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2022年沖縄市で、警察官が当時高校生だった男性の右目を警棒で失明させた事件をめぐり、7月13日県議会は、約8800万円の損害賠償金を支払う和解議案を可決しました。

男性は、和解には応じるものの損害賠償は加害者の警察官が負うべきだと主張しています。

この事件は2022年1月、当時宮崎県警から出向で沖縄警察署に勤務していた男性警察官が、沖縄市でパトロールをしていた際に、バイクで通りかかった当時17歳の高校生だった男性を制止させようと右目に警棒を当て、眼球破裂による失明などの大けがをさせたものです。

この男性警察官は業務上過失傷害の罪で起訴され、那覇地裁は警察官の過失を認定し罰金100万円の有罪判決を言い渡し2024年1月に刑が確定。県は、治療費を含む損害賠償8780万円あまりを支払うこととする和解議案を県議会に提出し、13日全会一致で可決されました。

14日会見を開いた男性の代理人弁護士は県の対応を評価した一方、男性が、加害者の警察官に賠償責任を負わせることを強く望んでいることを明らかにしました。

一方で法律では、公務員が公務中に与えた損害は国や県などが賠償することになっていて、事者に直接請求することは困難として、県に対し今回支払われる賠償金を加害者の警察官にも請求できる「求償権」を行使するよう求めました。

県警はこれまでに当時、男性が暴走行為などはしていなかったとしていますが、ネット上では、男性への事実無根の誹謗中傷が多数あるとして、弁護士側は今後、法的な手続きも視野に対処していくとしています。



全文 沖縄県議会の可決を受けて、元少年のコメント

令和8年7月14日

昨日、沖縄県議会で、沖縄県が私に対して損害賠償金を支払うことが可決・承認されました。

令和4年1月27日の事件から4年半の年月が経ちました。この間、刑事事件では、那覇地方裁判所において、令和5年12月25日、加害警察官に対して罰金100万円の支払いを命ずる判決があり、確定しました。

私がバイクを走行させていたところに、物陰から突然飛び出してきた加害警察官に警棒で殴られ、右目失明等の重傷を負ったという事案に対し、罰金100万円の刑はあまりにも軽いと感じました。

私は、民事訴訟を提起し、加害警察官がやったことをきちんと明らかにしたいという気持ちもありました。

しかし、代理人を通じた沖縄県との協議の中で、沖縄県が私の過失などを主張せずに全面的に請求を受け入れたことから、私の主張が認められたものと受け止め、民事訴訟は提起せず、和解に応じることとしました。

ただし、本来、損害賠償については加害警察官が責任を負うべきものです。これまで加害警察官は、賠償責任を何ら果たしていません。私は、沖縄県には、加害警察官に対して求償権を行使し、少しでも加害警察官に責任を取らせることを強く要望します。

沖縄県から賠償金の支払いがあったとしても、私の右目が元に戻ることは一生ありません。一生、私の日常生活や仕事に大きな影響を与えるだけでなく、右目の義眼に違和感を持つ人もいるでしょうから、人間関係にさえも影響を与えることがありえます。

事件が発生した当時から、私が警察官の制止を振り切って逃走しようとした、暴走行為をしていた、ノーヘルだった、無免許だった、盗難車だった、など全く事実とは異なることを前提として、私を非難するインターネット上の書き込みが多数ありました。

先日、沖縄県との和解について報道された際にも、未だに誤った事実に基づいて私を非難する書き込みが多数ありました。なぜしっかりと事実確認をせず、誤った情報や憶測をもとに被害者である私を非難するのでしょうか。

私は、このような書き込みを見ることで、とても傷つけられています。報道機関の方々にお願いがあります。今回の議会の可決・承認について報道をされるにあたっては、読み手が分かるように、上記のような事実が誤ったものであることを改めて報道してくださいますよう要望致します。



全文 沖縄県議会の可決を受けて、代理人弁護士のコメント

令和8年7月14日

昨日、沖縄県議会で、沖縄県が元少年に対して損害賠償金を支払うことが可決・承認されました。 沖縄県は、賠償責任を全面的に認め、元少年側にも過失がある旨の主張、すなわち過失相殺の主張は一切しませんでした。このような沖縄県の態度は、元少年の損害と名誉の回復に寄与する真摯なものであったと評価します。

他方で、元少年の代理人弁護士は、県側の代理人弁護士との協議において、沖縄県が加害警察官に対して求償権を行使することの約束を要望しました。

しかし、沖縄県は、そのためには求償権の範囲等を検討する必要があるとして、協議条項の中に求償権の行使を盛り込むことは受け入れませんでした。

国家賠償法1条1項は、公務員が人に損害を加えたときは、国又は公共団体が賠償する責任を負うとしており、最高裁判例は、公務員が公務中に損害を与えた場合、被害者へ直接の個人責任は負わないとしています。

そのため、元少年が加害警察官に対して直接損害賠償請求をすることは困難です。

加害警察官の刑事裁判の判決は、「警察官として同車及び被害者との接触を避けるべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、漫然、同警棒を持った右手を同車で走行中の同人の前方に差し出した過失により、同警棒を同人の右目付近に衝突させ(た)」、「被告人の上記過失はそれ自体がバイクの運転者に対する重大な傷害結果を生じさせる蓋然性が高い危険なものである上に、警察官に課せられた基本的な注意義務に反する重大なものである。また、そもそも被告人が通達等で定められた装備資機材を正しく活用しないまま警戒活動にあたったことも本件に相当程度寄与したといえるのであり、この点も被告人に対する非難を高める事情といえる。」と厳しく批判しています。

にもかかわらず、同判決の結論は加害警察官を罰金刑に処するにとどまったため、加害警察官が免職されることはありませんでした。

加害警察官がした行為の悪質さや元少年に生じた結果の重大さに照らせば、加害警察官は、自ら、民事上の責任を果たすべきです。元少年及び代理人は、沖縄県に対して、今後、加害警察官に対して適切に求償権を行使することを強く求めます。

本件事件が発生した当初より、元少年が警察官の制止を振り切って逃走しようとした、暴走行為をしていた、ノーヘルだった、無免許だった、盗難車だった、など全く事実とは異なることを前提として、元少年を非難するインターネット上の書き込みが多数ありました。

先日、沖縄県との和解について報道された際にも、未だに誤った事実に基づいて元少年を非難する書き込みが多数ありました。明らかな二次加害です。

今後、上記のような誤った情報や憶測に基づいて元少年を非難、誹謗中傷する書き込みがあった場合には、毅然として対処をしていきます。