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皆さん「フードバンク」という取り組みをご存知でしょうか?直訳すると「食料銀行」という意味で、まだ賞味期限が来ていないにも関わらず、廃棄されてしまう食べ物を企業や個人から預かって、必要としている施設などに無償で届けるボランティア活動の事です。QABでは3年前にもこの活動を紹介したんですが、最近そのフードバンクを取り巻く状況に変化が現れてきているようです。

電話「あー、紹介。お友達から伺ったということですね。あ、なるほど。」那覇市のフードバンク。朝から次々と鳴る電話に対応するのは代表の奥平智子さん。

奥平智子さん「今ね。私たちと同じネットワーク組んでるフードバンクの東北の方々からメールが回ってきてるんですよ。今現状ということで。」

はじめは、たった一人、自宅からのスタートでした。フリーマーケットで食料の寄付を募ったり、集めた食料を福祉施設などに届ける活動を続けてきました。

メンバー 金井光和さん「自分もボランティアについての知識を高められたらと思いまして。いろいろお手伝いさせていただいてます。」

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設立から3年半。一緒に活動する仲間も増えました。活動に理解を示す団体からの提供で、事務所を構えることもできました。電話「個人の方からの問い合わせということでよろしいでしょうか?」しかし、最近フードバンクを取り巻く状況に変化が起きているといいます。

奥平智子さん「名前が売れてくるにつれて、個人の本人から食料をもらえないかという問い合わせも増えて。」セカンドハーベストでは、個人に直接食料の提供はしないというルールがあります。今の体制では、数多い個人からの依頼に対応したり、食料の安全指導などが十分にできないからです。

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そのため、個人への食料支援は自治体や福祉団体を通じて行います。仲介先のひとつ、那覇市役所には生活保護に関する相談が殺到しています。那覇市の生活保護世帯数は、平成20年に6000世帯を超え、今年度も2月末の数字でおよそ7100世帯と急激に増えているのです。

那覇市 健康福祉部 保護管理課 宮里隆課長「リーマンショック以降、やはり経済不況、それに伴う失業等がありまして、その影響でですね。」

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那覇市 健康福祉部 保護管理課 福祉相談室 大城光子室長「以前は、食べ物っていうのはなかったんですよ。『お金をくださいー』というのはあったんですけどね。『食べ物がないです』『食べ物をください』というのは、ここ2、3年、相談のときに受けるというのが、本当にやはりそれだけ貧困が厳しい状態なのかなと思いますね。」

不況は企業にも影を落とします。「企業の参入もいくつか最初の頃はあったんですけれどもまたそれもなかなか伸び悩んでいる状況でもあります。」不況下で仕入れを抑えて、ロスを出さないようにする企業努力は、フードバンクにとっては食料の供給減につながるのです。

奥平智子さん「3人分の内訳を聞くのを忘れたなー。子どもだったのかなー。大人だったのかなー。」仕分けなどの作業の合間にも、支援を依頼してくる電話や来客はひっきりなし。ゆっくりお昼を食べる時間もありません。「今ちょっとニーズに対応できるような状況ではないんですけど。アレルギーの人もいるだろうし、これは食べれる食べれないとかもあるだろうし。病気をもってるとか。そこまでできたら一番いいんですけどね。」

フードバンクを必要とする声は大きくなる一方ですが、人手が追いつかないのが現状です。奥平智子さん「メンバーが足りなくて、本当にそこに尽きるんですよ。人が足りなくて、そういった広報もなかなかうまくいかないとか。」

外回りに出発です。きょうは新たな企業から食料提供の申し出がありました。待っていたのは、2000個以上のジーマーミ豆腐。

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奥平智子さん「はーもう、こんな時は使わんと。良かったらやっていいよ。もうそんなカメラ置いてから。」ハドムフードサービス 喜屋武準己さん「内地のほうに本当は送る予定だったんですけども、今回の東海地震で佐川急便もクロネコヤマトも受け付けてくれないんですよ。」

大震災の影響は県内にも及んでいました。あまり日持ちしない食品のため、その足で与那原町の児童養護施設へ向かいます。

愛隣園スタッフ「献立に使えますんで。はい大丈夫です。今日と明日ではい大丈夫です。使わせていただきます。」

一方、こちらは南城市のなかむら食品。なかむら食品 総務課 稲嶺麻子課長「朝に納品したものの返品豆腐になります。」フードバンクとはもう長いお付き合い。平日は毎日提供があります。

なかむら食品 中村正雄社長「食べ物を捨てるっていうのはね。やはりいけないですよ。やはりみんながね、それで助かったと言うんだったら、こちらのほうとしても大変喜ばしいことだと思いますね。」

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翌日、夜も明けきらない午前6時。ここは西原町のホームレス自立支援施設、エデンハウス。お豆腐は仕事に出かける入所者たちの朝ごはんになっていました。

入所者「私はもうご飯何いただいても美味しいです。」入所者「力が出ないじゃない。朝食べていかないと。うん。」「おいしいですね。はい。ありがたい。感謝しますですね。ええ。」

エデンハウス 阿波根直彦寮長「フードバンクさんから豆腐だけじゃないしね。各企業のお菓子とか、スーパーの賞味期限のね、切れてないんだけど、例えばあと1週間だよっーて。飲み物とか助かってます。」

活動を続けて3年半。多くの人がフードバンクに助けられています。

奥平智子さん「以前市の社協を通じて食糧もらった方がいたんですよ。その方が先月飲食店開いたってことで。ぜひうちに募金箱置いてくださいってことで。置いてもらってるところもあるんですけど。」

先日の東日本大震災を見て、奥平さんはこう話します。奥平智子さん「将来的には、ひとつの食のライフラインって、私たちは呼んでるんですけど。そこまでできればいいねって。全国のフードバンクみんな一緒なんですけど。」「災害の時にもぱっとすぐ食料集められるようなところ。そこに行けば食べ物が手に入る、そういうのがネットワークとしてできればいいなという話はよくしてます。」

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目指すのは、人も食も救うことのできる新しい「食のリサイクル」。フードバンクの挑戦は続きます。現在、セカンドハーベストには、25人の登録メンバーがいるそうなんですが、日中活動できる方が少なく、急増する依頼への対応が追いつかない状況だということです。

それだけ、食べ物を手に入れられない人が増えているということなんですね。ボランティアを募集中ということなので、活動に協力してくれる方は、こちらまで連絡をお願い致します。

フードバンク-セカンドハーベスト沖縄 
098-853-3001(月・水・金 午前10時〜午後3時)
ウェブサイト http://foodbankokinawa.ti-da.net/