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「はい、じゃあいきまーす。1、2、3、はい」

音楽を通していつまでも心と体を元気に

毎週木曜日の午後、南城市にある仁愛療護園に賑やかな時間がやってきます。利用者が毎週楽しみにしている音楽練習です。ここは重度の障害者療護施設。話すことが難しい方、体の一部しか動かせない方など様々な障害を抱えた方が入所しています。

普段は物静かな皆さんですが、表情が一変する時間がやってきます。それぞれが使える楽器で音を出し、精一杯歌を歌って音楽を楽しんでいます。

利用者男性「(Q.練習は楽しいですか?)楽しいですね。やっぱりカメラが来ているから。多少緊張していたものもあったみたい」

利用者女性「普段の生活も楽しいけど、音楽を歌ってる時は何倍とかは比べられません(Q.それくらい楽しいってことですか?)はい」

利用者男性「もうほんとに一体感ね、気持ちいいです」

音楽を通していつまでも心と体を元気に

重い障害を抱えている利用者たちですが、動く機能を上手く使えていないことが課題でした。残された機能を上手に使って生きている喜びをもっと感じてもらいたい。そこで仁愛療護園では29年前から療育音楽という残された機能を活性化させる音楽療法を取り入れています。導入当初から関わってきた砂川さんは利用者の変化についてこう話します。

砂川さん「生まれつき脳性マヒの方、体が不自由で生まれている方いるんですけど、それでも音楽でもって何かを表現したい。こういうふうにやったら俺、動くんだよ、ていう意見の下であのテーブル作ったりとか、トライアングルも届く部分で楽器を取り付けたりとか。指一本でもいいんです、首が動かなければほんとにもう唇動かす、僕は足指動かす、それだけでもいいんです。それでもって彼らは何かを表現してるって僕は思っています。それが療育音楽かなって。で後は楽しくやるっていうことが一番なのかな」

利用者達が大好きな音楽の時間もこの時期はいつも以上に熱が入ります。実は年に一度の発表会を控えているのです。
現在およそ20の施設で療育音楽を取り入れているのですが、そのほとんどが10月に開催される発表会に向けて練習に励んでいます。

毎年2曲を披露する仁愛療護園。早い段階でひとつめの曲が決まりましたが、9月になってもなかなかもう一曲が決まりません。

音楽を通していつまでも心と体を元気に

砂川さん「さっきの真っ赤な太陽よりはこの曲のほうがいいですか。この曲で音楽会に行きますか。思い切って変えますよ。あと1ヶ月半、もう必死に頑張らないと間に合わないですよ。オッケー?」

平均年齢が60歳近い入所者の皆さん。子供の頃によく聞いていたピンキーとキラーズの「恋の季節」に急遽変更することになりました。

利用者男性「(Q.新しい曲を今日からやることになったが本番はどうか)これはやってみないと分からない」

利用者女性「皆と楽しく最後まで練習通りにできたらいいと思います」

砂川さん「恋の季節も彼らが言ってくれたからこそちょっと変えてみようかと思ったんですよね。それは僕は変わったかなと思いますね。意見言うようになりましたね」

発表会当日

音楽を通していつまでも心と体を元気に

利用者女性「最高にできました。(Q.時間もない中で曲も変わりましたけど大丈夫でしたか)バッチリです」

利用者女性「(Q.楽しかったですか)はい(Q.やっぱり本番の方が楽しいですか)はい」

砂川さん「笑顔がみれたかなと思うし、口も開けていたかなと思いますね。年に一回の発表会なので僕としてはほっとしました。音楽を大事に後は自分の生活も大事に今後もやっていけたらいいのかなと思ってます。もうとにかく楽しくですね」

音楽が教えてくれた生きる喜び。楽しく自分を表現する舞台がある幸せを感じながら利用者の皆さんはこれからも練習に励みます。