2015年に小中学生を対象に行った沖縄子ども調査。子どもの困窮世帯の割合が29・9%と3人にひとりの子どもが貧困状態にあるという衝撃的な結果は、社会に大きな課題を突き付けました。あれから10年あまり、対象調査の区分を変えながらも県は独自に継続的に子ども調査を行ってきました。
今年度公表された調査結果と民間や県の支援の輪の広がりについてお伝えします。
5月26日玉城デニー知事「物価高騰で生活が苦しくなったと大いに感じると答えた保護者6割を超えていることから、生活困窮感はこの3年間で深刻化していると推察される」
今年5月、県は県立高校に通う高校2年生とその保護者を対象にした2025年度、沖縄子ども調査の結果を公表しました。
その中で調査では困窮世帯の保護者の78.4%が生活が苦しいと答え、高校生調査が始まった10年前の2016年度の調査より10.1ポイントも悪化しました。
現在の暮らしの状況をどのように感じてますか?2025年「苦しい78.4%」2016年「苦しい68.3%」10・1ポイントの悪化
困窮世帯の割合「2025年、21.4%(困窮)」「2016年29・3%」(4人世帯の年収276万円未満を困窮層世帯と位置づけ)
また、困窮世帯の割合は2025年は21・4%で、2016年の調査に比べて7.9ポイント改善しました。
この10年で困窮世帯は数字的には減ったものの、食料や衣料が買えなかった経験があるという世帯は3年前の調査よりも、どちらも増加していて、物価高騰が家計を締め付けていることが浮き彫りになりました。
食料が買えなかった経験
衣料品が買えなかった経験
沖縄こども調査を始めて10年。調査に関わった琉球大学の二宮元教授は、こう指摘します。
二宮教授「貧困率自体は下がっているんですけれども、生活実感ですね、生活が苦しいという風に回答している親保護者の方の割合というのは増えて上がっているんですよね。単純に貧困は少なくなってきたなという風には言えない」
この10年「こどもの貧困」が社会全体の問題と注目され子どもたちを支えようと、行政や民間でも各種の支援が広がっています。
県教育委員会では今年度から中学や高校の体育連盟や文化連盟などが主催する大会への派遣費を拡充し基金を設置しました。
県教育庁保健体育課 宮里和宏班長「これまで航空運賃を対象として補助の方をしてきたんですけれども、今回は、航空運賃に加えて宿泊費の方も加算した形に拡充しています」
「沖縄県部活動大会参加支援基金」を設置、県教育委員会県中学校体育連盟、県高等学校体育連盟、県特別支援学校体育連盟、県中学校文化連盟、県高等学校文化連盟が実施する大会に対して派遣費の拡充。
携帯電話修理販売を手掛ける企業がスマートフォン無償提供 6月28日
「おめでとうございます」
先月、那覇市で100台のスマートフォンがひとり親家庭の子どもたちに無償で贈られました。
4年生女子「うれしいです きれいです」
母親「すごい助かります。新しいものとか絶対買ってあげられないので助かります」
この取り組みを続けているのは、スマートフォンの修理や買取販売を行う「イケモバ」を運営する「イーグル」です。代表の池原恭兵さんは7人兄弟のひとり親家庭で育ちました。
イケモバ 池原社長「小さい時に友達が携帯持っていて僕だけ持っていないみたいな、僕だけ公衆電話に行ったりとか友達のいそうな場所に行ったりだとか、そういう期間があったので」
池原さんは、子ども時代の経験が、母子家庭の支援プロジェクトにつながり、今回6回目のイベントを開催しました。これまでおよそ500台のスマートフォンを無償提供しています。
提供する携帯電話は壊れたりして、店に持ち込まれたものを修理したものです。さらに「沖縄のひとり親家庭を支えたい」という思いから新たに応援ウェブサイトも公開しています。
イケモバ 池原社長「「沖縄のひとり親家庭とか母子家庭とかの問題貧困の問題に対して皆さんに興味を持ってほしいなっていうので検索するだけで10円寄付されるというような仕組みを作りました」「今後は、自分なんかだけでなく、沖縄の企業も巻き込んで一緒に盛大に地域に還元できることをできたらいいなっていうふうに思います」
行政や民間企業での支援の輪が広がりをみせる一方で、二宮教授は一歩踏み込んだ課題解決が必要だと話します。
二宮教授「子育てをしている世代の働いて得られる所得が低いということが沖縄のこどもの貧困率を高めている一番大きな要因になっているんだと思います。そこの親の所得が明らかに全国と比べても低いというところが沖縄の貧困問題の一番の大きな特徴であり、原因になっているのかなという風に思います」「実際、この10年間に、それほど行われてきていない分野でもありますから、そういった点についても少し官民一体になって取り組んでいくという方向性なんかも必要なのかなというふうに思います」
ここからは、比嘉記者とともにお伝えします。よろしくお願いします。困窮世帯の割合が改善したからといって様々な視点からの対策が必要なんですね。この10年沖縄県としては、子育て世帯へどんな支援を行ってきたのでしょうか?
比嘉記者「沖縄こども調査のデータから読み取れる明るい兆しがあった面を紹介します。まず、こちらの設問です。「1か月あたりの通学交通費」について「バス」や「モノレール」を利用している場合「困窮世帯」で通学費がかからないと答えた割合が1%から41.6%と大幅に増加しました」
また、こちら 高校卒業後の進路について生徒に聞いた設問です。10年前の進学希望が75.1%、2025年度は 77.2%と10年前に比べて2.1ポイント進学の割合高くなっています。
さらに第一希望の進学先について生徒に尋ねた設問では、このような状況が分かりました。全体でも困窮世帯でも「県外大学」を選択する生徒が増加していることも明らかにになりました。
大学授業料を支援する制度なも進学希望にもつながっているようにも見えますね。
比嘉記者「この10年、県が行った子ども向けや子育て世帯への概要や主な支援策がこちらになります。
「高校生等にバス・モノレール通学費支援」「子ども医療費の助成(子ども医療費の窓口無料化)」「無料塾や進学チャレンジ事業等の学習支援」「学校給食費無償化に向けた支援」
こどもの大学進学意欲の向上や、通学費の負担軽減といった一定の成果が見られたんですね。
比嘉記者「このように幅広いこども支援の仕組みが整備されたことも功を奏していたと考えられますよね」
こどもの声を聞いてさらなる施策の充実につながることがもとめられますね。
比嘉記者「きのう国が公表した調査からも、世帯の半数以上で生活が苦しいと回答しています。長引く物価高は先が見えず、切り詰めるにも限界があります。わずかに収入が増えただけで非課税世帯でなくなったり、非課税世帯に該当しない世帯からも「生活が苦しい」という声も聞かれます。そういった非課税世帯の要件の見直しも検討した方がよいのではと感じました」
「また二宮教授がおっしゃっていたのは、子育て世代の30代40代の賃金があまり上がらないために、子育てする費用がまかなえないという状況もあるということ、賃金水準の引き上げが必要だと話していました」
子どもたちが家庭環境によって夢や希望をあきらめない社会を作っていきたいものです。
以上、ここまで比嘉記者とともにお伝えしました。
