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様々なテーマで今年を振り返りる、シリーズ回顧。1回目の今日は「経済」について。この1年を振り返り沖縄経済の現状と課題について考えます。

糸満市名城。空港から車でおよそ20分。今や本島では少なくなった、天然のビーチです。

2016回顧 県内経済この1年

伊波記者「ここ名城ビーチでは2020年完成予定の本島南部最大規模のホテル計画が進められています」

事業を手がけるのは、PHR沖縄ホテルマネジメント。去年、那覇に県内初となるハイアットリージェンシーをオープンさせるなど、世界ブランドのホテルを展開しています。

2016回顧 県内経済この1年

名城ビーチで開発が予定されているホテルは、客室数およそ450室と本島南部では初の本格的なビーチリゾートホテルとなります。

佐藤さん「2020年から本当の意味での沖縄の観光の黄金時代がくるだろうと思ってます」

代表の佐藤さんはハイアットリージェンシー那覇の総支配人。いま最前線の現場で、沖縄観光のパワーを感じています。

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佐藤さん「日本で一番成長するポテンシャルが高いのは沖縄だと思っております。第二滑走路が2020年に供用開始になって、最大キャパシティで1500万人と言われていますけれども、その数の観光客が来るということは、単純に今年の倍のお客様が来るということですので、ホテルはもちろん足りない」

この会社では今年4月には、国頭村の大型リゾートホテルの不動産も取得しています。

佐藤さん「まず立地が最高の場所に位置しているということと、まだまだ手つかずの地域があるということ。また文化、それから食事も様々な面を踏まえても、観光立県である沖縄県が観光立国・日本を牽引していくだろうと思っています」

おととい発表された11月の観光客数は65万人。これで今年に入ってからの観光客数は毎月過去最多を更新し、11月現在で今年の観光客数は、史上最多の795万人となりました。

2016回顧 県内経済この1年

新しいホテルも、今年次々とオープンしました。こちらは今年3月、読谷村にオープンしたホテル。全室プールつきで、ゆったりとしたつくりになっています。

県内では来年以降、すでに報道発表されているだけでも20件以上の新規の、ホテルの建設計画が明らかになっています。

こうして、好調な沖縄観光は建設業など、他の産業も牽引しています。

2016回顧 県内経済この1年

今月、日銀那覇支店が発表した短観では、企業が景気をよいと感じているかどうかを示す業況判断指数が、県内では全産業で19期連続のプラスとなり、プラス幅は全国の7に比べて37と大幅に上回っています。

こうした今年の県内経済の現状について専門家は…。

伊波さん「健康診断でいうと、オールAの状態だと思っている。観光だけではなく、建設も消費も実はかなり好調で、経済指標でいうと、前年比でほとんどの指標がプラスなんです。これだけすべての項目が前向きに進んでいるっていうのは、かつてないくらいの、歴史上ないくらいの非常に好調な状態っていうのが、今の沖縄の経済の現状です」

2016回顧 県内経済この1年

一方で、今年、県内の企業の深刻な経営課題としてクローズアップされたのが人手不足です。

今年6月には本土復帰後初めて、有効求人倍率が1倍を突破。労働市場は「売り手市場」という新しいステージに入りました。

2016回顧 県内経済この1年

伊波さん「復帰後、過去最高水準に時給がひっ迫しているということで、どの企業どの業種においても人手不足というのはどこでも顕著におきている。さらに、経済の発展スピードが沖縄も早くなっているので、人材の供給量と需要の速度とバランスが非常に悪くなっていて、中長期的にまだまだ人が不足する状態が起きる。県外であるとか、外国人材を雇用するっていうことが喫緊の課題」

一方、好調な沖縄観光についても、いくつかの課題が見えてきています。

2016回顧 県内経済この1年

伊波さん「3割近くが外国人という時代のとき、今までの沖縄のレギュレーションではおそらく対応できない部分がいろいろ出る。例えば、表記であるとか、人材の問題であるとか。これまでの国内中心の観光地であったところから、大きく転換しないと。今のうちから準備する作業が必要になってくる。海外(のリゾート地)と比較しても伸びしろはあります。プラス、IT産業、物流産業とか、それに付随する産業が育ちつつあります。その成長のスピードについていかないといけないというところをクリアさえすれば、まだまだ経済成長は伸びると思います」

好調に推移した今年の沖縄経済。来年以降、この勢いを失速させないためにも、さらに先を見据えた戦略の策定とその実行が求められています。

経済は絶好調、ただ、成長が急であるがゆえに、人手不足などの問題も見えてきました。

将来を見据えた戦略を立てて、早急に手を打つ必要がありそうです。月曜日は「スポーツ」の1年を振り返ります。