任期満了に伴う与那国町長選挙が、8月24日に投開票され、新人の上地常夫さんが当選しました。
8月24日に投開票が行われた与那国町長選挙は、新人で前町議会議員の上地常夫さんが557票、現職で2期を目指した糸数健一さんが506票、新人で前町議の田里千代基さんは136票で、上地さんが初当選を決めました。投票率は90・83%でした。
上地常夫さんは「現政権(町政)を町民の皆さんがそれではいけないという判断が下った」と話しました。
保守系候補の上地さんですが、糸数町政の刷新を訴え、一部の革新系町議も支持に回るなどした結果、反現職の票を集めたとみられます。
糸数健一さんは「にわかに信じられないことが起きております、まさかのまさか」と話しました。一方、現職の糸数さんは、第一次産業の振興などを訴えましたが及びませんでした。

糸数健一さんは記者に「町民はノーを突きつけたという見方も」と問われ「敗れたわけですから。(票を)いただいた方はきちんと評価していただいた。(当選者に)私が敷いたレールに乗っかろうが何しようが町民のために、めいっぱい働いてほしい」と話しました。
また、新人の田里千代基さんは常駐医の安定的な維持や、台湾との交通の促進を訴えましたが及びませんでした。
田里千代基さんは「島の現状、町民の不安含めて訴えてまいりましたが、残念な結果になった。新しい町長になった方には、島の存亡を考えて前進していただくことを希望したい」と話しました。

上地常夫さんは「車両やオスプレイを持ち込んで(日米)共同訓練というのはこの島になじまない、そこは町民が不安を抱く日米訓練は慎重な意見」と話しました。
上地さんは、防衛力の強化などについて「情報をオープンにして町民に判断していただく」と強調しました。上地常夫さんは「ふたを開けてみれば(糸数氏と)51票で僅差、現職を負かすのは大変なパワー(がいる)と感じた」と話しました。

一夜明けた25日、上地さんは改めて取材に応じ意気込みを語りました。
今回の選挙の結果を受けて町民の1人は「やられっぱなしでは危ないと思って、現職さんは自衛隊を強化したいと思ったと思うが、町民には反発を受けたのかと思う」と話しました。
また別の町民は「与那国が平和で基地に頼らないで、これ以上基地は増やさない、みんなが安心できるような与那国町になればいい」と話しました。
一方、玉城知事は、記者から「国が自衛隊に機能強化を進める方針の中で、今回それに対し慎重な考えを持つ人が当選したということに対してはいかがですか?」という質問に「それはやはり町民の皆さんが慎重に行うべきだということの投票結果だと思いますので、そういうことも含めていろいろまた町長と新しい町長と意見交換させていただければと思います」と答えました。

塚崎翔平記者は「与那国町長選で、軍備強化に慎重姿勢をとる上地氏が初当選し、9月に予定する日米の訓練でも対応が迫られそうです。政府や県には国境離島が抱える医療などの問題解決に向けた努力も改めて問われます」と伝えました。