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4月から一部スタートした障害者自立支援法。障害者の支援制度として設けられていたこれまでの支援費制度に変わるもので、障害の種別に関わらず、福祉サービスが一元化されたことや就労支援が盛り込まれたことなどのメリットがあります。しかしその一方でサービスの1割が当事者の負担になるなど、自立に逆行するとの指摘も多くあります。

現在。各市町村では、10月からの全面施行に合わせて、サービスの支給量を決定するための認定調査を進めています。

現行の支援費制度でも十分な介助を受けられていない状況の中で、10月以降どれだけのサービスが支給されるのか、果たして、自立生活を維持していけるのか、不安を抱える当事者を取材しました。

宜野湾市に住む大城渉さんはおととしの春、大学への入学をきっかけに、宜野湾市内のアパートで1人暮らしを始めました。それまで、病院での生活を余儀なくされてきました。トイレやお風呂、食事など、人間の尊厳に関わる部分も全て決まられた時間に行わなければならなかった渉さんにとって、自立生活は長年の夢でした。

大城渉さん「これまで施設では自分で決めて、行動ができなかった。自立して、自分で色々選択して、それを自分で決めることができるので、その点は自立して良かったと思いました」

渉さんはキンジストロフィー中でも進行性の速い、ドゥシャンヌ型と呼ばれる重度の障害を抱えています。

首から下は殆ど身動きができないため、自立生活とはいっても、トイレやお風呂、食事など生活全般に渡って介助が必要です。

この他、痰の除去や、就寝時には自発呼吸が難しくなるため、呼吸器を装着しなければなりません。呼吸器がはずれると命の危険にもさらされる為、ヘルパーも朝まで付きっ切りの介助となります。つまり、生きていくために24時間に渡る介助が必要とされるのです。

今、渉さんが市から受給されている居宅介護の時間は月に315.5時間。1日に換算すると、10時間弱。足りない分は実費負担で介助派遣を利用しています。これは、渉さんのひと月の生活に掛かるお金の内訳です。

障害基礎年金1級と特別障害者手当てを合わせた、109,000円が生活費となりますが、これから家賃、光熱費、食費、日用品、そして支援法の施行に伴う1割負担7,500円がひかれます。更に、実費負担で利用している介助料金97,000円を差し引くとなんと、月々8万円あまりのマイナスとなってしまうのです。

この状況を打開したいと、渉さんは市に対して介助時間数を上げてもらえるよう再三申し入れていますが、なかなか増やしてもらえないのだといいます。

渉さんの自立を見守ってきた自立生活センターの長位さんも現在の状況には大変厳しいものがあると話します。

長位さん「何ひとつ自由に手が動かせるわけではないし、電話が出来るわけじゃない。24時間は贅沢だって役所はいうんですけれども、彼には必要だって思います」

渉さん「僕は300時間では、なかなか、自分の生活が厳しい」

この日渉さんは、名護市内にある自立生活センターが開く勉強会に参加しました。それぞれ抱える悩みを打ち明け、自立支援法とどう向き合っていくか共に考えようという場です。

障害者自立支援法の施行までの移行期間となる現在は、これまでの支援費制度で支給されている介助時間がそのまま適応されていますが、介助時間の不足を訴える人は多く、自立支援法施行に伴う新しい支給決定がどうなるのか危機感を募らせている状況です。

この会の代表を務める比嘉さんも、常時呼吸器を装着する重度の障害を抱え、24時間の介助が必要であるにも関わらず、介助時間が全く足りていない状況。1割負担に加え、足りない分のサービスを実費で負担する生活は困窮を極めているのだと話します。

幸喜さん「命の補償なくして、どうやって私たちは生活していけるのだろうか。私たちも義務として1割負担するのであれば、24時間必要な介助も必要な方には提供していただきたい、というのが私たちの願いです」

こちらが、各市町村が行っているサービスの支給量を決定するための認定調査の流れになります。1次判定として、106項目に及ぶ、心身の状況に関する聞き取り調査があって、この結果を元に、医師の意見書や当事者個別のニーズを記した特記事項も勘案した2次判定の審査会を行い、障害の程度区分を認定。いくつかの過程を経て、最終的に支給量を決定するというものなんです。

本施行まであと1ヶ月と迫っている中、実はこの調査県内ではまだ、半分程度しか進められていない状況でして、十分な審査もなされないまま、支給決定が下されるのではないか。そして、当事者のニーズにどれだけそくしたものになるのか、今、大きな不安材料となっています。

障害者が地域社会で暮らす。それを支える為の自立支援法でなければなりません。その為には、障害を抱える当事者だけでなく、社会全体が関心を寄せることが求められます。