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去年9月にもお伝えした伊是名村の牧場誘致問題。海の汚染や悪臭被害を懸念する地元と、誘致推進派の思いで揺れる伊是名を再び訪ねました。久田記者です。

きれいな海に囲まれた伊是名島、しかし島の北側だけは・・・。川から黄色く変色した水が流れ、浜にはヘドロが堆積しています。川のすぐそばの牧場と堆肥センターを通ってきた水です。

久田記者「こちらは去年の6月まで、あの堆肥が野ざらしで野積みされていた場所なんですが、ブロック塀で仕切られた後も、このように糞尿が漏れ出て、異臭を放っています」

アオサが大量に育つ豊かな海に、大雨が降るたびにこうした未処理の牛の糞尿などが海に流れ込み、海を汚してきたのです。

伊是名漁協もずく部会・諸見豊次会長「上のほう(堆肥センター)の対策をきれいにして、ヘドロを除去しない限りは、いい海、昔には戻らない」

この現状に加え、去年、突如地元に告げられた黒毛和牛牧場と新堆肥センター建設の計画。海人は行政への不信と危機感を募らせました。

そしてきのう、県とJAの職員らが地元の意見聴取に訪れ、地元海人らは村の有権者の46%にあたる641人の反対署名を持って、計画中止を訴えました。

諸見会長「これぐらい海は汚してるんだから。これもう周辺、全部伊是名村で何千頭となれば、伊是名村の人は暮らせない状況がきます。わずかな動物(現在の400頭)で、この範囲内は現時点で汚してるんだから、絶対許せない」

県農水部畜産課・鉢嶺健二畜産環境対策監「におい、灰、汚水。しっかり管理して、地域環境への影響を考えてやる」

一方、島の基幹作物であるさとうきびに与えている堆肥は、原料となる牛の糞尿不足のために質が悪いと、島の牧場経営者は新たな牧場と堆肥センターに堆肥の質の改善を期待しています。

伊是名畜産・上原克也取締役「(農家側の意見としては)品質のいい堆肥が欲しいという意見もある。畜産農家としても、お互いの耕畜連携(飼料と堆肥の生産を助け合う)で堆肥が作れれば」

堆肥センター建設は、国と県から8割の補助がおりる高率補助事業。県によると、地元で合意できなければ、来年度同額の予算がつく見込みは薄いとのこと。豊富な牛糞で良質の堆肥を作りたい畜産業と、きれいな海を取り戻したい海人。島を思う両者が皮肉にも島を分断しています。