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突然ですがみなさん、手話であいさつはできますか。「手話は言語である」と宣言する手話言語条例が、今、全国に少しずつ広がりを見せています。沖縄県でもこの条例が間もなく成立する見込みです。きょうはこのニュースを手話通訳と共にお伝えします。

Q+リポート 「手話言語条例」制定へ

『手話を使おうものなら手を叩かれたり、顔を叩かれたり、そのような経験をされている方もいらっしゃるかと思います』

那覇市内で開かれた手話言語条例の学習会。聴覚障害者や関係者ら100人以上が続々と集まり、立ち見の人も出るほどでした。

かつては、手話の使用が禁じられた時代もありましたが、現在では、手話を言語として認める条例が各地で制定され始めています。

Q+リポート 「手話言語条例」制定へ

これまでに県レベルで条例を制定したのは、鳥取、神奈川、群馬の3県のみ。沖縄で成立すれば、全国4番目になります。条例案提案のきっかけは、去年1月、県議会がイタリアを視察した際の小学校の授業でした。

手話言語条例検討委員会・呉屋宏委員長「20名の中の一人のために手話で授業をやっているというところに、我々は本当に衝撃を受けました。そこからこの手話言語条例というのがスタートした」

Q+リポート 「手話言語条例」制定へ

学習会では、3年前に全国で最初に条例を制定した鳥取県から講師が招かれました。

全日本ろうあ連盟・石橋大吾理事「私たちはろうであること、手話を誇りに思い、聞こえる人、聞こえない人関係なく対等になった、平等な立場に立ったんだということ、日本語と手話は平等な立場にあるということに対して誇りを持っていこうということを掲げて成立の瞬間を迎えたわけです」

参加者「これから手話を言語として、手話言語条例を、自分が出来ることはないかなという風に考えていきたいと思っています。自分も活動していきたいと思いました」「4月1日からスタートする予定だという事なんですけど、やはりみんなで力を合わせてやって行けるかどうか、すごく期待をしています」

Q+リポート 「手話言語条例」制定へ

県条例の素案では、県や市町村に手話の普及に努めるよう求めるとともに、県民にも条例の理念に対する理解を深めるよう求めています。

県聴覚障害者協会・比嘉豪理事「いいねとか、だめだねとか、楽しいとか、本当に簡単な単語単語だけでいいので使っていただければ。それがきっかけとなり会話というものに繋がっていくと思うので、それを期待したいと思っています」

県聴覚障害者協会・野原龍信会長「もしこの条例が制定されれば、手話というものが今現在福祉の枠内で規定されていますけれども、言語として規定されるわけですから、その条例をもとに環境整備が進んでいくだろうということが期待されます」

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一方、条例を先取りする形で取り組みを始めた自治体もあります。那覇市消防局は今週、聴覚障害者の救急患者に対応するため、救急隊員を対象とした手話の勉強会を開催しました。

『人差し指と中指を手首につけます。建物という感じの手話なんですけど、2つセットで病院です』

参加者「安心してください(手話)、どうしました?(手話)、表情豊かにいきたいと思います」「現場でですね、聞き取れないことも過去にあったので、大変勉強になりました。今後、勉強したことを現場で活かせれば良いかなと思います」

那覇市消防局・屋嘉比勝救急課長「コミュニケーションが取りづらかったというのが実際ありまして、これを機会にですね、手話の必要性を感じました。きょう一度だけではおそらく対応できないと思いますので、今後ともできる限りやっていきたいと考えております」

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県の手話言語条例は、すでに県民からの意見を聞くパブリック・コメントも終わり、77件の意見が寄せられました。条例案提案に向けた手続きは最終段階に入っています。

手話言語条例検討委員会・呉屋宏委員長「私は入り口だと思ってる。本当に共生ができる社会というのが、将来日本が目指さないといけない世界だと思っている」

条例制定は、あくまでスタート地点。これから、この条例をどのように育てていくのかが、県民一人ひとりに問われています。

条例の学習会では、およそ50年前、アメリカ軍統治下の沖縄で風疹が流行し、およそ400人の聴覚障害者が誕生したという歴史もしっかり伝えていくべきだとの声も聞かれました。

パブリック・コメントで寄せられた意見は来月中旬に公表される予定です。「手話言語条例」は、来月28日の議会最終日に追加提案され、全会一致で可決される見通しです。