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なぜコントロールされる?DV「ダブルバインド」とは

これは、県の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた今年2月から10月のDVの相談件数です。

特に新型コロナが流行し自粛が求められた4月から5月にかけては去年の同じ時期と比べ増加していることがわかります。

コロナ禍の不安やストレスによる家庭内への影響が懸念される中、DVや児童虐待の被害者がなぜコントロールされてしまうのか、その仕組みを学ぶ講座が開かれました。

先週、宜野湾市で開かれた、DVの対策講座。市民や、行政で被害者の相談業務にかかわる人などおよそ40人が参加しました。

講師を務めたのは、更生保護法人がじゅまる沖縄DV加害者更生相談室研究員の名嘉ちえりさん。DVの加害者、被害者双方の支援に携わってきた名嘉さんは、あることをテーマにしました。

なぜコントロールされる?DV「ダブルバインド」とは

名嘉さん「DVは行動で見るよりも、ダブルバインドの関係性にあるか見るほうがその本質が理解できてなぜ被害者が動けなくなるのか、参考になるかと思う」

DVや児童虐待、職場でのパワハラなどのコミュニケーションパターンとしてよく見られる、”ダブルバインド”。

名嘉さん「ダブルバインドは繰り返し起きているコミュニケーションのパターンで、Aというメッセージと、それに相反するBというメッセージが同時に出されてその時にメッセージを受け取った人は、2つのメッセージはその矛盾を指摘することができずに従わざるを得ない状況が作られる。静かにしろって言われたから静かにしていたら、かわいくないと言われる。泣くなって言われているから泣かずにいつもよしよししてほしい時も泣かずにいたらへらへらするなと言われる」

なぜコントロールされる?DV「ダブルバインド」とは

2つの矛盾するメッセージを送り相手を混乱させるダブルバインド。しかし名嘉さんによると、DVや虐待の場面では加害者は明らかに矛盾しているメッセージではなく、命令に従わないと罰すると言ったり、愛情と引き換えに命令したり、また意見することを禁止するといったメッセージを巧みに織り込むことで被害者を更に混乱させているというのです。

その結果、被害者はわかりやすい単純な命令を聞くことにつとめるようになると言います。

名嘉さん「そういう言い方をしておけば加害者にはメリットがありますこいつが言うことを聞かなかったから…仕方なくバツを与えるしかなかったと自分を正当化できる罰を受ける側も「私が悪い」って勝手に思い込んでくれます」

たとえ殴る・蹴るの暴力行為がなくてもダブルバインドによって被害者は加害者の価値観に支配され逃げられなくなってしまうと名嘉さんは言います。

名嘉さん「(被害者は)暗闇の中の少しの愛情の瞬間ばかりを求めるようになって相手のことを求めてしまう。まるで何かにとりつかれたように依存してしまうようになります」

名嘉さんは、DVの加害者・被害者双方がダブルバインドの仕組みを理解することや、家庭や会社などで誰にでも起こる可能性があると認識することが重要だと話します。

なぜコントロールされる?DV「ダブルバインド」とは

名嘉さん「加害者だけじゃなくて私たち全員がダブルバインドは誰もがもしかしたら無意識のうちにやってしまうことがあるかもと知っていれば振り返ることができます。気づいたときには早急に改善していけばいい人間関係を円滑にするためにも相手に混乱を与えないことが重要」