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シリーズでお伝えしておる「検証・オスプレイ環境レビュー」。きょうはそのレビューのなかで「最大の変化に直面する」と明記された伊江島についてお伝えします。

今年6月にアメリカ軍が公表したオスプレイの「環境レビュー」。その中で「最大の変化に直面する」と明記されたのが伊江島補助飛行場です。

その実態は、オスプレイが年間およそ7,000回もの訓練を行うというもの。現在CH46ヘリコプターによる訓練の3倍以上です。さらに、その他の戦闘機や輸送機も訓練を続けるというのです。

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この重大な発表。住民には、事前に説明があったのでしょうか。

西崎区・儀間五子区長「それはございません。第一報を頂いたのは配備運用が決まったということだった」

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防衛局が伊江村役場に提出したオスプレイの解説書。機体の安全性や配備のメリットなどが書かれていますが、住民たちが知りたかったリスクについては一切述べていません。

儀間区長「オスプレイが頭上を飛び交うことに関して遺憾であると申し上げたんですけど、それに関して安全であると。強硬な配備として進めていくということ」

この現状に強い危機感を抱くのは謝花悦子さん。島の戦争や土地闘争の歴史から、基地の存在を問う資料館をひらいています。

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謝花悦子さん「オスプレイがあんなに大きく『伊江島で』というのを聞いたときに、もう戦争体制が敷かれるのかなと思いました」

67年前、伊江島では住民を巻き込んだ熾烈な地上戦が行われました。

戦後、アメリカ軍は強制的に土地を接収。さらに、軍の流れ弾などによる犠牲者も多発します。阿波根昌鴻さんをはじめ、島の人々は、奪われた土地を求めて闘争を続けました。しかし…。

謝花さん「ハリアーもオスプレイも撤去させなければならないという活気は消えつつある」

儀間区長「(基地もハリアーも)いままで反対したにも関わらず、それでも配備されたりとか。(オスプレイも)同じように運用されるんじゃない、というのがお年寄りのみなさんの意見ですね」

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伊江村の大城村長もこう話します。

伊江村・大城村長「軍用地料を頂いて、生活をやっているみなさんもいるんです。基地のない島が一番いいんだが、基地を容認する以外にないところもあるだろうと思います」

取材中、突如現れたハリアー戦闘機。年間780回も飛来するといいます。

「頭の上からも行くぐらいですよ。もう恐怖で仕事にならない」「健康状態も悪い人たちもいる。この(爆音の)せいじゃないかという人もいる」

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さらに被害は続きます。住民が撮影したこの映像。竜巻のような砂埃は、アメリカ軍の輸送機が巻き上げる粉塵です。これは、舗装されていない滑走路での訓練が原因とみられます。

村長はアスファルトをひくようアメリカ軍に抗議したところ、こんな回答がきたといいます。

大城村長「粉塵については防衛局が24年度でスプリンクラーを設置すると」

住民の生活を全く考慮しないアメリカ軍の訓練。さらに、この滑走路をめぐり重大な問題点が浮き彫りになりました。

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環境レビュー本編は“オスプレイは滑走路を「使用しない」”と明記しています。

ところが、レビューに付属するこのデータ集には「使用する」とまったく矛盾する記述があるのです。飛行回数が増える分、騒音や粉塵だけでなく、みぞうの被害も予想されます。

それでも機体の安全性ばかりを主張する日米政府に対し、謝花さんは怒りがおさまりません。

謝花さん「ミスがあるのは当然と考えなきゃいけない。プロの技じゃない。戦争のための練習ですからね。いざということが起こってからは、もう間に合わない。だからそれはない方が安全である」

アメリカ軍が計画する伊江島の「最大の変化」。そこには現在の基地被害すら改善しないまま、配備を強行する日米政府の姿が浮き彫りになっています。

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