ここからは、県経済の動きをわかりやすく解説するコーナー「早わかりビズ」です。きょうは「琉球銀行 総合企画部 サステナビリティ推進室」の富山 麻美(とみやまあさみ)さんにお越しいただきました、よろしくお願いします。
富山 麻美さん「よろしくお願いします」
今回のテーマはこちら「金融経済教育とファイナンシャルウェルビーイング」についてです。このところ日経平均株価が史上最高値を更新など、金融市場は活況を呈している感じがあります。これらが私たちの暮らしとどう関わるのか、富山さんと一緒に考えていきます。まず「金融経済教育」について教えてください。
富山 麻美さん「2022年の高校学習指導要領で『金融経済教育』が拡充され、2024年には金融経済教育推進機構『J-FLEC』が設立されました。国を挙げて金融リテラシー向上に取り組んでいます」

金融に関する知識を高めていこうという事ですね。どうしていま「金融リテラシー向上」に向けての取り組みが進んでいるのでしょうか。
富山 麻美さん「背景には、成人年齢が18歳に引き下げられたことによる若年層の契約などに関する知識の必要性が増したことや、新NISA等による資産形成の拡大、キャッシュレス決済の複雑化、また金融トラブルや詐欺の増加など、様々な場面でお金に関する知識が必要になってきています」

特殊詐欺のニュースは何度もお伝えしていて被害額も増えています、便利さが増す一方で正しい知識を持たないと判断が難しい場面も増えてきているということなんですね?
富山 麻美さん「そうですね、お金に関する一般的な知識があれば避けられるトラブルや、自分に必要なものかを判断することができることも多く、多くの金融機関でも金融経済教育の取り組みに力を入れています。そんな中、近年は『ファイナンシャルウェルビーイング』という考え方についても注目が集まっています」
「ファイナンシャル・ウェルビーイング」これはどういう意味ですか?

富山 麻美さん「簡単に言うと『お金の安心と幸せ』です。『収入』や『資産』が多いか少ないかではなく、日々の暮らしで安心感があり将来にも自信を持って人生を楽しめる状態を指します」
「お金が多ければ幸せ」という考え方ではないんですね?
富山 麻美さん「そうなんです、収入が多いと支払いの心配は減りますが、それだけでは人生を楽しむ選択ができるとは限りません、こちらをご覧ください。これは内閣府の『国民生活に関する世論調査』結果から、三井住友トラスト・資産のミライ研究所が作成したものです。『働く目的は何か』という質問に対し『お金を得るために働く』という回答が7割を超え、年々増加傾向にあります」

7割以上ですか!これだけ多くの方が「お金のために働いている」と答えているのは驚きですね、では金融リテラシーとの関係はどうなっているのでしょうか?
富山 麻美さん「はい、続いてこちらをご覧ください。『金融リテラシー』と『働く目的』の関係ですが、実は金融リテラシーが高い人ほど『お金を得るために働く』という回答が少なくなる傾向にあります」
富山 麻美さん「続いて、こちらのグラフは年収別に『金融リテラシー度』と『働く目的』の関係を表したものです。年収がどの水準でも金融リテラシーが不足気味な人ほど『お金を得るために働く』という割合が多く、金融リテラシー度が良好な人ほど『お金を得るために働く』という割合は減少しています。つまり、金融リテラシー度が高いほど、働くことにお金以外の目的を見出しやすく、自己実現の手段として働くことをとらえることができやすくなるということが言えます」


働くことを自分の才能を発揮する場面や生きがいを見つける場面だと捉えられると、その後の人生観が大きくかわりそうですね。
富山 麻美さん「そうですね。お金の知識は投資やローンだけでなく、日々の暮らしや生き方にも深く関わります。お金に振り回されず、自分らしい人生を歩むためにも、少しずつ学んでいきたいですね」
それでは、具体的に私たちは何をすればいいのでしょうか。
富山 麻美さん「まずは、何といっても自分の人生をどう生きたいか、将来何をしたいかなどの『ライフプラン』を考えることです。そして、日々の暮らしの中で気になることから、少しずつお金の知識を学んでいくことが大切です。現在、県内の色々な金融機関で主に学生向けに金融経済教育の取り組みも実施していますので、ご家族で話し合いながら一緒に学んでみてはいかがでしょうか」

まずは「知ること」から、そして家族や周りの人と話すことから始めてみたいですね。「お金や働くこと」に関する考え方が変わる事で、将来への安心につなげていければと思います。
きょうは、琉球銀行 総合企画部 サステナビリティ推進室 富山 麻美(とみやまあさみ)さんに、わかりやすく解説していただきました。冨山さんありがとうございました。
富山 麻美さん「ありがとうございました」
ここまで「早わかりビズ」以上、ビジネスキャッチーでした。