人手不足の現場を支えてくれる外国人の労働力というのは、「技能実習」や「特定技能」などの若者だけでありません。日本で学び技術を手にして、一旗あげようと意気込む「外国人留学生」もその一端を担っている現状があります。

県内で働く外国人労働者は、1万314人にのぼり、うち4分の1が留学生で、コンビニや飲食店などでアルバイトとして働いてくれる、欠かせない存在となっています。

そんな留学生が窮地に立たされていました。彼らの抱える苦悩とそこに立ちはだかる壁とは、一体何なのでしょうか?

パスポートを見つめていたのは、ネパール人留学生のスマンさん。先月、出入国在留管理庁が、日本に滞在するため在留資格の更新を認めなかったため、沖縄にいることができなくなりました。

ネパール人留学生の苦悩

スマンさん「だいたい6カ月くらい、オーバーワークして、外国人は、留学生は1カ月で120時間しかできないんですけど、私は、200ぐらいやってしまいましたので。」

スマンさんの通っていた日本語学校では、去年7月に入学した外国人留学生142人のうち78人が同様に在留資格を取り消されました。来年2月9日までに帰国しなければならず、卒業資格を取ることさえ叶いません。

留学生は、国の許可を得て、週に28時間まで働くことができますが、彼らは、その規定を超えて働く『オーバーワーク』をおこなったためです。オーバーワークは、不法就労とみなされ、強制帰国もあり得ます。そのリスクを犯してまで、なぜ、学生たちは、オーバーワークに至ったのでしょうか。

ネパール人留学生の苦悩

スマンさんは、2LDKのアパートに留学生仲間5人と暮らしています。

スマンさん「ずっと日本にいて、ずっと日本語勉強したいですけど、今は、入管、日本政府からビザはもらえませんでした。みんな、80ネパール人は、ビザはとれなかったので、みんな心配しています。日本にいたいのでに、できないので、ちょっと心配してます」

スマンさんは、コロナの影響で実家からの仕送りが途絶えた半年前からアルバイトを掛け持ちし、1日8時間、月200時間ほど働いたといいます。

スマンさん「日本に来た時、だいたい、100万ぐらい、学校に払いました。私の家族は農家、農業しています。コロナの影響で、野菜とか売れませんでした。だから家族からお金送ってもらうのもできませんでしたので、私、2つ仕事やりました。2年ぐらい日本語勉強しました。今は、卒業もできませんでした。だから、2年も無駄になりました。100万も無駄。」

留学生が、規定内の週28時間のアルバイトで1カ月に得られるのは、およそ9万円。スマンさんの場合、そこから学費5万5千円と家賃2万5千円を払うと、食費などの生活費に充てることのできるお金がほとんど残りません。

ノムラズさんは、本土の自動車の専門学校に進学が決まっていましたが、オーバーワークで在留資格を失ったため、日本に残ることができなくなりました。

ネパール人留学生の苦悩

ノムラズさん「日本で勉強して日本の技術を学んで、ネパールでも会社を作ろうと思って、勉強したかったんです。ネパールは、家族は農業だから、コロナの影響で家族が作ったもの売れなかったから、こっちから、全部お金払いたい気持ちがあったから。」

ノムラズさん「(Q.ふたつ掛け持ちするときは心配はあった?)今まで先輩たちもビザもらえているから、大丈夫かなと思っていたんです。一番心配は勉強しに来たけど、勉強まだしていないし、お金もないし、それが心配、ネパール帰って、コロナだから何もできないから、することがないから、それが心配です。」

進学や就職の夢も全て帳消しになり、スマンさんとノムラズさんのもとには、借金だけが残りました。留学生78人の在留資格が取り消された日本語学校。

去年9月の法改正で、留学生がオーバーワークをした場合、学校側の責任が問われるようになったことをうけて、入学時には就労に関する説明をおこない、厳格な対応をとってきたといいます。

JSL・島尻昇理事長「出席率が悪かったり、オーバーワークがあった場合は、在留許可書が出ませんよと、とにかく逐一やっているのと同時に、学校だけでこういうことをすべて管理するのは、限界があるんですね。」

外国人の就労問題に詳しい専門家は、オーバーワークを防ぐことは、現状では難しい面もあるといいます。

ネパール人留学生の苦悩

アクティア行政書士事務所・仲宗根隼人さん「入管がどこでどれだけの仕事をしているのか、把握する仕組みがないんですね。そもそも、彼らがここで学び始めるにあたって、たくさん働かなければ学校生活を維持できない、留学生活を維持できないという状況で、働く前提で入ってくるところにも、原因のひとつがあると思います。」

ノムラズさん「ネパール帰っても、今コロナだし、仕事もできないから、ちょっと大変になりますので、逃げたりする人います。逃げません。私は将来に何か大きいことやりたい。逃げたら、チャンスないですと思いますから。逃げません。」

夢を抱き沖縄を訪れたネパール人留学生。コロナ禍や法制度のはざまで、彼らがオーバーワークをせざる得ない現状が見えてきました。