※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

11月19日の県知事選挙までちょうど2カ月。混迷を深めた野党の人選作業は統一候補の擁立が決定し、与野党一騎打ちが確定しました。超短期決戦に挑む与野党の動向を金城記者がリポートします。

11月の知事選挙。与党は稲嶺県政の継承者として自民公明が推す、前の県商工会議所連合会長の仲井真弘多さん(67)、野党は社大、社民、民主、共産、自由連合、そうぞうの6党が推す参議院議員の糸数慶子さん(58)が出馬を予定しています。

与党・米村委員長「仲井真さんの擁立を決定しました」仲井真「お受けいたします」

与党は6月、候補者選定委員会を立ち上げ、本命と目されていた仲井真さんで作業はスムーズに進むかに見えました。ところが自民党内部から、学者や経済人はもういい、政治家が選挙に出るべきだとの強硬意見も出始めました。その声に押された形で、衆議院議員の西銘恒三郎さんを推す声が高まり、人選劇は二転三転。しかし、国政に専念したいと固辞する西銘さんの意志が固いことを知った選定委員会は、知事選まで3カ月に迫っていたこともあって、結局、仲井真さん擁立決定で落ち着きました。

知念栄治座長「仲井真さんを全会一致で決定しました」

その間、選定順位でトップにあった仲井真さんは、まるでバナナの叩き売りだと揶揄し、いらだち、不満を漏らす場面もありました。しかしようやく本人に決定すると、決意を固め、出馬要請を受け入れました。

仲井真「稲嶺県政の継承発展に全力を尽くしたい」

仲井真さんの陣営は、政策立案と事務所設置など、すでに選挙態勢をスタートさせています。

野党・照屋寛徳「糸数さんの擁立を決定しました」

野党の人選作業は、目を被うばかりでした。人選作業のため、4月に5党会議を立ち上げた野党。知事選に臨む基本姿勢を確認したものの、各党、思惑が入り乱れて作業はストップ状態。これに下地幹郎さん率いるそうぞうが加わり、6者会議を構成。各党から提案された人たちに辞退が相次ぎ、結局、下地さんと県の元出納長の山内徳信さんが最後に残りました。両者による異例の公開討論会。2人の考えの隔たりの大きさに各党が混乱。

党幹部「基地問題だけの山内さんでは全県的な支援は受けられない」別の党幹部「憲法を改正して自衛軍を持つという下地さんの考えは、革新の考えとは別だ」

結局、両者で一本化は不可能となり、6者会議は分裂解消。すると、下地さん、山内さんとも出馬の意向を固め、一歩も引かない状態が続きました。

投票日まで2カ月余りに迫り、一刻の猶予もない中、社大、社民、民主が3党会議を持ち、その中で社大が、党の存続をかけて糸数さんを提案。民主も同意し、社民もまとまるかに見えました。しかし社民内部が二分。山内さんを提案したため、再び暗礁に乗り上げました。

社民は連日執行委員会を開いて議論を展開。おととい、山内さんを訪ねた照屋委員長に対し、山内さんは「護憲の党としての社民党が分裂してはいけない。私のことは私が判断する」と話しました。

これで山内さんの胸のうちを知った社民は、一気に糸数さんの擁立を決定しました。

山内さん「県民の声援に応えることができない状況が生じ、出馬の意志を断念する」

山内さんの出馬断念を受け、共産、自由連合、そうぞうも糸数さんでの一本化に同意。タイムリミット寸前で、糸数さんを統一候補とすることが決定し、糸数さんも出馬する意向を表明しました。

しかし、今回の人選過程はあまりにもお粗末といえよう。知事選に臨むに当たって、その人の基本スタンスを検討してはじめて人選のテーブルに乗せることが大事。それが、まず人ありき、そして党利党略や好き嫌いでふるいにかけ、最後はまとまることが大事へと変遷。

ボタンをかけ違えたまま走り出した政党は、一本化できたからといって、責められてもおかしくない状況にあることは確かです。しかし、与野党とも、雨降って地固まる。きょうから超短期決戦がスタートします。