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今月は食品衛生月間。各保健所では夏場の「食中毒」に注意を呼びかけていますが、この食中毒、生活環境がこれだけよくなってきた最近でも毎年発生を抑えることができないのが現状で、県内でもこの10年間でおよそ300件の発生が報告されています。

食中毒は家庭でのちょっとした注意で、発生の危険はずいぶん抑えることができるます。きょうは食中毒の予防について、比嘉雅人記者のリポートです。

目に見えない細菌やウィルスによって引き起こされる食中毒。沖縄県内ではこの10年の間に300件以上の食中毒が報告されていて、見落として報告されていないものも含めると相当な発症数にのぼると考えられます。件数は減ってきているものの、その多くは7月から9月にかけ発症していて、食中毒はやはり「夏場の怖い病気」であることに変わりはありません。

県衛生環境研究所・久高主任研究員「ほとんどの菌は35度前後という環境でもっとも活発に増殖します。今の時期はどうしても食中毒が起こりやすい時期になります」

食品などについた細菌やウィルス、これが夏場の食中毒を引き起こす悪役たちです。「生きた細菌が直接、食中毒を引き起こすもの」、「体の中で細菌が毒素をうむもの」、そして「食品の中で増殖した細菌が毒素をつくり、その毒であたるもの」の3つのタイプに分けられます。

細菌性の食中毒を予防するには3つの原則があります。食べ物に細菌をつけない、ふやさない、そして殺菌です。しかしよく言われる「火を通す」だけでは防げないこともあるのです。

県衛生環境研究所・久高主任研究員「火を通すことはもちろんとても重要なことですが、火を通す前に菌が増えてしまった場合、これを完全に殺せる菌もあれば殺せない菌もある。(菌の出す)毒が加熱では壊れない場合もありますから」

たとえばこの黄色ブドウ球菌。人の皮膚や化膿した傷にいるこの菌が食品について増殖すると、毒素を生みはじめ、その毒素は100度で加熱したとしても毒性は失われません。菌をつけない・増やさないことが重要になってくるというわけです。

食中毒を起こす細菌は一種類ではなく、それぞれの特性を理解して対処することが必要なのです。高温多湿の沖縄、人々は古くから生活の知恵で食中毒から身をまもってきました。

松本料理学院・松本学院長「たとえば魚、お刺身を頂くときはお年寄りですと必ず酢をかけてね」「一番多いの(料理法)は揚げ物ですね。このほうが殺菌効果が高いということもあって傷みにくい」「沖縄料理に揚げ物が多いのはその名残ではないかと思う」

よく加熱すること、そして、原因となる細菌をできるだけ食品につけない。これを毎日の家事で心がけると食中毒の発症をずいぶん抑えることができます。

食品に触れるものはできるだけ清潔に保つこと。まな板は特に念入りに洗い、消毒漂白剤を使うのも効果的。また、肉や魚を切るものと、野菜など生ものを切るまな板を分けることで細菌が直接食品につくのを防ぐことができます。

洗ってもつい生乾きのまま使ってしまいがちなふきん。夏場はとくに雑菌が繁殖しやすいものです。よく洗って消毒漂白や熱湯で消毒することを心がけましょう。

レジャーシーズン、楽しいバーベキューですが、このとき、生肉を触った箸やトングで、サラダやおにぎりを取ると実は危険なのです。

これはカンピロバクターという鳥などの生肉につく細菌です。これがついた食品を口にすると、細菌は人間の腸のなかで増殖し食中毒をおこします。バーベキューのとき、ついすべて同じ箸で食事をすることはありませんか?このようにちょっと油断したすきに、食中毒は忍び寄るのです。

油断といえば、身近な食材だけについ油断してしまうのが卵。卵には1000個のうち3個の割合で、サルモネラ菌がついています。白身の部分にいるサルモネラ菌は、卵黄成分にふれると爆発的に増殖をはじめます。

県衛生環境研究所・久高主任研究員「卵を室温に放っておくと黄身の膜が弱くなる。そこから卵黄成分が染み出てサルモネラが増殖する。これを生で食べると発症してしまう」

たとえ菌がついていても割ってすぐに調理をして食べれば問題はありませんが、このままの状態で冷蔵もせず、生で食べるととても危険です。卵は食べる直前に割りましょう。

目に見えない細菌が引き起こす、夏場の食中毒。清潔を第一に、正しい知識をもって予防に心がけたいものです。