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泡瀬干潟の埋め立て事業は違法な開発だとして地域住民らが県と市を訴えた裁判で、那覇地裁は19日、今後の工事への公金支出差し止めを命じる判決を言い渡しました。この裁判では、住民582人の原告が、泡瀬干潟の埋め立ては事業の環境アセスに不備があるほか、「埋め立て後の開発事業に合理性がない」と主張し、公金の支出差し止めなどを求めていました。

19日の判決で田中健治裁判長は、「埋め立て事業は具体的な土地利用計画がない」と指摘し、県と市に今後の工事に公金の支出を認めない判断を下しました。判決を受け、原告の一人の泡瀬干潟を守る会・前川盛治事務局長は、「非常に喜んでいる。そして泡瀬干潟の埋め立て工事の中止に向けて大きな展望が開けた」と、喜びを表していました。

今回の判決、どういう意味があるのでしょうか?実近記者に聞きます。

「厳密には原告の一部勝訴ですが、原告弁護団も「予想以上の判決」とコメントしているように、裁判の核心の部分では、原告の完全勝訴ともいえる画期的な判決でした。」

東門市長「沖縄市の経済活性化につなげるため、今後の社会経済情勢を見据えた土地利用計画の見直しを前提に推進せざるを得ないと判断いたしました」

「去年12月の沖縄市の東門市長の方針表明ですが、結局は、現在進めている一期工事については、もう後戻りができないので、利用計画を見直したうえで推進。今後の2期工事については困難としました。」

そもそもバブル期のものですよね。ずいぶん前から無理が指摘されてきたと思うんですが・・・。

「そうですね、今回の判決は、こうした行政の姿勢を「経済的合理性がない」と率直に指摘し「ただ後戻りできないから進める」という不合理な事業をばっさりと切り捨てるものでした。」

しかし、現実に工事かなり進んでいますよね。今後、工事は止まるということでしょうか。

「そうですね全187ヘクタールのうち、すでにその40%近くは護岸で囲まれ、うち9ヘクタールはもう、埋め立てられています。今後、被告側の県、市側は控訴というものをやはり考えてくると思います。そして裁判が続いて判決が確定するまでは、今回の判決は、法的には工事をストップさせる効力はありません。」

それでも工事は続く…。判決は何なんだろうという感じがしますよね。

「その背景には、まさに、動き出したら止まらないという日本の大型公共工事のシステムがあります。」

沖縄国際大学 照屋教授「沖縄市が、途中で、止めたと、県が止めたと、なりますと、沖縄市も県もですね、おそらく今まで使ったお金を全部国に返済しなくてはいけない。・・・」

「国が県が進めているこの事業には、すでに140億円が投入されていますそれを完成後は県と沖縄市が大部分を購入することになっていますので、確かに今後被告側には難しい判断が迫られることになります。しかし、指摘された計画の見直しについては、判決を重く受け止めて、やはり一度は工事はストップして早急に進める以外に、市民、県民の理解を得られる道はないのではないのでしょうか。」

判決は、今後は、合理的な経済性がきちんとなければ、公共事業は簡単にはできないんだと、日本の公共工事全体に強い警鐘を鳴らすものと言えます。