沖縄の今を見つめるIMAGINEおきなわです。今回は、歯科診療に注目します。誰もが等しく歯の治療を受けられる世の中を目指して北部地区で実証実験が始まっています。
ひで歯科クリニック、名護市字伊差川514、ことしで開院13年目。
ひで歯科クリニック金城英典院長「(北部地区は)医療機関が脆弱なので需要と供給のバランスが悪い」「歩いて病院に行けない、歯科は諦める人が多い」
北部地区の歯科医療の現状について話すのは、名護市で10年以上歯医者を経営する金城英典医師。こちらのクリニックでは、月に1000人以上が通院し、中には、国頭村や離島の伊是名村から通う患者もいます。
瀬底島から通う患者「瀬底島から母に送迎してもらって来ています」「自分の家の近くにあればありがたいですが、自分でケアできない部分が大きいので定期的に診療に来て治療していただけるのがありがたい」
金城先生は「歯医者へ容易に通えない人を救いたい」と、3年ほど前から訪問歯科にも力を入れています。
ひで歯科クリニック金城英典院長「口から全身を支えるという意味で、歯科、特に在宅医療訪問診療はすごく重要になってくる」
県の資料などによりますと、国頭村や石垣市北部地区など、歯医者がない、または容易に歯科診療を受けることができない無歯科医地区は県内5市町村、12地区にのぼっています。また、与那国町や津堅島などで暮らす人は、歯医者に通うために島の外へ出なければならないなど、厳しい現状があります。
山城アナウンサー「こうした現状を変えるかもしれないのが!こちら動く歯医車『オーガイ』です。中では歯の診療に、このような入れ歯をつくることもできるんです」
オーガイHD野田真一社長「歯医者へ通えない人や、そもそも近くに歯医者がない地域あとは災害時にそういう技術が届かない現状がある。そういう方々が来られないのであれば車ごと歯医者ごと技術を運ぶというコンセプトで作った」
「どこにいても、誰にでも届く歯科医療」を目指して、デジタル技術を乗せた車両の中で検診や入れ歯を作ることができます。この日は、名護市のスーパーの敷地内でオーガイを体験してもらうイベントを開きました!
体験した人「こういう過疎地が増えていくからそういう部分では理にかなったサービスだと思う」
オーガイHD副社長 長縄拓哉歯科医師(日本遠隔医療学会 歯科遠隔医療分科会 会長)「きょう検診してみて、そんなに重症な方や、悪い方はいらっしゃらなかったんですけど、ここ(モニター)で可視化することができるので、機動力を生かして私たちが見つけに行って、介入していくことが医療に離島やへき地では必要になる」
翌日、走る歯医車は名護市の高齢者施設にやってきました。金城先生の訪問歯科先の施設に入れ歯を作り直す必要がある患者がいたため、オーガイと連携し、入れ歯作りに取り組むことになったのです。
「あ~ 噛んでください」
98歳の金城輝子さん。診察の結果、下の総入れ歯を新しく作ることになりました。
金城輝子さんの娘さん「入れ歯が割れたんですね、それで急遽お願いした」「(入れ歯が)ないとダメですね。歯がないと、私の歯がない歯がない、もう一日でもないとダメです」
午前8時35分、入れ歯の型取りがスタートしました。
ひで歯科クリニック 金城英典院長「認識しやすくてすごいやりやすい」「(器具が)めちゃくちゃ軽い」
オーガイHD野田真一社長「すごく上手にスキャンしていたので流石だと思った」
センサーで読み取った口の中のデータは、すぐさま県外にいる歯科技工士のもとへ。設計が完了すると、車内で入れ歯の3Dプリントが始まりました。
その間に!希望した人の口腔内をスキャンし、データを取ることに。そうすることで、入れ歯を紛失してもすぐ手元に届けることができるといいます。データの保存期間は基本1年、予備の入れ歯を作る需要も高いそうです!
およそ50分後。なんと、入れ歯ができていました。この入れ歯で、ご飯を食べられるのでしょうか?果たして、
金城輝子さん「おいしい」
ひで歯科クリニック金城英典院長「人材不足や需要と供給が合っていないところを、こういったデジタルテクノロジーで補完していくことで、今まで手が回っていなかったところに手が届くようになると思うので、どんどん普及させていきたい」「ね、野田さんが!」
オーガイHD野田真一社長「我々だけではできないので、地域の先生と手を取り合って課題を解決していくのはすごく重要なので、我々はあくまで縁の下の力持ち!主役は先生方!」
歯医者へ自力で通えない人のもとへ、最先端の技術が出向く。これからの時代求められる医療のカタチです。
金城輝子さん「上等!最高!」
食事までできる入れ歯が数時間でできるなんて画期的ですね!
山城アナウンサー「今回できたのは、仮の入れ歯(仮義歯)数週間かけて、より歯に近い状態に調整したものが来月中旬に輝子さんに届けられるそうです。注目すべきは、問診から3、4時間で入れ歯ができるという点です。通院の手間や時間が圧倒的に短縮されます!従来だと数週間はかかっていました」
山城アナウンサー「歯医者へ容易に通える人でないと、歯が痛くても我慢していたり、合わない入れ歯でご飯を食べ続けている人も少なくありません。だからこそ、そうした地域へこちらから出向いていくオーガイのような訪問診療が今、必要とされています」
山城アナウンサー「金城先生によると『スキャンしてプリンターで義歯をつくるのは新しい技術。従来は、こんな短時間で作れない.この技術を車に積んで僻地などへ行けることがすごい』と話していました」
車ごと来てくれるだけで、おじいちゃんやおばあちゃんはもちろん、送迎するご家族の負担や不安もグッと減りますよね。
山城アナウンサー「そうですよね、将来的に車での診療も保険収載を目指して全国各地で実証実験に取り組んでいて、実績をつくりなんとか形にしたい!と野田社長は話していました」
山城アナウンサー「今月から3か月間、名護市で検診の実証をし、入れ歯製作に関しては来年からの稼働を目標にしています。今後、離島での展開も期待されています!」
以上、IMAGINEおきなわでした。
