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金城隆一代表「今日のコンセプトは串カツをみんなで作って食べるんですけど、お店というのはこんな感じなんだなと感じてもらいながらできればなと思っています」

那覇市が「子どもの居場所作り支援事業」として去年7月に開所したフリースペース「Kukulu」。生活保護世帯にあって不登校や非行などの課題を持つ中学生を対象にした場所です。

普段、食事が不規則な子が多いためKukuluでは昼食時間を大切にしています。この日は、飲食店を借りてみんなで串カツ作りに挑戦しました。

「頑張って仕事してるね?」Yくん「そう?たのしいっちゃたのしいかも」

金城代表「やらされると嫌だけど、これやってと言われるといやだけど」Yくん「やだね」金城代表「自分から進んで結構やってくれるんですよね。」

半年前はゲームが手放せなかったYくんは「Kukulu」に通い始めて1年。今は3台の携帯電話が彼の必需品ですが、会話も、笑顔もだいぶ増えました。

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「Kukulu」が開所して1年4ヵ月。今年、3月には1期生9人が卒業、1人は就職、8人は高校へと進みました。数か月前から新たに通い始めた子、開所から継続して通い続ける子、この場所は家庭や学校とは違う「居場所」になっています。しかし、この事業もまた、存続の危機に直面しています。

金城代表「この事業1年ちょっと経つが、今年度は予算確定していたが国の制度が変わるということで次年度未調整その分で行くとこの事業が残るのか見えない。」

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国は来年度からより多くの困窮者に支援を拡大する方針で「生活困窮者支援法」を施行。しかし、その反面、こうした事業への補助額は全て2分の1にカットされます。

那覇市福祉部保護管理課川端聡課長「財政的な厳しい状況が国から突きつけられている現状ですが、ようやく軌道に乗り始めた段階」「子ども達に対して大人が支援してきたものを一方的に打ち切るというのは、あってはならないと考えている」

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「子ども達の貧困対策」として、県内の自治体で唯一「子どもの居場所作り事業」に取り組む那覇市ですが、無料塾とは違い、目に見える成果が数字として表れにくい中、予算が次年度新たに組めるのかは、全く不透明です。

「Kukulu」には、週に一度、琉球大学教育学部の中尾先生が学習支援に入っています。

琉球大学教育学部中尾達馬准教授「一つは将来のことを考えたときに選択肢をいっぱいもっていてほしい。中学生がその後のことを考えたときに、高校進学は本当は選択肢のはず。高校以外の道だけじゃなくて高校も含めながら就職もいろいろと考えてほしい。」

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食事中、携帯電話が手放せなかったYくんも、一生懸命机に向かっていました。

少しずつ前を向いて自分の歩む道を見つけてほしい。関わる大人たちの願いが一つ一つの活動に込められています。

金城代表「そもそもここにきている子は初期の段階で非常にしんどい子が多い。しんどいけど本人が頑張ってここに通っている。そういうのは数字に表れにくい。」「1人の子が進学するまでのストーリーがこの事業の成果としてみてもらえれば」

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「Kukulu」は文字通り心の拠り所になっていることは間違いありません。子ども達がやっと見つけた光を、大人の事情で消してしまうのか、子ども達を貧困の連鎖から救い出せるのも大人しかいません。