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Qプラスリポートです。戦中・戦後の混乱の中、学校に通えなかった人のための夜間中学、「珊瑚舎スコーレ」をご存知でしょうか?これまで多くの人に「学び」の場を提供してきましたが、実は、今年度から県の補助金が打ち切られ、今、支援継続を求めて動き出しています。

取材に訪れたこの日、夜間中学が始まる1時間前のはずが既に何人かの生徒の姿がありました。

松田先生「今年から基礎に戻って計算をやりたいということなので。希望する生徒のために、1校時の前に行っている補足授業」

屋比久トシさん「これを習っておけば次の(授業で)先生が教えるのは勘取ってやりやすい。(Qお名前は数学の授業でも英語で書いているんですか?)これはね、(英語を)書かないと忘れるから書いているの」

Qプラスリポート どうなる?珊瑚舎スコーレ夜間中学

戦後数十年が経って、ようやく手に入れた学ぶ喜び。珊瑚舎スコーレの夜間中学は2004年の開校以来、義務教育未修了者の学び場として開かれてきました。しかし今、存続の危機を迎えています。

星野人史代表「沖縄県がやった全国でも誇れるような未修了者に対する施策ですよね。それを後退させることはないと思う」

県は7年前から、1932年から41年の10年間に生まれた義務教育未修了者を対象に、人数に応じた補助を行ってきました。しかし、事業は予定通り昨年度で終了するとして今年度から夜間中学に対する補助金を打ち切ったのです。

星野さん「ここにいらっしゃる方はその10年の枠の中にも入っていらっしゃる方です。その方がまだ在籍しているのに支援を打ち切るって。義務教育未修了者の問題というのは政治的な課題であることはもちろんそれ以前に教育の問題としてとらえてほしい」

現在夜間中学に通う新里好子さんも、思いを語りました。

新里好子さん「こんな偉い先生方の前で発言をするのも私なりに大変なことです。ガタガタ震えております。戦世も終わって今からという時にこういう学校が無くなることはとても大変だと思いまして。市役所で読み書きができないから書いてくださいとお願いするのもとても恥ずかしいことです。スコーレがあったおかげで、私たちは今からの人生だなと思っています」

新里さんは現在3年生。戦後は米軍施設に働きに出たため、学校に通ったのは小学5年生までです。ノートをとるよりも、プリントに書き込むのが新里さん流の
勉強法なのだとか。

Qプラスリポート どうなる?珊瑚舎スコーレ夜間中学

新里さん「プリントで教わるのを覚えるようにしています。(Q勉強の証ですね)そうです、こんなに沢山やってあります。でも、楽しいですね。学校に行く時間が来るのが”待ちかんてぃ”です。本当に待ちかんてぃというのはこういう事だなと思います」

夜間中学には今、全国から存続を願う声が寄せられています。先月からの1カ月間で集まった署名は6400筆。中にはこんなものも届けられました。

星野さん「あるおばあさんがこれを宝物だというんですけど、これポークの貯金箱です。500円玉貯金をしていて、(支援打ち切りの)ニュースを知って「何もできないけどお金がないんじゃ大変だろう」って、「とにかく届けます」と届けてくれた」

目を細め重みを感じる、星野さん。願うのは、誰もが持つ学ぶ権利を叶えられる社会です。

Qプラスリポート どうなる?珊瑚舎スコーレ夜間中学

星野さん「学ぶ権利を持った側に寄り添っていく制度ってどういうことか考えてほしい。珊瑚舎というよりも人間に生まれたからには人間として生きるんだという事です。(Q入学してくる人がいる限り続ける?)やりますよ。やはり新しい学び場、今までと違った考え方の学び場、そういうものを作らないとダメだと思います」

今年度、夜間中学には、新入生5人を含む15人が在籍しています。学ぶ権利とは何か、学校とは何か、珊瑚舎スコーレは問い続けます。