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「噛みつかれたような痛さ」とも言われるリウマチの痛みに悩む人は、現在国内に現在およそ70万人。とくに、関節に炎症が起きて腫れが続き、関節が破壊されてじっとしていても激痛が起きる「関節リウマチ」は深刻です。

関節リウマチはなぜ起こるのか。関節を保護する滑膜が炎症を起こし、大きく腫れて関節の軟骨やじん帯を破壊し始めます。これがリウマチ。発症の原因は残念ながらまだわかっていませんが、炎症をおこした滑膜から関節を破壊する物質が出ている、ということがわかっています。

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つらい関節リウマチ。しかし治療薬の開発は日々進んでいます。関節の破壊を抑え込む生物学的製剤です。静岡市の田辺和義さんです。関節リウマチで8年前には寝たきりの状態でしたが、生物学的製剤の投与で症状は大きく改善しました。

田辺さん「リウマチにまさか私がなるとは思わなかったし女性の病気だと思ってたものですからね、まさか私がそんな病気になるとは思いませんでした」「体中の関節が、関節という関節はほとんど全部というくらい痛かったですね。“痛い”“殺せ”“死にたい”その三言しか口をついてくる言葉のなかにはなかったですね」

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関節の炎症や破壊を引き起こす物質「TNF」や「IL6」の働きを抑えるのが遺伝子組み換えで開発された生物学的製剤です。

埼玉医科大学総合医療センター 竹内勤教授「日本で承認されている生物学的製剤は4剤ありましてそのうちの3つがTNFというのを標的としている薬、もうひとつがIL6というのを標的としている生物学的製剤ということになります」

関節リウマチに関与するIL6は大阪大学の岸本忠三教授が発見しました。

岸本教授「関節リウマチというのは関節の骨膜の炎症ですね。その骨膜からは大量のIL6が出てくる。そうするとこの働きを抑えてやれば、治療に繋がるのではないかという風に最初考えたわけですね」

IL6をターゲットにする生物学的製剤「トリシズマブ」は抗体を利用した日本で初めての抗体医薬品です。

田辺さん「日本におけるリウマチの薬はほとんど試してみました。でもやっぱり良くならない。どんどん悪化していくなかで新薬に出会って今の状態は日常生活には殆ど困らない。走ったりとかいうのも小走り程度ならできるという所まで回復いたしました」

この女性はおよそ2年前、関節リウマチを発症しました。痛みで日常生活が困難になりましたが、生物学的製剤の投与で症状が解消。

「あらゆる関節が痛かったので、掃除をするにも痛いし食事を作るのも辛いし、指輪もすることができませんでした。今では全てのことが何不自由なくできるようになったので幸せです」

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薬の効果は高く、発症から2年以内に投与を始めた場合、患者の5割から7割で症状の進行が止まり検査値も正常に戻る、いわゆる寛解を実現しました。さらに別の生物学的製剤に切り替えると効果が出たケースも確認されていることから、生物学的製剤を投与してリウマチ症状が改善される割合はさらに増えるとみられています。しかし一方、薬代は保険の三割負担でも月に4〜5万程度かかり肺炎などの感染症にも注意が必要なので、実際に投与する場合は専門医とよく相談した上で始めることが重要です。

開発が進むリウマチ治療薬。IL6をターゲットにした日本の生物学的製剤はことし1月ヨーロッパでも承認されました。リウマチ患者の生活を大きく変える、治療薬の開発。早期発見・早期治療を心がけたいものです。

開発の進む治療薬ですが、やはり早期発見で早めに投与することが早く症状を改善するポイント。女性に発症することが多く30代から50代が発症のピークと言われています。朝起きたときに関節にこわ張りがあって動かしにくかったり腫れている、という方は検査を受けた方がいいかもしれません。