きょうはゲストを迎え『県内の医療危機』について考えます。きょうのビジネスキャッチーは「医療危機を考える~見え始めた病院ひっ迫~」と題して厳しさが増している県内の医療環境について考えていきます。
スタジオには県医師会の田名毅(たな・たけし)会長に来ていただいています。よろしくお願いします。
田名会長「よろしくお願いします」
早速ですが、県内医療は今どんな状況なのでしょうか?
田名会長「そうですね」「医療崩壊という状況にはなっていません。しかし、現場に大きな余裕はない、というのが率直な実感です。特に救急医療や地域医療の現場では、医師や看護師をはじめとする医療従事者が非常に厳しい環境の中で『踏ん張っている』状況です」「沖縄には多くの離島があるので限られている医療資源を広い地域で支えなければならない特徴があります。さらに現在は高齢化や救急搬送の増加もあり、現場の負担は年々大きくなっています。
県内の医療現場に迫っている危機。具体的な『5つの要因』がこちらです。
1 慢性的な「人・モノ」の不足 2 病院経営を圧迫する経済状況 3 人口構造の変化と超高齢化社会 4 低く設定された診療報酬制度 5 2024年問題(働き方改革)
まずは人手不足ですが、やはり医療界でも深刻ですか?
田名会長「はい。医療は人が支える仕事です。機械だけでは成り立ちません。しかし今、医師や看護師・医療スタッフの確保が非常に難しくなっています。加えて原油価格や医療材料費などの物価高騰、人件費の上昇が続いています」
それが病院経営を圧迫する要因にもなりますね。
田名会長「また、超高齢化社会により医療を必要とする人々が増える一方、現役世代は減少していて医療費や保険料の負担が増大しているのも問題です」
「低く設定された診療報酬制度」とはどういったことでしょうか?
田名会長「病院の収入の多くは国が定める診療報酬という公的な価格で決まっているので、急激なコスト上昇に十分対応できない状況にあります」
働き方改革で医師の残業時間に上限が設けられましたが、弊害も起きているそうですね?
田名会長「これまで長時間労働に支えられていた救急医療や診療体制の維持が困難になっていて、水面下では『受けるべき医療が受けられない状況』がじわじわと起きる『隠れ医療崩壊』が懸念されています。また、県内ではどこに相談すればいいか分かりにくい場面もあり、結果として救急外来に患者が集中しやすい状況があります」
「つまり『医療現場に迫る危機』というのは一つの原因ではなく、人材・経営・社会構造の変化などが重なり合って起きている問題なんです」
このままの状況が続くと県民生活にはどんな影響が出るのでしょうか?
田名会長「一番身近なところで言いますと『待ち時間が長くなる』『救急受け入れに時間がかかる』といった影響が出やすくなります。救急医療は限られた医療資源ですので、利用が集中した際には対応に時間を要する場合があります。また、診療体制を維持するために診療時間の制限やベッドの数を見直さざるを得ないケースも出てきます。医療というのは『必要な時に必要な医療を受けられる』ことが非常に大切です」
こうした背景がある中で現場は今「持ちこたえている」ということですね。
田名会長「はい。これは医療従事者一人ひとりの使命感と責任感による部分が非常に大きいと思います。コロナ禍でもそうでしたが、医療現場は『誰かがやらなければならない』という思いで沖縄の医療を支えています」「夜間や休日を問わず、多くの医療従事者が県民の命を守るために尽力しています」
この状況を改善するために必要なことは何でしょうか?
田名会長「まず大切なのは医療人材をしっかり確保していくことです。働き続けられる環境づくりや、若い世代が医療職を目指したいと思える社会にしていく必要があります。また、病院経営を支える制度面の見直しも重要です。特に物価高騰や人件費上昇に対応できる診療報酬のあり方については、今後さらに議論が必要だと思います」
「そして将来的には人口減少社会も見据えながら限られた医療資源をどう守るかという視点も必要になります。今後はそれぞれの病院が特徴を生かしながら地域全体で連携して医療を守る視点がさらに重要になると思います。」
医療現場はみなさんの努力で支えられていることがよく分かりました。私たち県民が一人ひとりの立場でできることはあるのでしょうか?
田名会長「お願いしたいのは『かかりつけ医』を持っていただくことです。普段から相談できる医師がいることで、病気の早期発見や重症化予防につながり、必要な時に適切な医療機関へつなぐこともできます。また健診を受けること、再検査と言われた時はきちんと受診することも非常に大切です。
「沖縄は健康面で課題があると言われていますが、医療だけで健康は守れません。県民一人ひとりの健康意識もとても重要です。そして救急医療は本当に必要な方が必要な時にしっかり受けられることが大切です。困った時には15歳未満の子どもの医療相談ができる「#8000」や、救急相談窓口の「#7119」といった仕組みを活用しながら、地域全体で医療が疲弊しないように支えていくことが大切だと思います」
日頃からかかりつけ医を持って、医療に関わることで結果的に病院経営を地域で支えることになるのですね。今は健康だから大丈夫という「他人事」ではなく「自分事」にすることが大切なんですね。最後に一言メッセージをお願いします。
田名会長「沖縄の医療は今も多くの方々によって支えられています、これから先も安心して医療を受けられる地域であるために、医療従事者だけではなく行政、地域、県民のみなさまと一緒に支えていくことが大切だと思っています」「自分や家族の健康を守ることが地域医療を守ることにつながる」という視点を持っていただければありがたいです」
きょうは県医師会の田名毅(たな・たけし)会長を迎えてお送りしました。ありがとうございました。
田名会長「ありがとうございました」
ビジネスキャッチーでした。
