栃木県・ツインリンクもてぎ。翌日、あるモータースポーツの全日本選手権が行われる会場には全国から強者が集結し最終調整を行っていた。その中に、この大会にある思いを背負って出場する沖縄からのドライバーの姿があった。

高江淳選手「予想以上に少し最初はいい感じだったのですけど、段々詰めていくとネガ(ティブ)な部分が出てきまして、すこし簡単にはいかないなと」

レーシングスーツに身を包んだこの男性、うるま市出身の高江淳(48歳)。高江は、タイムを競い合うジムカーナというモータースポーツで去年、3連覇を達成。今回、高江は4連覇を目指し、新たな相棒と挑んでいた。

モータースポーツ「中年の星」4連覇めざす

高江選手「いつもだとチャンピオンだとほぼ今日で走り決まっているので、問題ない、悩むことないのですけど、今回新しい車で挑戦なので、色々悩んでいます」「しみついてますね、前の車が。全日本行く前から乗っていたので。二十歳から乗っていた車なので」

高江は全日本で勝ち続けた愛車を手放し、新たな相棒に乗り換えての挑戦。何故、車種を変えたのか?そこには王者としての強い思いがあった!

高江選手「(チャンピオンとして)新しい車で挑戦するか別のクラスに行くか。別のクラスに行くのもいいのですけど、今のクラスでもう一度、別の車でチャンピオンを取ってみたい」「勝てる車に仕上げるのがチャンピオンの宿命かなと」

高江と同じジムカーナのドライバーで、車を整備・調整を手伝う蓬茨夕美と道下貴広は彼と同じ気持ちで挑もうとしていた。

メカニック・蓬茨夕美さん「私たちは表に立つような人間ではないので、頑張っているのは高江選手であり、車なんですけど。ドライバーと車がやっぱり全力で走れる一つの形を作るためのお手伝いをさせてもらおうかなと」

レースの厳しさを知る2人の支えが大きいと語る高江…。

高江選手「ものすごくありがたい、頑張って勝つのを応援したいという気持ちのみで動いてくれてるので、それをプレッシャーと感じずに、僕は勝ってその気持ちに応えてあげようかなと思ってます」

高江は県内の企業に勤めるごく普通のサラリーマン。彼が働くオフィスを訪ねるとそこには、輝かしい成績の証しが…。支えてくれるみんなと喜びを共有したいという彼の気持ちが込められています。

スタッフ「高江さんがレースに行ってる時、我々、会社に残っている人達でサポートとかそういった所で協力はしている」「仕事もプライベートもすごく一生懸命で、中年の星と呼んでと自分出は言っているので。レース行く直前まで遅くまで残業して慌てていく感じなので、本当にレース大丈夫かなと心配の時もあるのですけど、去年はちゃんと結果を残しているのでその点はすごいなと思ってます」

リライアンスエナジー沖縄・金城忠樹専務「プライベートが充実して楽しく目標を持っていれば、仕事にもいい影響がある。それにしても日本一、本人もものすごく努力しているので、会社の誇りです。全社を挙げてしっかり応援したいと思っています」

息子・怜臣は幼いころから高江の運転を間近で見てきた一人。

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高江怜臣さん(19)「(激しく)レースやっている父はしっかり運転しててすごいなと思いました。(Q:ジムカーナ選手の父親は?)やっぱすごい尊敬できます 。地道に努力し続けることが1番すごいと思います。(Q:オン君にとってお父さんとは?)超えるべき目標です」

家族や同僚、ジムカーナ仲間に支えられ迎えた今シーズン。新たな相棒とともに、新たなステージに挑む。

声高江淳「当然、今までとは違って、やるからには勝つ。勝たないといけない、会場でも後押しする仲間もいるので、これは本当の意味での全員での挑戦だと思っている」

JAF全日本ジムカーナ選手権第1戦。この日、会場は朝から気温が低く、小雨が降り続き競技にはあいにくのコンディション。ジムカーナでは大会当日にコースが発表されるため、ドライバーは本番前にコースを下見する「慣熟走行」を行い、状態をチエックする

高江選手「きのうと全く走り方(違う)グリップも変わるので、そこをしっかり切り替えができるようにイメージした走りを、とにかくイメージですね」

午前9時、闘いの火ぶたが切られる。

高江がエントリーしたのは排気量1600ccを超える前輪駆動車両を対象としたクラス。全長1.32キロメートルのコースに24本の障害物であるパイロンが設置。接触すれば、ゴールしたタイムにプラス5秒加算される。

モータースポーツ「中年の星」4連覇めざす

ドライバーは速さを競うダートトライアルで挑むため、コーナーをうまく回れるかが勝負の決め手となる。ライバルたちがスタートしても高江は新たな相棒への調整に余念がない。

高江選手「一つはクリアして、もう一つをどうしようか悩んでいます。ちょっと情報を収集してきます」

ディフェンディングチャンピオンとして臨む最初の走りを見極めたい高江、ライバルたちへ情報交換を絶やさない。高江、黙々と調整を続ける。

いよいよ、高江の1本目スタートは決めたものの、ゴール手前のパイロンになんと接触!1本目のタイムは1分18秒552、トップと7秒差、パイロンへの接触が大きく響いた。

高江選手「自分としてはきのうよりしっかり安定した走りにはなっていたんですけど、タイム聞いた限りではちょっと最後失敗したところはあるので、あれ直せばもっとタイム縮んだと思うのですけど、それでもトップと離れすぎですね」

1本目が終了し、高江は最下位に沈んでいた。新しい相棒とのうまくいかない!最後の走りを前に悩む高江、スタッフの道下とデータで走りをチエックする。

モータースポーツ「中年の星」4連覇めざす

高江選手「同じような車種が走ってるので、ラインどりを参考にしようかなと」

メカニック・道下さん「俺のミスやごめん」

タイムの伸び悩みの原因がようやくわかった。大会に参加していたドライバーが高江のタイヤを見て異変に気づき、アドバイスをくれのだ

高江選手「ちょっとしたハプニン「(八の字)こうだとコーナーリングで踏ん張ってくれるんですよ。これがこうなると縦になる、最初から縦だとコーナーの時にこうなる。本来これで走るべきなのが、きのう途中でばらした時にこの状態で組んでいなかったですよ。段々原因がわかっていきました」

原因の一つがわかり、解決に向けて奔走する高江に、無情にも走行する順番が迫っていた。

モータースポーツ「中年の星」4連覇めざす

高江選手「サービスのちょっとしたミスで、きのう(タイヤを)外した時に取り付けるときに位置を間違えてこれがこうなった(ハの字が水平になった)ので、気付かない僕も悪かったんですけど」「原因はわかった、コーナーが遅い。もう少しコーナーリングのスピード上げようと頑張っても1本目ダメだった。2本目気付いて走ってみたらいい勝負だったので、やはり自分の運転は間違ってなかったんだということですね」

高江は毎週ラジオでジムカーナの魅力を広めようと活動を続けている。

高江選手「将来的には、既にやっていることですけど、後輩の育成ですね。高齢者に対しての安全運転の啓蒙活動とかやりたいですし、自分が今までやってきたことを自分だけの成績で終わらせたくなくて。周りに波及して広めていけたらいい」

モータースポーツ「中年の星」4連覇めざす

これまで培ってきた経験を活かし、新たなチャレンジを模索する高江の夢はとても大きい!

高江選手「沖縄で全日本選手権を開催して、そこに沖縄のドライバーが出て優勝する。それを見に来た沖縄の観客がそれに憧れてジムカーナーを始めたり、モータースポーツ始める流れが一番理想ですね」