ここからは、検証「動かぬ基地」です。普天間基地の返還合意が発表されて、きのうで30年になりましたが、基地の早期閉鎖・返還のめどは、全く立っていません。次の世代に残したくないと、地元で基地被害を訴え続ける男性を通して普天間の現状をお伝えします。
新垣清涼さん「音がウワーって体の中に入って切り刻むような感じ、だから耳を抑えてしばらくすぎるのを待つ」
宜野湾市の中央に位置する「普天間基地」。住宅地に囲まれているこの基地は、「世界一危険な飛行場」と言われています。
1996年4月12日、日米両政府が基地の全面返還を発表してから30年になりますが、早期閉鎖・返還のめどは立っていません。
国が「唯一の解決策」として新基地建設工事を強行する名護市辺野古。完成時期は、2030年代と言われていますが、県は、工期の遅れや「危険性除去につながらない」と主張し平行線のままです。
新垣清涼さん「返還できるというから良かったねと、本当にそれまでにはちゃんと次の跡地利用についてはみんなで計画していかないといけんなと」「非常にいい街作りができるなとおもっていたけどね」
返還合意が発表された当時、宜野湾市議だった新垣清涼(あらがき・せいりょう)さん。基地を取り巻く現状は30年前と大きく変わっていると話します。
新垣清涼さん「(騒音が)最初の頃よりもひどくなっている。オスプレイが配備されてから余計に(米軍機の)飛行回数が増えている」
濱元晋一郎記者「住宅地の上空をアメリカ軍のヘリが飛行しています、私の手元の騒音計では80デシベル以上が記録されています」
今月9日、QABでは基地周辺を取材、基地周辺ではアメリカ軍のヘリやオスプレイが、昼頃から夜まで断続的に周回していました。騒音計を使って測定してみると「人がうるさいと感じ会話が難しくなる」とされる70デシベルから「大声で0.3メートル以内でなら会話可能」とされる80デシベル以上の騒音が何度も確認されました。
沖縄防衛局は、基地から派生する騒音を測定するため市内に測定装置を4か所に置いています。最大騒音レベルが70デシベル以上で、継続時間が3秒から5秒以上を記録しています。
このうち、市内の大謝名地域では、去年8月からことし2月までに、1日平均20回から30回ほどの騒音が記録され、とくに2月18日は1日に106回もありました。また、宜野湾市に寄せられた騒音などの基地被害についての苦情は、2025年度1134件と、前の年度の3倍以上となり、過去最多となっています。
「うるさくて窓が開けられない」「業務上、昼間に睡眠を取りたいのに全くとれない!ペットも怯えている、恐怖感感じるレベル」「22時過ぎてるのに、ヘリがうるさい」「ヘリが朝の7時からずっと現在もうるさくて、今、一番大切な明日は高校受験の日ですよ?うちも受験生がいます。もう大変ですよ、こんなでは」
私たちが取材していると近くにいた小学生が、学校での騒音について話してくれました。
小学生「この音の1000倍くらいうるさいよー」「授業中とか体育の時に音が聞こえる」「授業中もガーってきこえる」
新垣清涼さん「(私が)小学1~2年生の頃は普天間基地の滑走路に行って運動会の選手を決めようと走り競争をしたくらい、そのくらい飛行機が飛ばないんだから」「あの時はそんなにうるさくもないし、兵隊もこっちにはそんなにいないから、そういう時期もあったんですよ。これがもうフェンスがはられるようになって、どんどん(飛行の)回数が多くなって」
返還合意はされたものの、市民は、依然アメリカ軍機の騒音に悩まされる日々が続きます。市議だった新垣さんは仲間と一緒に2002年、普天間基地の早朝・深夜の飛行差し止めと健康被害などによる損害賠償を求めて集団訴訟を起こします。
「第1次普天間爆音訴訟」は、およそ9年の裁判の末、裁判所はアメリカ軍機の騒音は違法だとしつつも、飛行差し止めについては軍の活動を政府は制限できないとして認めませんでした。現在も市民ら5875人が原告になった、3回目の「普天間爆音訴訟」が続いています。
新垣清涼さん「やっぱり自分たちが嫌な思いをしているのに、それを知らんふりをして次の世代に引き継ぐわけにはいかんだろうと、孫や次の世代にこういう悪い環境をそのまま引き継いでいくのは忍びない」
そして、基地の騒音は住民の健康にも影響があると専門家は指摘しています。
音環境・音響アドバイザー渡嘉敷健さん「心理的影響、生理的影響などの頭痛がするとか、イライラするとか、そういった疾患とまで言うかわかりません。けどそういった日頃の不快感ストレスというのは、たまりやすい状況下にあるんではないかなというふうに思われます」
琉球大学工学部で航空機騒音の影響を研究を行い、現在、音環境・音響アドバイザーの渡嘉敷健さんです。
渡嘉敷さんは、イギリスの研究機関の80デシベルの騒音にさらされると、心臓疾患になるリスクが高まるというレポート紹介し、普天間では軍機が長時間上空を旋回するため、騒音にさらされる時間が民間空港より極端に長くなると話しています。
音環境・音響アドバイザー渡嘉敷健さん「人間の聴覚に影響を及ぼすのではないかというふうな認識はありますね」「(騒音による振動で)心臓疾患だとか、イライラするとか、胸の圧迫感があるとか、頭痛とか、耳鳴りなどの影響を訴える方はいらっしゃるので、そういう問題っていうのは発生するんじゃないかなと」
新垣清涼さん「普天間第二小があの方向なんだけれども、ジェット戦闘機が飛んでいくから、小学校の子どもたちが多分耳ふさいでいるだろうなと思う」
基地に隣接する畑で野菜を育てている新垣さんは、いまも爆音にさらされ続けています。
新垣清涼さん「子どもたちがのびのびと、上からは雨以外落ちてこない、そういう安心したところでのびのびと暮らしてほしいと思いますね」
記者によると取材中に話しかけてきた小学生の男の子は「授業中に米軍機が飛ぶとうるさくて耳をおさえている、先生の声も聞こえないから 授業が中断して通り過ぎるのを待っている」と教えてくれました。
返還合意発表からから30年が立ちますが、住民たちの求めている「平和な空」はいつ戻ってくるのでしょうか。
