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先週木曜日と金曜日の2日間、名護市のキャンプシュワブでは普天間基地の移設に伴い埋蔵文化財調査を行おうとする那覇防衛施設局とこれを阻止しようとする市民団体の間で激しい混乱がありました。

木曜日、防衛施設局の依頼を受けてキャンプシュワブを訪れたのは名護市教育委員会文化課の職員10人。

市民団体の代表「これは基地建設の前提としての調査だよね」「教育庁として問題ありますよ、退去お願いできませんか」

名護市教育委員会・島福善弘主幹「我々も文化財を守るという立場で、教育委員会の考えで行動していますので」「入れなければ(ここに)いても意味がないので」

その後、施設局と名護市教育委員会は対応を協議。

那覇防衛施設局・岡田康弘施設部長「(Q.どんな話をしたんですか)まあ色々と今の状況とかをお話して相談しました。(Q.調査は明日行う予定ですか)いや、そこはまだちょっとこれからまたご相談しますので」

翌日、大量の警察官隊が動員され、市民団体と激しく衝突します

「公務執行妨害、どきなさい!」

「暴力振るうな警察!」

その後、教育委員会の職員は退去。しかし基地に入ろうとする施設局の車両に市民団体のメンバーが体を張って阻止し、基地の前は緊迫感に包まれました。

『謝花記者に聞きます。謝花さん、キャンプシュワブ内の埋蔵文化財の位置関係はどうなっているんでしょうか』

これがキャンプシュワブの図ですが、名護市では1979年から81年にかけて名護市全域の埋蔵文化財調査を行っていて、その際にキャンプシュワブでも数日間、調査しています。その結果、こうした4ヵ所に埋蔵文化財があることを確認しています。これに日米が合意した移設案を重ねるとこうなります。防衛庁はこれらの兵舎を、滑走路の外のこの2ヵ所に移そうとしているのです。

『しかし、そこにも埋蔵文化財があることがわかっているんですよね。県民もやめて欲しいと思いますが』

なぜここを選んだかはわからないのですが、名護市教育委員会としては当然ここに建物を作らせたくないわけです。しかし、仮に調査を拒否したとしても防衛庁がコンサルタントなどを雇って調査をするわけで、であれば教育委員会としては文化財を守るために自ら調査したい考えです。

『そもそも文化財保護のための調査は、防衛庁ではなく文化庁の仕事ですよね。防衛庁の予算で進められているのも違和感があります』

はい。その点でも名護市の教育委員会では基本方針と違うと、懸念を示しています。

名護市教育委員会文化課・島福善弘主幹「(Q.(文化庁から)予算を取り付けて、それでしっかり調査をしたいという考えですか?)はい。これは名護市教育委員会としての基本的な方針であります。」「どこまで広がっているかとかですね、どういった性格の遺跡かというのは、文化財保護側(文化庁)がやる調査ですので、そういう中で予算も検討しておりますし、県や文化庁とも調整しております」

教育委員会では基地建設とは関係なく、調査のための予算を文化庁にすでに要求していて、来年度には計上されるとみています。そんな中、移設計画の実現を急ぐ防衛庁の下で調査に入ることに不安を感じているんです。

『しかし防衛庁は、教育委員会の望むようなきちんとした調査を待てないんでしょうか』

来月にも建設計画をまとめたいとして急いでいます。実際に、調査ができなかった先週木曜日には前日までに、防衛庁の幹部が施設局に対して『木曜日に必ずシュワブに入って、調査に着手したという実績を作れ』と指示し、その日は施設局と市の基地対策課の職員が基地に入って、マスコミに対し『調査に着手した』と発表したんです。そして翌日は教育委員会の職員を基地に入れるため、大量の警官を動員した様子からも、防衛庁の並々ならぬ決意が感じられます。

一方、教育委員会は、そもそも調査地点を指定されて『そこ以外は入るな』というような規制を受けての調査にも不満を持っています。県もV字型滑走路案に反対している中で、地元に説明もしないまま、作業をどんどん進めて既成事実化していくような防衛庁のやり方に疑問を感じます。

施設局はあす以降、教育委員会を伴って、改めて基地に入ると見られます。謝花記者でした。