新型コロナの影響で今年は開催されなかったNAHAマラソン。代わりにランナーが思い思いの場所でマラソンをして、タイムをアプリで申告するオンラインでのイベントが行われました。

その一方、モチベーションを保ちたいと、早朝に一人、NAHAマラソンのコースへ挑んだ市民ランナーがいました。家族の応援も力に変えた42.195kmをお伝えします。

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

人や車通りのほとんどない早朝。NAHAマラソンのコースである南部路をひた走る、一人のランナーの姿がありました。

師走の沖縄の風物詩、NAHAマラソン。トップランナーから市民ジョガーまで全国的な人気を誇る大会です。しかし今年は新型コロナの影響で開催を断念。おととい6日に行うはずだった第36回大会を来年12月の第一日曜日とする“延期”が決まりました。

豊見城市の高良さん一家。66歳の高良重雄さんは銀行で管理職を務めていた17年前、仕事を全うするにはまず体力とマラソンに取り組みました。いまでも10kmほどを週3日は走ります。以来、NAHAマラソンは17大会連続で完走中です。

高良重雄さん「走り始めると楽しくなって、記録をもうちょっと上げてみたいと思うと自分で工夫したりして。楽に速く、スムーズに走れる方法はないかと続けてきた」

NAHAマラソンでの自己ベストはおととしの4時間10分台。今年は3時間台で完走するという大きな目標がありました。しかし、新型コロナに、重雄さんの年に一度の大舞台を奪われてしまいました。

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

重雄さん「オリンピックが延期になると決まった時から、NAHAマラソンも延期だなと直感して。でも自分は練習を続けているので、モチベーションを維持するためには“自分の”NAHAマラソン、プライベートNAHAマラソンをやろうと」

今年大会はなくとも来年につながる走りをしたい。その一心で本番当日の日に、一人で42.195kmを走り切ることにしました。

NAHAマラソンが行われるはずだったおととい早朝。練習でいつも走り慣れていて、人も車も少ない時間にスタートする高良さん。目標達成に欠かせないのがサポート役。その大役を娘婿の花城由樹夫さんが務めます。

花城由樹夫さん「アルバイトしてくれないかと(笑)(NAHAマラソンの)参加費として払うものだったから、それをアルバイト料にするから、ぜひサポートしてくれと」

由樹夫さんは車で先回りしながら、給水ポイントをつくることになっています。

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

重雄さん「コロナに負けないように頑張って走ってきます。2020年12月6日日曜日、現在4時半、スタートします!」

由樹夫さん「3, 2, 1, スタート!!」

競う相手は自分自身。プライベートNAHAマラソンがスタート。サポートに徹する由樹夫さんは車に乗り込んで、事前に決めた待ち合わせ場所に先回り。

由樹夫さん「天気もいいとは言えない中で(大会と違い)車道を走れない部分はつまづいたりするリスクもあると思う。その点だけ気をつけてもらって、楽しく走ってもらえたら」

重雄さん「週40kmを走りこんで、いつでも10km以上は走れるような体づくりをしている。体を壊さないようなフォームをつくって走りこんでいる」

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

快調な走りを見せる重雄さん。サポートする由樹夫さんは待ち合わせ場所で水や食べ物など、高良さんから指定されたものを手渡していきます。

由樹夫さん「(重雄さんは)もう毎年ずっとやっているので、だいたいこのくらいあれば何km走れるとか、頭の中に入っているみたい。(Q:自身のNAHAマラソン経験は?)僕は過去に1回だけあるが、ハーフ(中間点)まで行かなかった(笑)」

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

中間点には2時間14分で到着。想定以上の良いペースでした。

由樹夫さん「ハーフおめでとうございます!」「おにぎり食べます?何もいい?」

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

アップダウンが落ち着くと、続くのは平坦で真っ直ぐな道。足にも心にも堪えるコース後半。ここでうれしい応援団が駆けつけました。

重雄さん「こっち(孫たち)と一緒にNAHAマラソンを走るのが夢。80歳くらいまで頑張る」

娘・花城愛美さん「還暦を過ぎてもずっと(マラソンを)続けられるのはすごいなと思う」

孫・花城朱里さん「(おじいちゃんは)がんばり屋さん!!」

エールを受けた重雄さん糸満の市街地、そして豊見城とコースの終盤も快調です。ゴールまであと7km。残りの力を振り絞って走っていくようなタイミング。でも突然、取材していたカメラマンに話しかけます。

重雄さん「あなたよく走るね!」カメラマン「はいぃぃ(息切れ)」

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

66歳、重雄さんの半分の年齢31歳のカメラマンが、小型カメラで撮影していますが並走するのがやっと。重雄さんは苦しい表情を出すことなく、走り続けます。

ゴールの奥武山公園フィニッシュゲートが設けられる陸上競技場…。今年は閉まっています。

66歳 17年連続完走中 ひとりで走るNAHAマラソン

ゴールにしたのは家族と待ち合わせた同じ公園内。高良さんのプライベートNAHAマラソンは4時間29分50秒。納得のタイムでした。

重雄さん「婿にも感謝。ありがとうございました。きょうは一杯飲みましょう」

由樹夫さん「本当に素晴らしい感動しました。(Q:マラソン挑戦しようと思う?)思わないです(笑)」

重雄さん「コロナが収まればまた大会が始まるだろうと。その大会に向けて(練習する)。ライバルは多いから」

高良さんはすでに来年のNAHAマラソン開催へ思いをはせています。