2016年9月16日 18時32分

辺野古 違法確認訴訟 県側敗訴の判決

16-09-16-04

名護市辺野古の埋め立てを巡り、国が県を訴えていた裁判で福岡高裁那覇支部は翁長知事が国の指示に従わないのは違法だとする県側敗訴の判決を言い渡しました。

この裁判は、辺野古の埋め立て承認を翁長知事が取り消したことを巡って起こされたものです。

16日の判決で多見谷寿郎裁判長は、仲井眞前知事による埋め立て承認は違法であるとはいえず、翁長知事による承認取り消しの方が違法だと指摘。また、県側の地方自治法の解釈が誤っている事に加え、和解条項に従って定められた期間内に取消訴訟を提起すべきだったとして、県側の全面敗訴を言い渡しました。

裁判長は判決の後、県側が判決に従わなければ、「裁判所の権威を失墜させ、日本の国全体に大きなダメージを与える」と述べ、県に対し、判決に従うよう念を押しました。

翁長知事は「裁判所が政府の追認機関であることが明らかになりとなり大変失望をしております。今後最高裁判所に上告および上告受理の申し立てを行い、憲法で認められた地方自治が、本来の役割を果たすことができるよう力の限りを尽くして訴えてまいりたいと考えております」と話しました。

また菅官房長官は「国の主張が認められたことは歓迎したい。せっかく埋立の許可を得て、工事したのを一時中断をして今、和解に私も取り組んでいますから」と話しました。

街頭インタビューで県民は「最初から決まってるのではないかという感じがする、とてもがっかりした」「勝つのではないかと思っていた」といった声が上がりました。

また辺野古で座り込みを続けている人たちからは、「かすかに期待していた。裁判官の良心に」「司法は沖縄の民意を汲み取ろうとしなかったということ」などといった声が上がっていました。

オール沖縄会議の玉城愛共同代表は「こういう不当な判決がでましたが、辺野古に新基地は絶対に造らせない。これ以上人間の命を奪う行為を日米にさせない」と話しました。

また裁判所に駆け付けた女性は「沖縄の闘いを進める以外にない」と話したほか、男性は「決して落胆はしません。判決には屈しない。最後まで新基地建設反対で頑張って行こうと思っています。」と話しました。

ここからは取材した久田記者による記者解説です。

厳しい判決でしたね。

久田記者「裁判は、わずか2回で審理を終えてしまったため、県側に不利な判決が予想されていました。しかしそれでもきょうの判決に弁護団は、「考えられる中で最も悪いもの」だったと衝撃を隠せない様子でした。」

裁判のポイントをみていきましょう…

久田記者「判決のポイント、仲井眞前知事の承認は「違法ではない」というところです。県側は、仲井眞前知事が埋め立て承認したのと同じように、翁長知事にも取り消す権限があると主張していました。しかし、判決では、辺野古を埋め立てる必要性が極めて高く、環境が悪化するなどの不利益を考慮しても、仲井眞前知事の埋め立て承認は違法ではないと言っています。」

久田記者「さらに、普天間基地の騒音被害や危険性は深刻で、閉鎖する必要があるものの、海兵隊を県外に移転させることはできない。だから、県内に代替施設が必要で、それは辺野古以外にはない、とまで結論づけたんです。」

海兵隊の運用にまで言及しているんですよね

久田記者「そうなんですね。次に、取り消し処分は制限されるというところです。埋め立てには多大な費用と労力を要し、様々な利害関係も積み重なっているとして、埋め立て承認の取消しは制限される。つまり承認が法的に保護される、ということも言っています。」

久田記者「また、国側は、承認が取り消されることによって、日米間の信頼関係が破壊されるといった不利益を主張していましたが、それも追認しました。その上で、普天間基地の移設は基地負担軽減につながるので、「新基地建設に反対する民意に沿わないとしても、基地負担軽減を求める民意に反するとは言えない」とまで言っているんです。」

和解条項に従わなかった、というところもありますが、これはどういう意味?

