昨年度の入域観光客数が過去最高の876万人を突破しました。そして県は好調な沖縄観光を背景に2021年度の目標を1200万人に上方修正しました。

その内訳を見ると鍵を握るのは外国人観光客であることがわかります。そこで今回多くの外国人観光客を受け入れるクルーズ船の代理店の現場に密着しました。

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

雨にも負けず、クルーズ船の入港を見守っているのは船舶代理店「沖縄シップスエージェンシー」の上地一成さん。この日は台湾からやってきたクルーズ船、スタークルーズ「スーパースターアクエリアス」を受け入れます。

現在国内に入港する海外からのクルーズ船は必ず、こうした船舶代理店を通す必要があります。

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

船舶代理店は通称「海の行政書士」と言われ、外国船の入港の手続きのため5つの官庁とやりとりを行います。

上地さん「外国の船が日本の領海に入ってくるために必要な手続きが色々ある。それと入管の方や検疫の方、税関の方、調整しながらうまく官庁の方とクルーズ船の受け入れ体制を整えてます」

上地さんの仕事は官庁との手続きだけに限りません。入港した船に乗船するクルーを送迎したり、この日はこんなことも・・・

上地さん「(Q今何されているんですか?)今は今日の16時に入港する船のクルー2人が病院に行くことになったので、その病院の手配をしているところです」

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

上地さん「乗客が倒れたり、船側から突然の要望でこれが買いたいとかあるので、そういったときはその都度適宜対応しながら僕らが買いにいったり・・・。なんでも屋さんなので」

海外から入港するクルーズ船にとってトラブルが発生した際に頼りになるは、船舶代理店のみ。ありとあらゆる相談が次から次と舞い込んできます。

その後、戻ってきた乗客を再び港から送り出しました。

上地さん「無事にけが人もなく良かったかなと思います」

こうして上地さんの忙しい一日が終わりました。

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

クルーズ船受け入れの現場について、船舶代理店はひっ迫していると悲鳴をあげます。

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

松田美貴会長「ツアーガイドさん含めて、社員を含めて圧倒的に足りないということで人手不足は否めない。クルーズの数もそうですけど、こんなに大きくなるとは想像もしてなかったですね。誰も予想してなかったのが現実です」

Qプラスリポート 沖縄観光1200万人目標の課題

スタジオには企業の経営コンサルを専門に行う「ブルームーンパートナーズ」の伊波貢さんをお招きして、沖縄観光の課題について解説して頂きます。

クルーズ船受け入れの現場から色々な課題が見えてきました。押し寄せる観光客に追い付いていないのはどうしてでしょうか?

伊波貢さん「根本的な問題として、ここ数年の観光客数の伸びが急速すぎて、いわゆる需要と供給のバランスが悪い状態が続き、常に対応が後手後手に回る傾向があるためと考えられます。この5年間だけをみても、沖縄を訪れる観光客数は、毎年平均約10%ずつ伸びており、特に外国人観光客数ついては平均で49%、つまり毎年1.5倍ずつ増加しているわけです。こうした急激な変化が生じている場合には、一つひとつの課題に対応するモグラ叩きをしても、問題の大幅改善は期待しにくいと考えられます」

県は先月、2021年度までに目標とする入域観光客数をこれまでの1,000万人から1,200万人に上方修正しました。沖縄観光が次のステージに成長するためには、どういう取り組みが必要なのでしょうか?

伊波貢さん「ホテル業界等の民間企業レベルでは、既にその先の1,500万人、2,000万人を見据えて動いているようです。つまり、民間のスピードに行政対応が追いついていない状況を変える必要があります」

量ではなく、質という議論もありますが。

伊波貢さん「個人的にはいわゆる質・付加価値や儲けは民間が考えるべき課題であって、行政が空港・港・道路・バスやタクシー等の交通機関の環境を常に余裕をもって整備することが、沖縄観光の次のステージを形成していく上でとても大事なことだと考えています」

沖縄観光がさらに成長するためにはどうすればいいのでしょうか。

伊波貢さん「海外の観光地の様に戦略構築に時間とお金をかけることが大事になってきます。ハワイやシンガポールの様な観光地では、受入対応型の組織とは別に、政府観光局が存在し、民間出身のプロフェッショナル達が集まって、観光戦略の構築・企画立案にあたっています」

数字だけにとらわれずに、沖縄観光がさらに成長するためには、長期的な戦略の構築が必要ということですね。この時間は経済のスペシャリスト伊波貢さんをお招きして沖縄観光の課題についてお話して頂きました。