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今を生きる私たちがこれからの50年100年先の沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINEおきなわ」です。17回目のきょうは「女性の更年期」がテーマですこちらをご覧ください更年期とは40代から50代の女性が迎える閉経の前後20年を示します。

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

この時期、女性ホルモンが急激に減るために体内のバランスが崩れ「疲れやすさ」や「頭痛」をはじめ このように400もの症状が現れます。更年期を経験している日本人女性は700万人、そのうち更年期障害がある女性の人数は380万人。多くの女性が症状を抱えているんですね

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

更年期とうまく向き合って肉体的にも精神的にもそして社会的にも満たされた「ウェルビーイングな状況」を迎えられるよう日夜研究を重ねている女性がいますオリガ・エリセーバ博士です。

オリガ・エリセーバ博士「残念なことに、現在、40代、50代の女性たちはとてもウェルビーイングの状況に置かれているわけではない。更年期が始まると、とても悲しい一人旅始まってます。」

1ミリの一万分の一のレベルで撮影されたがん細胞を見つめるのはオリガエリセーバさん。沖縄科学技術院大学でがん免疫の研究に携わっています

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

オリガ・エリセーバ博士「正常な細胞は増殖が止まるが、がん細胞はそうじゃない。ずっと増え続けている。そのメカニズムを私たちはこう調べています。」

ベラルーシ出身で、医学部を卒業後、27年前に来日。大阪大学医学部で博士号を取得後、がんの免疫学の専門家として研究を続けていましたが、2007年にOISTが開学するという話を聞いて、沖縄への移住を決めました。

オリガ・エリセーバ博士「実は宮古島に新婚旅行に行って、そこで過ごした時に、なんていうか、パラダイス。OISTできると聞いた時に行けるかもしれない夢の場所で、好きな仕事できるって言う。コミュニケーションはしやすいような気がしますね。簡単に研究者とコミュニケーションできちゃうとか。そこでなにかしらアイデアが生まれてくる。」

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

エリセーバさんに転機が訪れたのは、2年前です。起業する人の成長を後押しするOISTのスタートアップ・アクセラレータープログラムに採択されたのです。事業化をするにあたり、エリセーバさんが着目したのは、女性の更年期。

オリガ・エリセーバ博士「びっくりなことに、がんの治療研究はすごく進んでいる中で、女性の本当に基礎的な、更年期の免疫のトラブルがたくさん起きると分かっている上で、その研究は進んでいない。」

去年5月には、HerLifeLab株式会社を設立し免疫学の専門家としてサプリメントの開発など、科学的データによるアプローチのほか、更年期以降の女性が生き生きと過ごすための、統合的なアプローチを提供するプロジェクトを進めています。さらに去年9月からは、沖縄セルラー電話と、手や腕に装備できるコンピューターを使って、働く女性の睡眠を改善するプログラムの実証事業などを行っています。

オリガ・エリセーバ博士「やっぱりビジネスの人たちの視点、見るところって全然違うんですよね。科学者のスタートアップは、課題解決と技術的なことは分かっているけど、やっぱりビジネスのところはすごく弱いと思うので、そこは民間企業の力だと思うんです。」

OISTのスタートアップ・アクセラレータープログラムが2018年に始まってこれまでに合わせて9チームが採択されました。採択されると、最大1,000万円の事業費支援のほか、ベンチャーキャピタルや、企業とのネットワーキングなどのサポートを受けることができます。エリセーバさんも、事業の拡大を模索しています。

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

オリガ・エリセーバ博士「自分のウェルビーイングは何ですかって、考えたことありますか。」

この日、エリセーバさんは、沖縄タイムス社で開かれた、女性の健康と企業経営を考えるイベントで講演を行いました。

オリガ・エリセーバ博士「私は自分の人生を通して何に直面していたのかこれが私のグラフです更年期になった43歳くらいに症状がひどくなると共にいろんなライフイベントと重なって主人が病気になって上の子どもたちは反抗期で毎日荒れている感じだった」「さらに自分の仕事の出来がとても悪く自分をすごく責めて最終的に自分の自信も失っていったという状況な時もあったんですけど」

佐渡山倫子さん(沖縄タイムス営業部)「女性特有の健康課題は色々なところで知識を得られたことはできたが「社会的課題」の部分が本などを読んでも分かりづらかった」「そんな時にオリガさんの話を聞いて「身体的」以外に「社会的課題」も解決しないと女性特有の問題というのは解決に進まないというのがあってオリガさんに(講演を)お願いしました」

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

フェムテックの周知に取り組んでいる沖縄タイムス社。フェムテックとは女性を意味するFemale(フィメール) と技術を意味するTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた言葉で月経・妊娠・更年期など女性が辿るステージの課題をテクノロジーで解決する新しいサービスや製品のことです。

佐渡山倫子さん(沖縄タイムス営業部)「現在女性活躍推進だったりジェンダー平等ということが叫ばれていますがその土台にはそれぞれの心と体の健康が必要と実感しておりまして、それをフェムテックという新しい切り口で県内に浸透させていければいいなと思い始めた企画です」

テクノロジーで女性特有の健康課題の解決を目指すイベント「フェムテック in Okinawa」でもエリセーバさんのトークショーや自身の更年期についての親しみやすいイラストが発表されました。

女性「男性もこういうイベントがあるときに参加するのは厳しいかもしれませんけど、やっぱり女性メインになってしまうので、ただこういう勉強会が行われているという知る機会にはなるのですごくいいと思います」

女性「私も子どもがいるんですけど、産後にこういったグッズがあったりケアされるものがあればいいなと思いました更年期とかもある年代ですので勉強になりました」

メッセージバルーン「生理や更年期「我慢が当然」なんかモヤモヤ」「更年期の症状セルフケアってある?」「ココロとカラダ大切な人とわかり合いたい」

#IMAGINEおきなわ vol.17「更年期をウェルビーイングへ」

オリガ・エリセーバ博士「沖縄を拠点にアジア、東南アジアの女性たちの、健康の情報データを集めて、それをちゃんと分析したうえで、さらにいいサービスを提供できれば、と、いま私たち考えています。」

エリセーバさんは、将来的に、アジア全域の女性たちがアクセスできる女性の健康に関する研究施設を沖縄に設立することを目指しています。

今まで手探り状態であまり注目されることもなく我慢と言われてきた更年期が科学的に解析され始めているんですね、そこに新しいテクノロジーが加わってこれからの生き方が変わり始めています。

今日は女性の更年期をテーマにお伝えしましたが実は男性にも更年期障害ってあるんです。私も聞いたことがあります。ホルモンの変化ですよね。体調不良や心の状態が不安定になると。お互いに相手の気持ちを慮ってよりよい社会につなげたいですね。