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先月政府は名護市の辺野古区など3つの区に対し、県や市を飛び越え直接交付金を投入するという驚くべき方針を決めました。異例の措置に、地元では波紋が広がっています。

Q+リポート 直接交付金 地元への波紋

先月26日、母の命日に、遺影に手を合わせる男性がいました。辺野古に住む金城武政さん。母親の富子さんは41年前、自宅で営んでいたバーで、アメリカ兵に殺されました。

金城さん「尊敬してますよ。ただやっぱりちょっと後悔してるのが、本当の孝行できなかったということですね」

金城さんは新基地建設に反対し、ゲート前での抗議行動にも参加しています。

金城さん「力を貸してほしい。見ててほしい」

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しかし皮肉にもこの日、東京で動きがありました。政府が予定地周辺の辺野古、久志、豊原の3区の区長たちを官邸に招いたのです。

菅官房長官「政府としては、3区の皆さまに、今後の生活環境の保全、生活の向上、地域の振興に関してできるだけ配慮をさせていただくというのは当然のことであると考えております」

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官房長官は3つの区にそれぞれ1000万円の交付金を直接支払うと伝えました。新基地建設に反対する沖縄県や名護市を頭越しに、小さな集落に振興費を投入するという異例の措置。そして、その理由をこう話したのです。

菅官房長官「また日ごろから国の政策にご協力いただいておりまして、条件付ではありますけれども、辺野古移設へのご理解を賜っておりますこと改めて御礼申し上げます」

まるで地元が、基地の受け入れに合意しているかのようにアピールする政府。揺さぶられる地域の水面下ではすでに、こんな動きも始まっていました。

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「あんたたちも忙しいね。一法人の総会に取材とはね」

看板には「CSS」の文字。「キャンプ・シュワブ・サポート」の略称です。

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活動の目的は、政府が行う基地関連の建設事業を地元企業にあっせんすること。実はここの運営にも辺野古の3区などが関わり、振興策をとりこぼさないよう準備を進めているのです。

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しかしこうしたリーダーたちの動きに区民が賛同しているわけではありません。実は3つの区のうち、久志区ではこれまで区民総会で、基地建設に反対する決議を出していました。

区民からは、今回官邸に出向いた区長の行動が誤解を生むのではと懸念する声もあがっています。

久志区長「納得も何もこれから調整ということですのでね。何もわからないです」

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久志区に住む森山憲一さんは区の抱える葛藤を明かします。

森山さん「これは実は今も聞こえると思いますけど、単にあそこ辺野古移設とリンクしないということだけじゃなくて、我々もうすでにものすごい基地負担してるわけです。そういう中にあって、こういうものに対する補償求めるのは当然じゃないかと。反対という決議がありながら、振興策もお願いするという形が残念ですけどできてしまった」

金城さん「それで1000万のお金で区民が喜ぶはずないですよ。これで怒りを買ってきてだんだん仲も悪くなるだろうし。もらう人だけもらってと」

辺野古の金城さん。基地がなければ、母は死なずにすんだ。金城さんは、どんな条件と引き換えにしても基地はつくらせないという思いをもっています。

金城さん「僕なんかは自分たちはメリットも考えていないから、要するに反対を貫くだけ。やっぱりだまされてきた人間がどう思うかということ。その時にやばいなと思ったときに、基地が残って騒音が残って事故が起こって。何も残らないです」