住み慣れた地域で高齢者たちが交流する「地域ふれあいデイサービス」。公民館や集会所などで実施されていますが、去年3月以降、新型コロナの感染拡大防止のために、その多くが活動を休止しています。外出や友人と会う機会が減ったことで、サービスを利用していたお年寄りたちに、ある深刻な変化が生じていました。

渡嘉敷俊子さん(91歳)「もう一番の楽しみでした。話も面白いし歌も面白いし、昔の歌ぐわぁーでしょ、だから自分たちが子どもの時代を思い出しながら、歌ぐわぁー歌って」

那覇市に暮らす渡嘉敷俊子さん、去年3月に地域のふれあいデイサービスが休止してから、外出する機会がほとんどなくなりました。1日の大半を、窓の外を眺めたり、テレビを見て過ごしています。

コロナ禍のデイサービス 地域の高齢者つなぐ現場は

渡嘉敷俊子さん「この曜日と日にちを全然忘れるんですよ。なぜか知らないけど。これだけはどうにもなりませんね。今はテレビも鑑賞できるけど、前までは、なんで私生きているのかねって思ったりした時ありましたよ。」

1人暮らしをしていた渡嘉敷さんは、友人たちに会えない日々が続くなかで、気持ちがふさぎ込むようになっていきました。

渡嘉敷俊子さん「死を考える。なんで私はこんなにしているのかねーって、テレビを見ていても頭は動いてないの。ただ見ているだけ。これ悟ったときは怖くなりましたよ。」

その様子を心配して、娘が本土から沖縄に戻り、ひと月ほど前から同居するようになりましたが、それでも渡嘉敷さんは、デイサービスの再開を心待ちにしています。

渡嘉敷俊子さん「さびしいよ。だから、1週間に何日か、2日でも3日でもね、毎日じゃなくても行って話ぐわぁーできる、それが一番ほしいです。みんなとゆんたくする。」

渡嘉敷さんが通っていた「地域ふれあいデイサービス」は、65歳以上の人が、週1回、地元の公民館や集会所に集まり、およそ2時間、体操などのレクリエーションやおしゃべりを楽しむものです。

コロナ禍のデイサービス 地域の高齢者つなぐ現場は

那覇市では、1998年に事業がスタートし、現在、市内126カ所で展開。およそ4000人の高齢者が利用しています。そのひとつ、那覇市安謝の会場をたずねました。

住吉区若葉会 亀谷勝美さん「もうずーっと閉めた状態ですね。集会所も使わなくて」

ボランティアとして20年あまりデイサービスの世話役をつとめる亀谷さん、介護予防体操の指導には、特に力を注いできました。

亀谷勝美さん「ここに来れば必ずやっていたことができなくなっているわけですから、だんだん体が弱くなっていっていないかなと思って、本当に心配ですね。」

地域のお年寄りの健康状態が気になりますが、ボランティアとしてどこまで介入してよいのか、対応に悩んでいます。

亀谷勝美さん「外に出られないというのがやっぱり本人たちも苦痛みたいですね。だからせめて、『体操してくださいね』と声かけはしますけれども、それ以外で私たちも、人の家に伺うというのは遠慮がちになってしまうので、そういう面ではかわいそうなんですけどね。これ以上のこともしてあげられないというのが苦痛ですね。私たちにとっても。」

コロナ禍のデイサービス 地域の高齢者つなぐ現場は

ふれあいデイサービス事業を実施する那覇市社会福祉協議会では、事業を長期間にわたって休止せざるを得ない状況に危機感を募らせていました。

那覇市社会福祉協議会 山城泰一郎さん「やはり認知症であったり、運動の低下、ひきこもりこのまま外に出るのがおっくうになってしまって、ますます体力的に落ちていかないかというのが、今懸念されるところです。独居の方ですね、そういった方々の安否確認ができなくなってしまったり、自然と足が遠のいていってしまうというところもいくつかあってですね。」

デイサービスの休止を受けて「地域の高齢者とどうつながるか」。模索を始めた地域があります。

「自治会の中に住んでいるひとりものの老人の世帯とか、家族のいない人をチェックして、役員でまわって。」

「そういう人のところに行けなくても隣近所から話を聞くとか、その人たちを知っている人を通して聞くとかっていう、今、実験状態なんですよ。」

コロナ禍のデイサービス 地域の高齢者つなぐ現場は

「小禄泉原地域泉の会」は、22年にわたり高齢者の憩いの場として親しまれてきましたが、コロナの影響で、デイサービスに参加する人が大幅に減少、高齢者の様子がわかりにくい状況に陥っていました。そこで新たに始めたのが、電話による声かけです。

小禄泉原地域泉の会、上原苗子さんと電話でのやりとり

上原さん「元気ねぇ?」

電話の声「やーぐまいして大変よ」

上原さん「ごはんはどうしてるの?」

電話の声「ごはんはちゃんと食べてる。独り者は喋る人がいないさぁね、だからたまには鏡見てドゥーチュイムニーしてるよ」

電話の相手は、1人暮らしの90歳。弾んだ声に人とつながる喜びが滲みます。

小禄泉原地域泉の会 上原苗子さん「直接お電話入れたりするときもあるんですけど、やっぱりなかなかとらない。そういった人たちは直接はタッチできなくても、隣近所、そしてこの方を知っている人を通してこの健康状態をみたり。」

高齢者にとって欠かせない「コロナの感染予防」と「人とのつながり」。コロナの影響が長期化するなか、地域のデイサービスでは、そのふたつのバランスを保つ模索が続けられています。