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10日、投開票が行われた参議院選挙。大接戦となった事実上の一騎打ちの選挙戦はオール沖縄勢力が推す現職の伊波洋一さんが自民公認の古謝玄太さんを2888票の僅差で破り再選を果たしました。

今回の選挙戦で伊波さんは相手候補が辺野古容認を明言する中前回同様、辺野古新基地建設反対の明確に示していたほか新型コロナで落ち込んだ県経済の回復なども基地問題と同列に訴えを続けて来ました。

参院選・伊波洋一さんが激戦を制して再選果たす

伊波洋一さん「基地のない平和な沖縄を目指してですね、そのような思いで取り組んでいきたい。そして、また、子どもたちのことを最大限に取り組みながら経済の回復、そして、また、県民生活の回復を国政の場で取り組んでまいります」

当選から一夜明け、那覇市内で取材に応じた伊波さんは少し落ち着いた表情で2期目への意気込みを語りました。

伊波洋一さん「最終的に私が勝ったということですから辺野古を止めようという民意は生きている。それは全県で生きているということだと思います。私としては県民の声がどこにあるのかというのをしっかり受け止めながら、国政の場で沖縄の代表として取り組んでいきたいと思っている」

一方、自民党・公明党の支援を受け元総務官僚としての実績と若さを前面に打ち出した古謝さんでしたが課題の”知名度不足”を埋められず、あと一歩及びませんでした。

参院選・伊波洋一さんが激戦を制して再選果たす

古謝玄太さん「活動がそれだけまだ足りなかったということだと思います。知名度も含めて私の政策を訴える力も含めて一歩足りなかったということだと思っております」

今回の参院選では投票率が50.56%で前回と比べて1.56ポイント上回りました。全県選挙では初めて自民候補が辺野古容認を明言した中で辺野古反対の伊波さんが当選したことについて政府は。

松野官房長官「個々の選挙の結果について政府としてはコメントすることは差し控えたいと思います。日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現しその危険性を除去することにつながると考えております」

ここからは選挙戦を取材した船越記者です。今回の選挙戦は現職の伊波さんが2888票の僅差で自民の新人、古謝さんを破り再選を果たしましたが伊波さんの勝因、そしてこの接戦をどのように見ますか?

船越記者「伊波さんの勝因としては、知名度やこれまでの実績などを生かして古謝さんの猛追をなんとか逃げ切ったという印象です。これに加え、今回の選挙は伊波さんが辺野古反対を示すなか古謝さんは自民党の候補として全県選挙では初めて辺野古容認を明言したことで辺野古をめぐる対立軸が鮮明化し、この選挙結果で辺野古反対の民意が示された形と言えます」

船越記者「辺野古に対する対立軸がしっかり出ていた中でこれだけの接戦となったことについては県民意識の変化が要因にあげられると思います」

参院選・伊波洋一さんが激戦を制して再選果たす

船越記者「復帰50年を迎えるにあたりQABと朝日新聞、沖縄タイムスが合同で実施した県民意識調査で「いま沖縄で最も重要だと思う課題は何ですか」との問いに5年前の同様の調査では、基地問題が33%で最も多かったんですがことしの調査では経済振興が38%で最も多く基地問題は経済振興に次いで2番目の26%となっていて基地より経済を重視する有権者が多くなっています。これは新型コロナの影響で県経済が大きな打撃を受けたことが背景にあると考えています。今回の大接戦となった選挙戦をどのように見るか沖縄国際大学の前泊博盛教授に話を聞きました」

参院選・伊波洋一さんが激戦を制して再選果たす

前泊教授「過去ないほどの大激戦になったということで、これはオール沖縄の衰退が顕著になったのかなという風な見方もできるのかなと思いますけども。これまで自公候補と言えば、辺野古については曖昧戦略という曖昧にすることが勝利の方程式だった。これを真っ向から容認という形で打ち出してきたと、それでも選挙結果・僅差になると違う争点についても沖縄の有権者は判断の材料として重きを置いているということで、辺野古だけではない選挙の争点の闘い方といったものも象徴的に出た選挙だったと思います。知事選の前の最大の前哨戦そして重大選挙です。これだけ僅差で激戦になってるということは、辺野古問題だけじゃない経済についてもしっかり争点と据えて、そして解決策を示して欲しいという、これが今回の選挙で示された民意の要求だと思います。知名度のなさを若さと与党パワーってすごい勢いで伸ばしてきたと言う無名の新人ですら、これだけのベテランとですね対等に戦えるこういった力をみせてきたというのは逆に言えば沖縄の新風、若い世代がこういう形で政界に入ってくるという、そういう可能性を見せた選挙でもあったと思いますね」

伊波さんの勝因を陣営はどのように見ているのでしょうか。

船越記者「オール沖縄陣営も県民の意識の変化はもちろん感じていて今回の選挙で、伊波さんは基地問題と経済の問題は同列だとして経済対策の重要性なども訴えました。そういう政策を立てることができたのも勝因だと陣営の関係者は話をしています」

そしてこの参院選は、きょうで投開票日までちょうど2カ月となった県知事選の前哨戦と位置付けられていましたよね。

船越記者「年明け以降の市長選で4連敗していたオール沖縄は全県選挙で勝利を納め、勢いをつけた形です。一方の自民は、県政奪還に向け何としても勝利を納めたかったところでしたが、痛い敗戦となりました」

知事選は現職の玉城知事と前宜野湾市長の佐喜眞淳さんがすでに立候補を表明していて4年前と同じ顔ぶれになる見込みです。参院選の結果判明後、お二人に話を聞きました。

参院選・伊波洋一さんが激戦を制して再選果たす

玉城知事「一言で言うなら恐らく県知事選挙は今回の参議院選挙と争点は似ているところがたくさん出てくると思います。今回の伊波さんが県民の皆様に訴えていただいたことをさらに今度は沖縄県政バージョンにして公約としてしっかりと選挙で掲げて訴えていきたい、取り組んでまいりたいと思います」

佐喜眞淳「次は県知事選になりますけど、そういう(僅差だった)ことを踏まえながらモチベーションを持って取り組みたい。これはもう一回県連で分析というか総括は入れると思いますから県連と意見調整しながら取り組んでいきたい」

今回の選挙結果を各陣営、知事選にどう繋げたい考えなんでしょうか。

船越記者「勝利したオール沖縄は、これまでの市長選で連敗していただけに陣営の関係者は今回の勝利で「自信を持って知事選を迎えられる」と話しています。ただ、前回10万票以上の大差で勝利した伊波さんがこれだけ僅差になったことを考えると今回の勝利で知事選が盤石になったと言い切れないのも事実で知事選に向け体制の強化が必要になると思います」

一方の自民側ですが、負けはしたものの無名の新人、古謝さんが現職にこれだけの僅差まで詰められたことに手ごたえを感じているようです。佐喜眞さんは知名度もあるので、参院選以上に激しい争いになることも予想されます。