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那覇市新都心に移転される予定だった那覇市役所。財政難から移転はなくなり、その予定地には超高層マンションを建設する計画が進められています。市役所が建つと思っていた周辺住民は、全く異なる計画変更に不信感と不安を募らせ、計画の見直しを求めています。

軍用地から市街地へと変貌を遂げた那覇新都心地区。商業施設や行政機関・住宅と、街の姿はほぼ整い、高さを競うかのようにビルやマンションが点在しています。

新都心と国道を結ぶ中心の道路沿いに広がる広大な土地。多目的広場と駐車場として利用されている6000坪あまりのこの場所は、那覇市役所の建設予定地として確保された土地です。

那覇市の新しい市街地として一帯の開発は始まり、老朽化した那覇市役所の新たな候補地として、地主からの土地取得が行われました。

しかし、財政難に陥った那覇市は去年7月、新都心への市役所の移転を断念。公共用地として取得した予定地を商業用地に目的を変えて、民間に売却する計画を打ち出しました。

その計画は超高層マンションと、オフィスなどが入る商業施設を建設するというもので、高さ100メートル以上の超高層マンションが県内で初めて建つという大規模な事業です。

予定地から道を挟んだ場所には閑静な住宅街。市役所から一転して、超高層マンションが建設されることに住民は不安と危機感を募らせています。

周辺に住む女性「考えただけで、もう。こうやって上が見えないぐらいのものができるんですから。みんな切実なんですよ」

予定地の周辺に住宅を建てた人々は、市役所のそばで、住む環境も十分に確保されると思って暮らしてきました。しかし、家の目の前に高いマンションが立ちふさがる。日が当たらない、精神的な圧迫感、景観が損なわれる…。自分達の求めていた環境が脅かされると感じています。

周辺に住む女性「いい環境で子育てができる、いい環境で老後が暮らせるということで来ているのに、新都心の開発の終わりになった今頃になって、最後になって裏切られましたという気持ち。もうちょっと一緒に協力しながらやっていく方法はなかったんだろうかというのが」

現在は行き来の少ない6メートルの車道。マンションができれば、一日、およそ4000台の車がこの道を通ると見込まれ、交通渋滞や騒音などの問題も懸念されます。

「高層マンションが建つんだったらここに家を建てなかった」と住民は悔しさをにじませて言います。

地域の住民たちは何とかして高層マンションの建設に歯止めをかけようとグループを立ち上げ、計画の見直しを求めて活動しています。メンバーの一人、知念徹治さん。マンション建設への計画変更は自宅が完成した直後に知りました。

おもろまち1丁目を考える会・知念徹司さん「私達の子孫もここで育ってほしいという気持ちで建てたのに、全く覆された。売却するにしても、その事業者を選び、事業計画を議論する段階で、私達住民の全く反映されてない」

公共用地の計画変更について、市民に十分な説明や議論の場もなく、一方的に決められたことに疑問を抱いた知念さんらメンバーは、計画段階から市民が参加して行うべきだと、市民の署名を携えて市や市議会に何度も足を運び、住民に納得のいく説明会の開催や計画の見直しを求めてきました。

これに対して市は。。。

那覇市・大嶺英明企画部長「我々としては都合7回の説明会を持ったわけです。必要な手順に関しては、しっかりと踏んできたわけであります。いくらかでも住民の不安感が改善しっかり工夫するようにと(業者にも)強い申し入れをしてきたわけであります」

市側は今年7月、住民の要望を受けて、当初の高層マンションを3棟から2棟へ減らし、圧迫感を緩和するなどの改善案を示していますが、マンションは34階、高さ136メートルと更に高くなっていて、住民側は再度、説明会の開催を求めています。

大嶺英明企画部長「これからも住民の声、あるいは要望などを受け止めて、改良できるところは改良していく」

毎週土曜日の夜、メンバーは集まりを開いています。生活環境や景観を守るまちづくりのあり方を、市民と行政が一体となって進めることができるかを話し合っています。

知念徹治さん「市の行政が、どんどん一人歩きで進めてきたことが大きな問題だと思うんです。地方自治体が確保した土地が、本当に公共施設になるのかということに疑問を持つと思う。不信感を持つと思うんですよね」

市側は今年度中には民間企業に用地売却をしたい考えで、来年度には着工の予定です。周辺住民と市側との認識のズレ、溝は埋まらないまま、計画は今も進められています。