著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

県がアメリカのワシントンに設置した事務所について設立経緯の問題点をまとめた報告書を県が14日公表しました。事務所を巡る事務的な処理の過失として、職員6人を訓告にしています。

基地問題に関する情報発信などを目的に、県が設置したワシントン事務所は株式会社に当たる組織を現地での受け皿として設立したことで、行政手続きの不備を指摘されました。

2025年初頭の県議会では、事務所の継続に向けた予算の議論が紛糾。県が設置した弁護士らで作る調査検証委員会が「設立手続きに重大な瑕疵がある」と提言したことで県側は事務所の継続を断念し、2025年6月に閉鎖しました。

このワシントン事務所の一連の経緯について、県側が報告書をまとめ、14日に公表しました。

併せて事務所の設立時や、そのあとに手続きを行わなかったことなどを理由に、職員6人を11月13日付けで訓告にしています。

玉城知事は「行政の長の責任として私自らの減給を決断した」と、会見で職員の訓告について説明したほか、自身の減給も今月中にも議会に提案する予定だとしました。

玉城知事は「どの段階で事務所を再開できるかも鋭意検討したい」と述べ、事務所の再開について必要性を強調しています。


記者解説 ワシントン事務所再開の可能性は?今回の報告書と訓告の意味

ワシントン事務所の設立経緯報告書/知事「再開時期は鋭意検討」関係職員6人を訓告

ここからは塚崎記者です。今回の報告書、要点はどのようなところなのでしょうか。

塚崎記者「事務所設立の経緯についてまとめた今回の報告書では、アメリカ側の法律をクリアすることに集中して、日本側の法律をクリアすることの検討が不足していた点や、県庁とワシントン事務所、委託先の企業などとのコミュニケーション不足が重なったことなどを挙げていました」

「これを踏まえて、玉城知事は自身の給与をカットする意向を示したほか、職員の訓告を発表したことで、県として一定の姿勢を示した格好になります」

今年3月の議会では事務所に予算をつけるかで議論が紛糾し、結果的に閉鎖した経緯もありました。きょうの会見でも、県は事務所再開に向けて意欲を示していますが、改めてこの問題どのように見るべきなのでしょうか。

塚崎記者「はい、ワシントンにでは日本大使館が辺野古新基地について不都合な情報を打ち消そうとした経緯も確認されています。こうした点から考えても、アメリカ政府や議員などに沖縄側の視点で基地問題について情報を伝えることはある程度必要だといえます」

「しかし、その形態がどうあるべきかという点は別問題です。重要なのはワシントンでアメリカ政府や関係者に沖縄の現状を伝えるチャンネルを持つべきか否か、という点と、県の事務所設置も含め、やり方はどうあるべきか、行政や法律上の問題はどうクリアするのかという2つの議論を混同せず行うべきことだといえます」

ワシントン事務所を巡っては、県議会の百条委員会で議論が続いています。再開ありき、廃止ありきではない冷静な議論が望まれます。