」。一人の弁護士が巨大企業の隠ぺいを暴く戦いの物語。

この映画で、マーク・ラファロさんが演じる正義感あふれる弁護士は、実在の人物でした。

ビロットさん「弁護士のロバート・ビロットです。アメリカで23年ほど、PFASと呼ばれる化学物質にさらされた人たちを助けるために取り組んできました」

ビロットさんが挑んできたのは、沖縄でも水源を汚染しているとして問題になっている有機フッ素化合物PFAS。物語では、巨大企業が隠してきたPFASによる環境汚染の実態を明らかにするため、奮闘するビロットさんの姿が描かれています。

「汚染された水を飲んだら?飲む?タイヤを食べるのと同じだ」

ビロットさん「1998年、一人の男性から電話があり、農場で牛が死んでいる、助けてほしいと言われました」「彼のビデオテープや写真には、白い泡が小川に流れているのがうつっていました」

ビロットさん「明らかに、埋め立て処分場から流れていました。所有者は世界最大規模の化学メーカー・デュポンです」「牛は歯が黒く、やせ細って、骨と皮になっていました。腫瘍ができた牛、突然死した牛もいました」

映画「ダーク・ウォーターズ」モデルのビロット弁護士が語る

しかし巨大企業に責任を認めさせるのは一筋縄ではいきませんでした。

「目の当たりにしたのは、あまりにも暗くて深い闇」

ビロットさん「7000トンもの、PFOAが含まれた汚泥が、工場から埋め立て処分場に運ばれていたことが判明しました。大量のPFOAが運びこまれていた。なぜならPFOAは規制されていなかったのです」

さらにビロットさんは、独立の科学者委員会を作り、大規模な住民の健康調査を実施。この化学物質が複数の病気と関係していることを突き止めました。

映画「ダーク・ウォーターズ」モデルのビロット弁護士が語る

ビロットさん「調査したデータから、第三者の科学者委員会は、6つの深刻な病気と関係していることを確認しました」「精巣ガン、腎臓ガン、潰瘍性大腸炎、甲状腺疾患、妊娠高血圧腎症、高コレステロールです」

ビロットさんは、同じ問題に直面している沖縄の人々にこう語ります。

ビロットさん「これはウェストバージニア州の一つの農場に限った問題ではありません」「最近、日本、沖縄でも、アメリカ軍基地近くの水から同じ化学物質が見つかったことを知りました」「これらは消火剤などに含まれていたもので、アメリカ軍が基地の外で、世界中の作戦で使用してきたもので」「アメリカ軍はこの数年、アメリカでサンプルを採取し、PFASの調査にのりだしました」「調査の結果、PFASが飲料水に入り込んでいることが確認されたのです」

映画「ダーク・ウォーターズ」モデルのビロット弁護士が語る

「どれだけのものを失えば、真実に光を当てられるのか」

「彼は負けない」

「これはあなたにも起こりうる物語」

「ダークウォーターズ。巨大企業が恐れた男」

ビロットさんは2000年代初めに地域の住民たちとともに巨大企業を相手に集団訴訟を起こしました。当時はまだ、PFASという化学物質の存在がほとんど知られていない時代だったんですね。

いま沖縄でも同じPFASによる水源汚染が深刻になっています。アメリカ軍は汚染源だとは認めていませんし沖縄県が求める立ち入り調査も実現できていません。

こうした環境汚染にどう挑んでいくか、この映画からヒントがもらえるかもしれません。

映画「ダーク・ウォーターズ」は今月11日まで桜坂劇場で上映されています。


 映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』公式サイト