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ここからは沖縄で今を懸命に生きる人々にスポットを当てる「イマジンおきなわ」です。

島の伝統と日常を切り取った沖縄発のブランドに込められた思いと挑戦を取材しました。島の豊かな自然風土の中で育まれてきた「紅型」大胆で華やかな色彩と繊細な模様で人々を魅了し続けてきました。

その伝統ある紅型に、現代のアレンジを加え、「沖縄」を表現するブランドがあります。沖縄の伝統工芸『紅型』を独自のアレンジで服に取り入れた唯一無二のブランドがあります。

#IMAGINEおきなわ vol.83「島の誇りを身にまとう 沖縄発ブランドYOKANG」

YOKANG(ヨーカン)です。そのデザイナーを務めるのが、山内カンナさんです。伝統芸能の衣装や装飾品など芸術的な要素が強かった『紅型染』を「服」に取り入れた第一人者母・光子(みつこ)さんの影響を受けて2002年、夫でデザイナーの洋(ひろし)さんとお互いの名前をとってYOKANGを立ち上げました。

YOKANGデザイナー 山内カンナさん
「先人がつないでくれた紅型を母親が洋服につなげてくれて。私がいるというのは誇りに感じていて、文化がある島で生まれたことをすごく誇りに感じている」

生まれ育った沖縄に対して感じている「誇り」それこそがYOKANGのコンセプト。「誇れる服」をテーマに、デザインには島で受け継がれてきた歴史や文化、自然を取り入れています。

例えば、この柄。王国時代に交易を担った「進貢船」がモチーフになっていて大海原の風を受けて、前へ前へと進む姿を描いています。また、商品は店内に並んでいるものだけでなく、好きな色・柄を選んでオーダーできます。

YOKANGデザイナー 山内カンナさん
「自分がどうありたいか。どう生きたいかといったテーマを描ける服というのはなかなかないのではないか。お客さんが選んでお客さん自身で決断していくのは一番の強みだと思うし、お客さんもそれを楽しんでいるんじゃないか」

#IMAGINEおきなわ vol.83「島の誇りを身にまとう 沖縄発ブランドYOKANG」

「染め」の美しさを生かしながらも日常的に着られる服へ。高価な紅型を暮らしに取り入れるために工夫したのは、その手法です。染めの作業には「筆」ではなく、エアブラシを利用し型に染料を吹き付けて、デザインを施します。

また最先端のプリント技術を導入して、オリジナルのデザインをデータ化。表現の幅を広げました。その人気は県内だけに留まらず、海外でも注目されています。

この日、山内さんが追われていたのはハワイで毎年開かれるファッションショーの準備。沖縄にルーツを持つ若者の進学資金などの奨学金造成を目的に続けられてきた歴史あるチャリティーイベントです。

YOKANGデザイナー 山内カンナさん
「移民125周年という記念すべき時だからどうしてもYOKANGに来て欲しいと言うので」

#IMAGINEおきなわ vol.83「島の誇りを身にまとう 沖縄発ブランドYOKANG」

1900年。沖縄からの移民が初めてハワイに到着して125年の節目となる今年、ショーの依頼がありました。1時間に及ぶショーでは、現地モデルを中心に50着以上のドレスを披露します。

山内さんは出演するモデルとともに舞台演出を考えたり…衣装を制作したりと大忙しです。そんな中でも忘れないのが遊び心。

YOKANGデザイナー 山内カンナさん
「ハワイといえば豚ちゃんですよ」

戦後、食糧難に苦しんでいた沖縄。そこへ救いの手を差し伸べようと、ハワイの県系人らが送ったのが…豚550頭をはじめとする食料です。この豚のぬいぐるみは、その史実に基づいた演出です。

YOKANGデザイナー 山内カンナさん
「何かしら皆さんが勇気をもらったり、ハッピーになって帰れるお土産を持たせられたらいいなと思う。(世界に広めていきたい)沖縄という小さな島だがこういう伝統工芸を守っている面白い島とか そういうことで広まっていけばいいなと思っている」

紅型の伝統を守りながら、新しい表現で未来へつなぐ。その思いが、沖縄の誇りを世界へと広げていきます。

伝統を守りながら、新しい発想で挑戦する姿に力を感じますね。そして私もきょう、自前のYOKANGの服を着てきました。取材で追いかけている「首里城」を染めたものです。このように好きな色、好きなデザインで仕立ててもらえると特別な一着になりますし、服からパワーを貰える気がします。

#IMAGINEおきなわ vol.83「島の誇りを身にまとう 沖縄発ブランドYOKANG」

さて、VTRで紹介した「島の誇りを世界に」という山内さんの思いの下、実現したショーはどうだったのか──映像が届いています。

先月27日(現地時間)ホノルルで開かれた今年54回目を迎えたファッションショー【Hui Makaala】(フィーマカアラ)800人以上の観客が見つめる中プロのモデルだけではなく、現地の県系人などおよそ40人がランウェイを歩きました。「結、結び」テーマに琉球の時代から現代への移り変わりを表現しています。

舞台は、大盛況で幕を下ろしたということです。

そうですね、会場では特に若い世代がYOKANGオリジナルの染めに興味を持ってくれたと山内さんうれしそうに、話していました。これからも世界へ沖縄を発信するYOKANGの挑戦は続きます。