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2004年に宜野湾市の沖縄国際大学にアメリカ海兵隊のヘリコプターが墜落してから、きょうでちょうど丸3年を向かえます。この3年の間に普天間基地を取り巻く環境はどう変化したのか、岸本記者です。

『白い校舎の側面が真っ黒に焦げています』

あの事故から3年。アメリカ軍のヘリが激突した校舎は完全に取り壊され、今は新しい一号館が墜落現場にたっています。事故があったことを示す証拠として現場に残るものは、墜落時の火災と衝撃で枝葉を完全に失ったこの赤木のみ。

宜野湾市民は事故の後のこの3年をどう感じているのかー

宜野湾市民「何も変わらないですね。結局、政府とかが隠してしまうというか。県民の声なんかは何も反映されていないのが現実じゃないですか」「(騒音は)ひどくなってます。最近」

宜野湾市民が指摘するように、負担の軽減は一向に進まず、市のデータによるとヘリの騒音は減るどころか逆に増えています。

日米両政府は先週、こうした状況を改善するため、ヘリの飛行ルートを変更すると発表しましたが、アメリカ軍は現在の飛行ルートさえ全く守っていないことから、その実効性に疑問が持たれます。

伊波市長「率直に言って、飛行ルートの変更が解決策になるとは思わない」

事故の時、ヘリの破片が自宅に飛び込んだ主婦は現在3人目の子どもの出産間近で、今も変わらない現状に怒りをぶつけます。

主婦「耳を澄ませて(米軍ヘリが)落ちてこないかというのは毎日ですね。(Q:生まれてくるお子さんにも影響ないのかという心配はありますか?)それはもう考えないようにしている。考えたら精神的に持たないので。本当にここまで無視されて、馬鹿にされて。もう少し日本政府にしっかりしてほしい」

岸本記者に聞きます。騒音は変わらないどころか増えているんですね。

岸本記者「アメリカ軍が海外演習で普天間にいない時期は静かなんですが、それ以外の時期は騒音は酷くなっています」

岸本記者「県内全体で見ても、去年5月のアメリカ軍再編の日米合意で負担の増加は進んでいまして、嘉手納基地では自衛隊との共同訓練やパトリオットミサイルの配備が進んでいますし、F-22も暫定配備されました。

その一方で、こちら側の負担減の部分はF-15の訓練の一部の分散移転が始まっただけで、本島中南部の基地の返還や海兵隊員8000人のグアムへの移転はまったく進んでいない状況です。その一番大きな理由は、普天間基地を辺野古に移設することが前提条件となっているからです。でも今、この移設計画がまた暗礁に乗り上げようとしています」

塩崎官房長官「2014年までに(普天間)代替施設の完成をする。これを実現するには今回の方法書の提出というのは、今がギリギリのタイミング」

先週、名護市辺野古での基地建設に向けた環境影響評価の方法書を突然、県に送付した政府。これまでずっと普天間基地の危険性をなくす方法の提示を求めてきた県は、この方法書の受け取りを保留。政府との関係が一気に緊張を持ち始めます。

仲里副知事「その前提条件が整わない中、方法書が提出されたことはまことに遺憾。沖縄の米軍基地というのは、非民主的な形で所有者の権利を無視するような形で強制的に接収され、基地が出来上がってきた。この経緯を思い出すところであります」

用意された原稿から外れ、アメリカ軍統治下の土地の接収方法を厳しく非難した仲里副知事。

その怒りの背景には、去年5月のアメリカ軍再編以降、県民の目にもはっきりと見える基地機能の強化、また基地負担への協力の度合いに応じた出来高払いの交付金制度、そして海上自衛隊の掃海艦まで動員した辺野古での事前調査など、地元を軽視する政府への強い不信感がありました。

名護市・島袋市長「受け取ることが出来ないということですね」

滑走路の沖合いへの移動を求めている名護市もまた、方法書の受け取りを保留し、政府と地元の移設協議会に参加しないことも匂わせます。

島袋市長「(政府との)協議会に参加するしないは、今後、引き続き(県と)協議する」

この政府と県、名護市のこう着状態はいつまで続くんでしょうか?

岸本記者「名護市長はあのようにいっていますが、県も名護市も基本的には基地の建設を受け入れていますから、政府との話し合いは公式でも非公式でも、続けていくという姿勢は変わっていない」

では、今は拒否している県も、政府の出方によっては受け入れる可能性もあるということですか?

岸本記者「その可能性は高いと思います」

岸本記者「ここでこれからの移設計画のスケジュールを見ておきたいのですが、政府はあす、環境影響評価の方法書を公告縦覧を開始して、2年後の2009年までに手続きを終えたい考えです。そして、その年の8月から12月の間に辺野古の海を埋め立てる申請を行う。ただ、海を埋め立てるには県知事の許可が必要ですから、政府としてはこれまでに県民の声を考慮する形で知事の同意を得たい。一方、仲井真知事としては、政府から何らかの譲歩を引き出して、地元の意見をしっかり反映させたという形にしたい。でも、この譲歩の内容が新たなお金のばら撒き、振興策で、知事の公約である3年以内の普天間閉鎖と全く関係のないことでは、いくら経済振興を第一の公約にした知事でも、県民の理解は得られにくいと思います。ですから知事には、ヘリの墜落から3年経った今、改めて普天間の危険性を何とか早くなくす方法が見つかるように、政府から具体的な回答を引き出してほしいと思います」