続いては特集です、琉球王国時代から沖縄や周辺の島々で古くから使われてきた伝統木造船「サバニ」ってご存じでしょうか?数少ない貴重な船ですが、時代の変化とともに今では造り手もごくわずかしかいません。
そんな沖縄の伝統文化を守ろうとひとりの若者があるプロジェクトを立ち上げました。サバニ文化を未来につなげたいその想いとは?
本島からおよそ40キロの場所に位置する座間味島、ケラマブルーと称される豊かな海で、沖縄の伝統木造帆船「サバニ」を使った体験ツアーが行われました。
澤本さん「エンジンが無くて、風の力を受けて人間がエークと言う櫂で漕ぐ本当に自然と一体になれる乗り物なので魅力的な船だと思っています」
そう話すのは広島県出身で10年前に座間味島へ移住した澤本惣平(さわもとそうへい)さん、サバニやSUP、シュノーケルなど、島の大自然を体験できるマリンショップ「チナジュン・ザマミ」を運営しています。
男性客「風がそよそよして暑くもなく寒くもなく、とてもいい感じでした」
女性客「昔の船、沖縄の船を自分たちで漕いで、すごい楽しかったです。皆も座間味に来た時には是非サバニツアー行ってください」
沖縄や周辺の島々で古くから使われてきた伝統木造帆船サバニですが、時代の進歩とともに乗り手と造り手の数は次第に減少しています。
澤本さん「唯一沖縄の伝統的なサバニを昔から造っている方なんですけど、その人も75歳で元気なうちに新しい船を増やしておきたい想いもあって」
このままでは沖縄の貴重な伝統文化が姿を消してしまう、そんな現状を不安に思った澤本さんは地域文化の保存を目的としてクラウドファンディングを開始します。多くの支援者の温かいサポートと信頼が集まり目標金額を達成、新しいサバニの製作をスタートさせました。
去年12月、サバニの土台となる木が糸満漁協漁船保全修理施設に運び込まれていました。サバニは、宮崎県の飫肥杉(おびすぎ)と言う木で造られ、昔ながらの手工具を使い、手作業で組み立てられます。耐久性と機動性を両立させた設計が特徴です。
大城さん「この造りは昔の人たちの知恵の塊で、つくづく誇りに思いますよ」
糸満漁協漁船保全修理施設の管理人大城清(おおしろきよし)さん、僅かに残るサバニ職人のひとりで、伝統技術を現代に伝え続けている貴重な存在です。
大城さん「工芸品的な美しさ、(サバニは)美しさも追求されている、そこがカッコイイよね」
この日、澤本さんと一緒に訪れたのは座間味島観光大使でタレントの田中律子さん。澤本さんの熱い想いに共感し、サバニの製作を進める取り組みを支援します。
田中律子さん「何回もサバニは乗せて頂いていて、めちゃくちゃ楽しいので、これはやはり未来に残していかないと、伝統工芸だからね」
澤本さん「2月に来た木が半年乾かして、今から加工に入ってくれると言う事で、造り始めると1週間1週間で形が変わって来るので、時間作ってちょこちょこ見に来たいと思っています」
製造が始まっておよそ1か月、再び澤本さんが訪れると船の側面に使われる舷側材2枚がサバニの形に姿を変えていました。サバニは、釘やビスといった金属を一切使わず木と木を「フンドゥー」と呼ばれる木製の栓や竹の釘で繋ぎ合わせて造られます。
職人の手によって一つひとつ丁寧に造られたサバニは、しっかりと手入れをし続ければ100年でも乗り続けられる船だと言われていて、大城さんの弟子、高良かずあきさんとともに制作していきます。
大城さん「伝統の船、歴史のある船、非常に価値のある文化遺産としての価値のある船だと思いますよ」
澤本さん「前回は、粗削りで木を乾燥させている状況だったんですけど、今から曲げる工程に1月の中旬ごろから入ると言う事なので、そうするとサバニの形になると思うので楽しみ」
この日は、サバニの両側面となる舷側板をひねりながら曲げ船の形に矯正する、矯め(ため)の作業が行われました。木材を損なわないように、ゆっくりと曲げていく「矯め」はサバニ建造の作業全体を通して最もデリケートな工程です。
Q お湯をかける理由ってあるんですか? 高良さん「ストレッチですよ、人間の身体もそうじゃないですか、身体が温まると曲がりやすい。今100度近くありますよ」
Q 足熱くないですか? 高良さん「撥ねてくる水は冷えてますよ」
2枚の舷側材を固定し、ターンバックルで締めこみ、木材同士を引き寄せて徐々に曲げていきます。節の数や位置、木目の状態などが1枚ずつ異なる木材を左右対称に曲げていくのは造船技術者の腕の見せ所です。
澤本さん「緊張と言うか、すごい複雑な気持ちにもなっているんですけど、高良さんとか、清さんとかが、愛情込めて造っているのを実際見れて、今からも追って行きたいと思います」
大城さん「職人として恥ずかしくない、立派な船を造ってあげないといけないですからね」
座間味島で始まった伝統を受け継ぐプロジェクト、サバニ文化を「動く文化遺産」として未来へつなぐ挑戦はこれからも続きます。
こちらは、澤本さんが先週撮影した写真です。船底も綺麗に出来上がりつつありますね。職人の手作業でこれまで綺麗に仕上がるんですね。
こちらのサバニなんですが3月末には完成予定で、4月中旬には糸満からサバニを漕いで座間味島へ向かうそうです。
みんなの想いが詰まった「サバニ」完成が待ち遠しいですね。