久田記者「和解条項では、不服であれば、県側から国を訴えるべき、とあったんですが、県側はあえてそれをしませんでした。第三者委員会で「真摯な協議」を求められたからです。県はこの結論に従って、話し合いの姿勢を貫こうとしたのですが、裁判所は、和解した当時に決めた手続きを県が守らなかったことで、違法になったと断じました。」

本当に厳しい判決ですよね。

久田記者「判決を見る限り、民意を無視して行われた承認は「法的に」保護されるべきとし、民意に基づいて取り消された取り消しは「法的に」制限されています。県側からすると、理不尽としかいいようのない判決だったと思います。」

国が県を訴えるという今回の裁判、実は法改正されて初めて起こされた裁判でもあるですよね。

久田記者「はい、今回の「違法確認訴訟」がどういう背景で作られた制度だったのか、まとめてみましたのでこちらをご覧ください。

国が地方を訴える、「違法確認訴訟」。制度が設けられたのは、2012年。今回、沖縄が、全国で初めての例となりました。

龍谷大学法科大学院・本多滝夫教授「地方公共団体が国の関与に対して裁判で争うことができるのと同じように、国も、地方公共団体がやっていることについて裁判で争うことができるようにすると。これが対等な関係じゃないかという考え方があったわけです。」

そんな、禁じ手ともいえる制度が導入されたのには、きっかけがありました。国が導入を進めた、住民基本台帳ネットワーク、いわゆる「住基ネット」への接続を拒否する市町村が全国で続出したことから、地方を国策に従わせる仕組みが強化されたのです。専門家は、この仕組みが初めて利用されたことに危機感を持っています。

「そのまま放置をしておくと住民の生命や財産が侵害されてしまって、何とかしなきゃいけないというような場合に初めて訴訟を用いるべきではないか。不作為の違法確認訴訟が制度化して使えるようになったといっても、代執行と並ぶくらいの、最終手段として位置付けなければ本当はいけないようなもの」

国のいうことを聞かない地方は法廷に引きずり出してでも従わせようという姿勢が色濃く見えた裁判。国と地方が掲げる対等な関係は、風前の灯ではないのか、そんな疑問すら浮かびます。

この地方自治法とは別にもう一つ重要な法改正が最近行われています。

先月30日、県議会、立憲ネット学習会。

名桜大学 大城渡上級准教授「昨年警察法の一部改正が行われまして」「警察の任務の中にですね、これまでなかったんですけども、「特定の内閣の重要政策に関して、内閣の事務を助けること」これが国家公安委員会の任務として追加されることになりました。」

先月開かれた、県議や市町村議を対象にした学習会。辺野古や高江を巡る議論の中で法律の専門家は、ある法改正に警鐘を鳴らしました。

それは、去年、一部改正が成立した「警察法」。改正によって、警察組織を管理する「国家公安委員会」の役割の中に、「内閣・内閣官房を助ける」という文言が新たに付け加えられました。本来、政治的にも中立性の確保が求められる公安委員会の役割に、時の政権を助けるという役割が付け加えられたのです。

大城准教授「警察と内閣、時の政権ですね、政治と警察が癒着してしまう。警察権が政治的に悪用されないかどうか。警戒を要する状況になってきているということです。」

法案は、他の省庁にまたがる様々な法改正と合わせた形で提出され、成立していました。国会での審議でも、ほとんど触れられませんでした。大城准教授は、今後は国民がより注意深く警察活動を見ていく必要があると強調します。

大城准教授「現在の高江での警察活動と言うのは、県民が望んだ警察活動なのか、まったく県民の意思とはかけ離れたものになっています。辺野古の新基地建設は妥当なのか、高江のヘリパッド建設は妥当なのか、市民と沖縄防衛局の対立の間に警察が介入しても、何ら事態の解決、収拾には結びつきません。実際介入しても、事態が緊張するだけになっているかと思います」

久田記者「判決を言い渡したあとに、裁判所はさらに、県側に対し、県側が判決に従わなければ「裁判所の権威を失墜させ、日本の国全体に大きなダメージを与える」と述べ、判決に従うよう念を押しました。裁判長は、翁長知事が判決に従うと明言したことに対し「ありがとうございました」と述べて県側に一礼する異様な場面もありました。県側は、不服として上告することを決めています。」

以上、久田記者でした。

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