「山村留学」という制度をご存じでしょうか。僻地や過疎地、人口の減少による学校存続の危機に瀕している地域などでの児童・生徒確保という意味合いが強い制度です。

全国で行われている山村留学ですが、沖縄でも離島でこの山村留学、島なので「島留学」が行われています。そんな島留学を渡嘉敷島で行っている施設を取材しました。

那覇から西に約30km離れた慶良間諸島、渡嘉敷島。「ケラマブルー」と称される美しい海に囲まれています。

4月初旬。爽やかな陽光のもと、その美ら海で遊び、はしゃぐ子どもたち。東京、千葉、愛知、そして兵庫。全国から「島留学」してきた子どもたちです。

渡嘉敷島留学「わらびや」の春

池辺大智くん「兵庫県から来ました池辺大智です、次は中2で、好きな事はスポーツとか遊ぶことです。」

栗田そらさん「毎日海でいっぱい遊びたいです。」

藤原嶺人くん「2年目なので1年目より充実した1年を送りたいです。」

酒井しいさん「ダイビングとかカヤックとか、やったことない事が出来たらいいなと思います。」

島留学わらびや・坂田明子さん「ここでの生活は不便なことがとても多いです。だけどその分自然があり、便利な生活から離れた知恵があり、良き仲間たちがいます。ここでの生活を楽しんでください。」

島留学わらびや・坂田竜二さん「(わらびやの主旨に)自らと周りを豊かにするってあって、皆で協力して楽しくなるところを作っていきましょう。」

子どもたちを受け入れる施設「わらびや」を運営してるのは、坂田明子さんと竜二さん夫妻。小学1年生と5年生になる娘2人も、わらびやのメンバーとして生活を共にします。

バレラシッド愛凛七さん「ここに来たら『あ、ここだな』って。いつもは大人たちがこれは危ないから、これはダメだって遠ざけちゃうけど、それを生かしてくれるのがわらびやだなと思って。」

渡嘉敷島留学「わらびや」の春

この日は「わらびや」で全員が揃っての顔合わせの日。実は、殆どの留学生がこの前日に渡嘉敷島に来たばかりでした。でも渡嘉敷島の海や自然、坂田ファミリーに囲まれてすぐに打ち解け、仲良くなったようです。

嶺人さんの母・藤原真実さん「嶺人が自分で調べて来たいと言って。成長を実感してます。人に感謝するようになりました。坂田さんに共感してこちらに決めました。」

留学生のなかで唯一、2年目になる藤原嶺人さんを残して、母親の真実さんは一足先に島を出て東京に戻りました。山村留学は1970年代に長野で始まった制度で、元々は都会の子ども達が自然体験を行うことが目的でした。

過疎化が進んでいる地方を活性化し、都会に生まれ育った子どもたちは大自然を満喫、親元を離れて暮らすことで社会性や協調性を身につける、そういったことを目的として全国各地で数十カ所で実施されています。

ここ「わらびや」では皆で一緒に暮らして自立した生活をしながら島の小中学校に通うのです。

朝は鶏の世話やお風呂など公共スペースの掃除から1日が始まります。今日は島の小中学校の始業式と入学式。新小学1年生になる穂乃花さんと留学生の愛凛七さんが入学式に、蓮華さんとそのほかの留学生たちは始業式に。真新しい制服に身を包んで登校です。

渡嘉敷島留学「わらびや」の春

わらびやに子どもを預けることを決めた親たちは、島留学にどんなことを期待しているのでしょうか?

そらさんの母・栗田めぐみさん「人見知りが結構あって、なかなか自分を解放できないこともあるけど、殻を破りたいっていうのもあって挑戦したい、で島に来たっていうのもありますね。」

しいさんの母・酒井智美さん「大家族っていうなかで、自分がどうやっていくとうまくまわるのかとか役に立てるかとかがテーマになっていくのかと思う。」

大智さんの母・池辺美幸さん「大自然で育てたいって思いがずっとあって。寂しいですけど、彼も大分大きくなりましたので、ここでの生活の成長の方が楽しみになっています。」

愛凛七さんの母・バレラシッド優子さん「知らない世界を肌で感じて思いっきり体感して、自分の栄養にして生きていってもらいたい。渡嘉敷の自然プラス一番大きいのは『わらびや』さんの考え方、そしてお人柄ですね。」

渡嘉敷島留学「わらびや」の春

親たちから大きな信頼を得る坂田夫妻。明子さんは元々中学校の先生で、山村留学に興味をもち沖縄に移住。久高島で島留学についての研修をしました。

島留学わらびや・坂田明子さん「私たちも山村留学2人でやりたいってことで、島々を巡って渡嘉敷島に着いたときにここだ!ここでやりたいって心から思ったんですよね。ゲームとか携帯から離れて、この島でしか出来ない海で泳いだり魚を取ったり、田んぼで遊んだりニワトリを育てる、そういった自然体験をして欲しいなって思ってます。」

島留学わらびや・坂田竜二さん「自然のなかに入る時にワーっていうんじゃなくて、学ばせてもらいますっていう謙虚な気持ちを持てるようになるっていうのが大事かなと思ってます。」

渡嘉敷島留学「わらびや」の春

島の入学式。きのう沢山海で遊んだ留学生たち、何だか眠そう!?でも兎に角、今日から新しい1年が始まるのです。

バレラシッド愛凛七さん「私の行ってた学校と違うところもあるかもしれないけど、そこも大事にしながら1年過ごして行きたいなと思います。」

その日、夕方の船で留学生3人の母親が島を離れました。子どもたちが親元を離れての生活が始まります。これからの1年。渡嘉敷島で子どもたちは一体どんな事を経験し、葛藤し、学んでゆくのでしょうか。