※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

ここからはステーションQです。PAC3の配備が慌しく進んでいます。沖縄での自衛隊の展開としてはこれまでにない規模で沖縄が物々しい雰囲気に包まれています。県民は、この事態をどう感じているのか。また軍事評論家はどう見ているのか。先月末からの動きとあわせまとめました。

田中防衛大臣「北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射にあたり、私のほうから弾道ミサイル等に対する破壊措置命令を発出することにした」

破壊措置命令を出した田中防衛大臣は翌日に沖縄を訪れ、本体や部品などが落下したときの対応策として、それを迎撃するイージス艦の展開やPAC3の配備について理解を求めました。

防衛大臣の命令が出て以降、自衛隊の基地のない石垣市には自衛隊員や機材が次々と投入されました。PAC3が配備できる場所の調査ののち、石垣港の埋立地への配備準備を行いました。

そして、きのう午後4時すぎ、那覇港にPAC3を搭載した民間の貨物船が到着。PAC3配備に反対する市民団体が抗議集会を開く中、車両の積み下ろし作業が行われました。

その後、PAC3は国道を通り、配備される航空自衛隊那覇基地や南城市の知念分屯基地に搬送されました。

宮古島市にもPAC3が入港。自衛隊員およそ200人、車両およそ30台を陸揚げしました。

山城記者「万が一に備えようと、きょうから与那国島でも自衛隊の派遣が始まりました」

今回、PAC3は那覇市・南城市・宮古島市・石垣市に配備され、被害状況を確認する部隊を与那国町に派遣し、さらに多良間村には連絡要員の隊員を置くことにしてます。

市民「やっぱり多少は警戒しといたほうがいいんじゃないかなっていう距離なんだと思います」「何とも言えませんね。落ちてくるかもしれないというわけだから。何とも言えないんじゃないですか」「PAC3ですか。こっちも撃ち落とすのを準備してたら、なんかあっちも本気でやってきそう」「それ以前に外交上で申し入れができなかったかという風には思います」「中間ですね。どっちも怖いような感じもするし、そうかといって撃たれっぱなしも困るなと思うし、中間です」

沖縄大学の客員教授で軍事評論家の前田哲男さんは、今回の自衛隊の展開は演習だと話します。

前田哲男・沖縄大学客員教授「北朝鮮政府がこういうロケットの発射を予告して、日本列島を横断する。すると自衛隊にとっては、現在、配備中のミサイル防衛システムを機動的の動かし、実戦に近い、リアルな状況で演習する。まさに格好のチャンスということになります」

前田さんは、そもそも外務省は弾道ミサイルの対応は、アメリカ軍の役目と発表していると指摘します。

前田哲男さん「嘉手納PAC3の配備の意味という、当時の防衛庁・外務省の発表文書がありますが、それによれば沖縄を含む、わが国の防護、本件PAC3は弾道ミサイルの脅威からわが国、特に沖縄を防護するために配備される純粋に防御的なシステムであると強調されています。まず動くのは、今回嘉手納のPAC3であるのは通常のはずです。それが動きを示さず、自衛隊ばかり動くというのは、これまた非常に不可思議なことだと思います」

「北から南へ防衛をスイング」するとした2010年の「新防衛大綱」に沿って計画を推し進めたい防衛省の思惑も見えると話します。

前田哲男さん「新しい防衛計画大綱が目指す、中国の脅威を意識した南西諸島防衛。そこに新しい部隊を配備し、日米協力の場面を充実させる。大きな流れの中で、今回の事態を最大限に利用しようとしていることは間違いない」

さらに、軍事評論家の前田哲男さんは自衛隊は日本に対する攻撃や予測に対して動くのは当然と話していますが、今回に関してはロケットの打ち上げが武力の攻撃なのかどうか、自衛隊が展開しつつある体制は、いささか過剰ではないかとも話しています。