首里城火災からまもなく1年、QABでは今週1週間、首里城関連の特集を続けることにしていて、初回は、「赤瓦」がテーマです。

火災で焼け残ったこちらの赤瓦、今回特別にお借りすることができました。黒くすすけているところがあって瓦の真ん中の部分にはひび割れも起きています。首里城の再建に欠かせない「赤瓦」に携わる職人たちの思いを追いました。

沖縄県赤瓦事業協同組合八幡昇 代表理事)「本当に自分の魂が吸い取られたような。我々が誇りとしてきた建造 物が一夜でなくなるとは夢にも思わなかった」

赤瓦を生産するメーカーで組織された組合の代表、八幡昇さん。

八幡昇 代表理事「(首里城には)しばらくは行く気もしなかったけど、現場の姿は無惨としか言いようがないから想像を絶する光景でした」

首里城企画#1 ~赤瓦職人たちの想い~

火災では推定でおよそ20万枚以上もの赤瓦が破損するなどしました。八幡さんは、首里城の変わり果てた姿に、「もう現場には行きたくない」とさえ思ったのです。

八幡昇代表理事「必ず沖縄赤瓦で再建して欲しいという要望がありました。ぜひ我々がやらなければならない」

首里城再建に向けて心を決めた八幡さんでしたが、そこには、壁が立ちふさがります。

八幡昇代表理事「材料をまず確保しないとダメですから、一番の課題は原材料の確保ですね」

赤瓦の原材料は、粘土質の特別な性質を持つクチャと赤土です。その原材料であるクチャをそろえることが出来るかどうかが課題だというのです。そうした中、県から吉報が届きます。那覇市首里石嶺の工事現場から採取したクチャが首里城の赤瓦に使える可能性が出てきたのです。しかし。

首里城企画#1 ~赤瓦職人たちの想い~

八幡昇代表理事「(クチャが)少しですけど、出て、それが適合してるよと言われた。らうれしい反面、全部を同じように土の量出るかなという心配もあるんです」

石嶺から採取されたクチャの量では首里城全ての赤瓦をつくることは出来ないというのです。

八幡昇代表理事「(赤瓦)一枚の製造工程においてはだいたい5キロ前後ですよね。逆にそんだけの量で全部できるとは限りません。いろんな不良品も含めたらその倍ぐらい、最低倍ぐらいの量がいります」

首里城の正殿をつくり直すのに必要な赤瓦はおよそ6万枚近く。ざっと見積もっても、正殿の赤瓦だけで、およそ600トンものクチャが必要になるというのです。

八幡昇代表理事「赤瓦組合の会員全員が一緒に一つになって、みんなでとにかく再建するまではいろんな障害あるかもしれませんけど、共にみん なで手を携えて頑張れるよう努力していこうとは思ってます」

赤瓦には、”つくる職人”だけでなく、”屋根にとりつける職人”もいます。

首里城企画#1 ~赤瓦職人たちの想い~

赤瓦を屋根に取り付けるさい、そのつなぎ役として石灰岩とわらをまぜた漆喰を塗っていくのです。そんな漆喰施工の職人たちにもまた、課題があるというのです。

沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合田端忠代表理事「当面首里城の復元に関しては人材育成が急務であるというのは確かなんですよね。特に若い人」

職人の高齢化が進み、若い職人が少ないため、技術をどう継承していくのかが急務となっています。そうした中、IT業界から赤瓦職人の世界へ飛び込んできた若い男性がいました。

堀切元気さん「(去年10月ごろ)転職を考えていたときにたまたま話があって。まだその時は前職ももうちょい続けようかと考えるところもあったりとかして迷ってて、それで、やっぱり何か、こういうこと自分の人生の中で一回でも、なにかやってみようという気持ちで連絡して、「やらせてもらえませんか?」という形で」

田端忠代表理事「今ある職人の流れの方々というのは世襲とか、お父さんがやってい たとか、世襲でお弟子さんに入ったとか、縁故、知り合いで入ったというのが多くて。実は、中途転職で私も脱サラで入っているので、そうゆう意味ではいろんな興味を持ってもらう形にハードルを、敷居を低くして、飛び込めるような環境づくり。もっといろんな形で、皆さん方に知ってもらう機会が提供できればいいのかなとは考えているんです」

首里城企画#1 ~赤瓦職人たちの想い~

IT業界から赤瓦職人の世界へと飛び込んだ堀切さん。この仕事ならではの使命感を感じているといいます。

堀切元気さん「いま仕事やってて、本当にやる前まではわからなかったこととかを知るたびに、(赤瓦職人の技術は)やっぱり残さないといけないと思うのと、この仕事がなくなると寂しいなと。わかっていくうちにそういう思いが強くなっていったんで、やるって言ってよかったなと」

堀切さんには、今、目標があるといいます。

堀切元気さん「今は、首里城の修復に関われるぐらいに、もし工事が始まるとかそういう前に、それまでに実力を身に付けて、できたらなって、やりたいっていう感じですね」

首里城火災から一年。赤瓦職人たちは、再建へむけて、確かな誇りをもって未来を見据えています。