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先週、アメリカに渡り新基地建設の断念を直接訴えた玉城知事。従来のやり方にとらわれず、玉城流で臨んだ5日間となりました。

歴代の沖縄県知事が繰り返してきた、訪米行動。これまで、その舞台は主にホワイトハウスなど政府機関が集まるアメリカの司令塔、ワシントンDCでした。しかし就任後初めての訪米となった玉城知事は、異なる戦略を取りました。アメリカの世論を味方につけることを意識した玉城知事が、最初に向かった街はニューヨークでした。

玉城知事 就任後初訪米

玉城知事が最も重視した日程は、一般市民向けの講演。会場となったニューヨーク大学に集まった、県系人などおよそ140人を相手に、玉城知事は2時間の講演に臨みました。

知事講演「日米安保は支持する、けど米軍基地は来ないでくれという矛盾が、日本の国民の中にあります。しかしその民主主義の矛盾が当たり前のように押し付けられるのが沖縄なのです」「アメリカも、当事者です」

講演で強調されたのは、新基地建設問題は「民主主義の問題」という視点でした。新基地建設工事が始まっていてもなお、新基地に反対する知事が選ばれた現実を受け入れるよう、民主主義の国、アメリカの市民社会に訴えたのです。

一方で、発言の随所で「慎重さ」が見られました。

玉城知事 就任後初訪米

知事講演「イデオロギー的、反米的なことではなく…」「全体のSACOの計画は私たち沖縄県も、認めています、ですから出来るだけ早く、整理統合を行うべきだという立場をとっていますが、ひとつだけ違うのは、宜野湾市にある普天間飛行場の移設問題です」

「敵」とみなされては対話の糸口も見つけられません。そのため玉城知事は、自らの主張が「反米」ではないこと。また基地の「整理統合」を進める日米両政府との対立点は辺野古新基地問題だけであることを、丁寧に説明したのです。

知事 国連前「私が全基地に反対しているかのような印象があること、一つひとつ訂正をさせて頂きながら」「できるだけおたがいに誤解や齟齬がないように話をさせて頂いて、割あいそこはスムーズに行けたと思います」

ニューヨーク大学での講演を支えた母親が沖縄市出身の県系人、島袋マリア准教授は、玉城知事を歓迎した在米県系人の心境をこう指摘しました。

島袋マリア准教授「今までイデオロギー的な問題に縛られてしまっていて、関わりたくても関われない、政治的問題に触れられないというタブーがあった」「(しかし話が)できるんだという在米ウチナーンチュの人たちが出てきた」

玉城知事 就任後初訪米

ニューヨークでは歓迎された玉城知事。しかし、歴代の知事を跳ね返してきたワシントンDCでは、やはり困難に直面しました。

玉城知事「かつてほど普天間や辺野古にフォーカスするというふうなことではなく、そのフォーカスしているときにはいろいろなプランも考えたり提案したりしたけれども、今はもうアメリカ、ペンタゴンはもっと大きな範囲で物事を考えているようだと」

玉城知事 就任後初訪米

翌日のアメリカ国務省では、高官といえるマーク・ナッパ―国務次官補代理との面談が実現したものの、国務省は面談後すぐ、新基地建設を進める方針を改めて伝えたとする声明を発表しました。

玉城知事「一般的に言うとそれは決めた側の一方的な既定路線でしょう」「やはりまだ沖縄の認識がしっかりと受け取って頂けていない」こう述べた一方。考えを伝えられただけでも半歩前進だと総括した玉城知事。今後は国連や、アメリカ以外の諸外国にも訴えていく考えも示し、ワシントンDCが指摘する「状況の変化」にも対応して柔軟に戦略を練りたいと、今後を見据えました。

玉城知事 就任後初訪米

型にはまらない自治体外交で打開策につなげることができるのか、玉城県政の4年間は始まったばかりです。