2024年、性的暴行を加えようと女性を襲い、けがをさせたとして不同意性交等致傷の罪に問われているアメリカ海兵隊員の男の裁判で、検察は懲役10年を求刑しました。
起訴状などによりますとアメリカ海兵隊の上等兵、ジャメル・クレイトン被告(22)は、2024年5月、本島内で性的暴行を加える目的で女性の首をしめるなどし、全治2週間のけがをさせたとして不同意性交等致傷の罪に問われています。
これまでの裁判で被告は「疑われるようなことは、一切していない」と無罪を主張しています。
2025年6月9日に開かれた裁判員裁判で検察側は「被害者の証言などは客観的証拠と整合していて信憑性が高い」としたうえで「被害結果が重大で被告は謝罪もなく酌量の余地はない」として懲役10年を求刑。
一方、弁護側は「被告人は当時の出来事を細かく記憶しているが被害者の証言は疑問点が多い」として改めて無罪を主張しました。
裁判は6月9日で結審し、判決は2025年6月24日に言い渡される予定です。
記者解説 不同意性交等致傷の罪に問われている米兵の裁判

裁判で明らかになった事件の経緯と裁判の争点について記者解説でお伝えします。
本村記者「今回の裁判で、不同意性交等致傷の罪に問われているのはアメリカ海兵隊上等兵、ジャメル クレイトン被告(22)です。被害者は県内に住む成人女性となっています。2人に面識はありません」
この事件はどのようにして起きたのでしょうか?
本村記者「起訴状や検察の資料によりますと、去年5月事件の前夜、女性は友人の誕生日を祝うため繁華街で飲酒をし、早朝、交際相手宅に1人で帰宅しようとしていたところ、被告から『1人で歩いて帰ったら危ないから送るよ』などと声を掛けられました」
女性は「『知らない人だし家を知られたくない』と何度も断りましたが被告もタクシーに乗り込みました。被告は女性の交際相手宅まで付きまとい寝室で交際相手が寝ていることを確認したうえで、被告は性的暴行を加えようと女性の背後から腕を回して首を絞めつけるなどして全治2週間のけがをさせたということです」「女性に抵抗され被告が立ち去ったあと、女性が警察に通報したことで事件が発覚しました」
これまでに裁判員裁判では、それぞれどのような主張をしていたのでしょうか?
本村記者「この裁判の争点は2つあります。1つ目は『女性の同意の有無』2つ目は『Aさんのケガが被告の暴行によってできたものか』という点です」
本村記者「まずは、検察側の主張から説明します」
「争点1の『女性の同意の有無』について、検察は女性が断っているにもかかわらず、被告が交際相手宅まで付きまとい、首をしめるなどし暴行を行おうとしたと主張」「被害者が事件後、友人に送ったメッセージのなかで、『レイプされた』『殺されそうになった』などのやり取りを残しています」
本村記者「2つ目の争点『ケガが被告の行為によってできたものか』について、被害者の診断書や医師の所見などを提示しました」
「女性が負った両眼結膜下出血は『頸部を手で強く締められて発症した可能性が高い』との診断結果を示したほか、医師からは『亡くなっていてもおかしくなかった』とケガの程度を重く捉える見解が示されました」「また、女性は裁判のなかで『自分が体験した辛い思いを軽く見てほしくない』と被告への厳罰を求めていて、検察は被告に10年を求刑しました」
クレイトン被告の主張はどうでしょうか

本村記者「被告は女性の承諾を得たうえでタクシーに乗車し女性を家まで送り届けると立ち去った。いかなる暴力行為も行っていないと訴えています」
「これまでに行われた被告人質問で、弁護人が『被害者とタクシーに乗った理由』について尋ねると被告は、『彼女から誘われた』と答えた上で、『傷を負わせるようなことはしていない』と主張しています」
「また、女性のケガについては『彼女のあのような姿を見てすごく苦しかった』『誰がやったのか分からない』と女性が主張する暴行への関与を否定し、無罪を求めています。
検察、被告の主張が真っ向から対抗していますが裁判所の判断のポイントはどこでしょうか?
本村記者「被害者の証言やケガを負った経緯、友人とのやり取りを記録したメッセージなど『客観的証拠』をどのように判断するのかが考えられます」
ここまで本村記者とお伝えしました。