※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

ハンセン病回復者の伊波敏男さんのフィリピン同行記。今週は伊波さんの基金で奨学金を受ける学生が学ぶフィリピン国立大学レイテ分校を訪れます。伊波基金で学んだ学生たちが、卒業の日をを迎えました。

マニラから南東へおよそ600キロ。太平洋戦争末期にマッカーサーが上陸したことで知られるレイテ島です。

News Photo

「太平洋戦争の激戦地として知られるレイテ島ですが、現在では人、物、車で溢れかえっています。そしてこの島で伊波さんの基金が徐々に成果を上げ始めています」

フィリピン国立大学、レイテ分校。35年前に設立されたこの学校では、地域医療に携わる人材を積極的に育成しています。

入学するには地域の推薦が必要で、助産師コース、看護師コース、医師コースとステップアップしていき、コースとコースの間には、一定期間、地域医療に携わることも義務付けられています。

News Photo

8年前、伊波さんは、国から支払われた賠償金を元手に基金を設立しました。その運用益がこの学校で学ぶ学生に支給されています。受給した学生は、これまでに15人に上っています。

伊波さんが向かったのは、中心地から車で1時間ほど離れたカン・ウグイブ村。

伊波さんとルッチェルさんのやりとり「(もう子供を取り上げましたか?)はい、20人取り上げました、おおーー、(握手)20名も取り上げたの」「伊波基金は必ず援助しますからうんと勉強して頑張ってください(通訳)、(うれし泣き)」

News Photo

彼女は、ルッチェル・ドセナさん、19歳。彼女も村の推薦で助産師コースを修了しました。今は古里で助産師の仕事を手伝いながら秋の国家試験に向けて猛勉強中です。

フィリピンの多くの村では、医師や看護師が経済的事情で、都市部や国外に流出する事態が続いています。

彼女の父親は失業中で、奨学金なしには学校に通うことはできませんでした。村としても、優秀な学生を推薦することで医師や看護師不足を解消できるメリットがあります。

ドセナさん「村の人たちには、そばで見てくれる医師や看護師が必要なんです」「私は海外に行くつもりは今のところありません」「多くの人が私を必要としてくれているし、私はここで家族と過ごすことが幸せなんです」

News Photo

伊波さん「選ばれて伊波基金を受けて学んだだけあって、この地域の青年の中でも選ばれてリーダーをしていると、やっぱりそういう人材を村は推薦してるんだなと」

卒業式を控えたこの日。伊波基金の受給者が集まりました。

伊波基金奨学生「単に奨学金というだけでなく、彼は本当に私たちのことを家族の一員と思ってくれているようでした」

伊波基金奨学生「伊波基金は私にとって宝物です。基金のおかげで無事卒業することができました」

伊波基金奨学生「今、試験に向けて勉強しています。私はもちろん、家族も伊波さんに感謝しています」

News Photo

旅の途中、伊波さんがずっと考えていたことがありました。卒業式で、伊波さんはスピーチをすることになっているのです。自分は学生たちに、一体何を伝えるべきか。

伊波さん「私が今まで人生かけていろんな体験をして考えたこと、人間にとって病気とは何かと、それと苦しみとは何かと、その時に人間はどう立ち向かうべきかと」

卒業式当日。壇上には、伊波基金で学んだ学生の姿がありました。今年の総代です。そして、伊波さんも壇上へ。

News Photo

伊波さん「伊波基金から奨学金を受ける者は何よりも人々の命を愛し、人間を苦しめる病気に立ち向かう勇気と情念を持つ学生に付与されます」

15歳の伊波少年の前に突如立ちはだかったハンセン病という大きな壁。懸命に壁を乗り越えてきた伊波さんの思いは、海の向こうで、医学を目指す若者にバトンタッチされました。