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文部科学省による高校教科書の検定で、沖縄戦の集団自決の記述から「日本軍の強制」が削除された問題です。県内の教職員が昨夜、緊急の抗議集会を開きました。教師たちの思いを岸本記者が取材しました。

与儀九英さん「お母さんは日本国民でしょ。自決しよう、玉砕しようと。教育の恐ろしさというのはここなんです」

(検定前)『なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた』

(検定後)『なかには集団自決に追い込まれた人々もいた』

教科書検定で削られた「日本軍」と「強制」いう言葉。慶留間島で起きた集団自決で、多くの親戚や仲間を失った与儀九英さんは「軍の命令」はあったとはっきり断言します。

与儀九英さん「『敵上陸のあかつきには全員玉砕あるのみ」と。私はこの時の隊長の言葉を今も忘れないです。あっという間にわずか100名そこらの小さな島で53人が自決しました」

昨夜、開かれた集会ではこの沖縄戦の事実をねじ曲げ、集団自決を殉国者の美談に変えようとする政府に、現職の教師やOBが強い怒りの声を上げ、沖縄の教師として今後どのように生徒と向き合えばよいのか議論が交わされました。

南部商業高校・上江洲由直教諭「中には別に教科書を使わなくても、しっかり教師側が信念を持って教えれば良いんじゃないかという意見もあると思うんですけど、やはり教科書自体が変わるということは、国の考え方がそういう考えなんだということ」

戦前の軍国主義に従い、多くの教え子を戦場に送り出した反省を元に、沖縄戦の実相をしっかりと伝えていく重い責任を参加者全員で確認しました。

参加者「安部総理が言う『美しい日本』とはこんなもんじゃないと思ってるんですよ」

高教組・松田 寛委員長「慰安婦の問題もそうですし、南京虐殺もそうですが、実は沖縄戦もなかったということになっていく。そういう風な歴史の流れが出てきている。この国は一体、どこへ向かっているんだろうということを私たちは非常に懸念します」

この問題に関しては市民団体などが大規模な県民大会を計画していて、まだまだ大きな動きがあります。