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Qリポートです。アメリカ軍基地をテーマにしたドキュメンタリー映画を作ろうと、アメリカからやってきた2人の若者がいます。

ユニークな視点で撮影を続ける二人を追いました。

男性「(オスプレイが)自由勝手に飛び回っています。心痛みませんか、アメリカ人として。自分がやらないことを人に押し付けたらいかんでしょう。それをアメリカ人は怒らんといかん 。」

先月23日、慰霊の日の式典会場前。アメリカ軍基地やオスプレイ配備の反対する県民の中で、カメラを回す二人の外国人女性がいました。

アメリカ人のトリー・ジェフェーさん、23歳。そして同じく、アメリカからやってきた、ケイト・ホーキンズさん、24歳です。

トリーさん「沖縄の大切な日を撮影に来たの。でも見ての通り、アメリカ人は誰も来ない。きっと米兵たちも何も知らないよね。」

大学時代の同級生だった2人は、去年8月から沖縄に住み、アメリカ軍基地をテーマにしたドキュメンタリー映画を作っています。

沖縄のことは以前から知っていましたか?

ケイトさん「全然知らなかったわ。」

トリーさん「沖縄には4万人のアメリカ人が住んでいるのに、アメリカのニュースは何も伝えない。アメリカ人は「沖縄ってどこ?中国?」なんて言うかもね。米軍がここにいて、沖縄の人たちが怒っているという話だけではなく、もっと深くアメリカ人が知るべきことを、沖縄からきちんと伝えたいと思ったの。」

アメリカの大学で、ドキュメンタリー映画を専攻していたトリーさんと、歴史を学んでいたケイトさん。沖縄を知ったのは、その頃でした。

自分たちの国の軍隊が、外国の小さな島にあるらしい。でもそこで何が起きているのか、アメリカでは誰も教えてくれない。

好奇心にかられたふたりは、去年、卒業と同時に、カメラを抱えて未知の土地へやってきました。ふたりが撮影の拠点に選んだのは、基地と密接にリンクする中部地区でした。

ケイトさんとトリーさん「アメリカにこんな所はないわ。まるでテーマパークみたい。アメリカランド。ディズニーランドとか、ラスベガスのような。本当の沖縄ではないけど面白い文化だと思った。」

そんな不思議な環境の中で暮らす、沖縄の人々、そして同じくアメリカからやってきた兵士たち。なぜ同じ世代の若者は軍隊に入り、沖縄にやってきたのか。ふたりは多くの兵士たちの話を聞いてきました。

ケイトさん「多くの場合、入隊は収入のためだった。安定した仕事だから。進学のためのお金や、失業中で仕事がほしい人たち。愛国心があるかは、本当は問題じゃないの。軍隊は謎に包まれている。でも中にいるのは普通の人間よ。」

一方で、基地があるのが当たり前の環境の中で育った沖縄の同世代の苦しい思いも感じてきました。

トリーさん「基地は嫌、でも基地があれば気軽に英語の勉強ができる。そういう複雑な気持ちで、「基地反対」と大きな声では良いづらい。だから、自分は、祖父母の世代ほど、純粋じゃなくなってしまったと感じているみたい。」

体をはってでもオスプレイに反対する沖縄の人々。排除する警察官も同じ沖縄県民。ゲートの向こうに立つのは、同じアメリカ人。ふたりは必死でカメラを回していました。

ケイトさん「沖縄の人にも、アメリカ兵士にも、自分たちの命を守ってくれる公の機関がないわ。私たちが出会ったアメリカ兵の中には、兵士なのに、オスプレイが嫌だと言う人もいたの。でも誰もその声を聞いてくれない。」

トリーさん「あの時思ったの、CNNはどこ?ABCは?ニューヨークタイムスは?AP通信は?沖縄に対する、世界のメディアの無関心。本当に驚いた。」

世界のメディアが写さない、沖縄に生きる人たちの現実。1年間の滞在を終えた2人は、まもなく沖縄を旅立ちます。

映画が完成したらどうする?

トリーさん「日本とアメリカで見せたいの。ここで生きている人たちの言葉を伝って、沖縄と世界が繋がり合える映画にしたい。世界中の人たちとね。」

ふたりの作品は来年夏に完成予定ということです。