日米両政府が、普天間基地の返還合意を発表して今月12日で30年となりましたが、その間にも軍用機が絡む事故が基地周辺で起きてます。
きょうは、宜野湾市で「平和で安全な空を取り戻す」取り組みをしている母親たちにスポットを当てます。
「こんなのがいっぱい来ます」
普天間基地の危険性を訴える人々に届く誹謗中傷です。母親たちの活動は9年目になりました。
住宅地に囲まれる普天間基地周辺では、アメリカ軍機が住宅地の上空を飛行し続けています。政府は唯一の解決策として強行する名護市辺野古の新基地建設工事の完成は、2030年代とされています。
また近年、アメリカ軍関係者が辺野古新基地の滑走路が短いと指摘し、完成後も普天間基地を使用するすべきという論文を出したほか、国防総省が公文書で「代替施設では能力が不足するため、代替となる長い滑走路が選定されるまで普天間飛行場は日本側に返還しない」との見解を示しています。
政府は返還について問題はないとしているものの、依然として具体的な見通しは立っていません。
返還合意から今月12日で30年、この間沖縄国際大学のヘリ墜落事故・ヘリの窓が普天間第二小学校のグラウンドに落下する事故など、基地周辺ではアメリカ軍機の事故が起こってます。
文部科学省担当者「(米軍機の飛行が)まだ収まらないということであれば、そういった危険時の避難という教育は必要ではないかなと」保護者「避難?普天間第二小学校は避難が必要?」
普天間基地周辺に住む与那城千恵美さんは「子どもたちの頭上を米軍機が飛ばないよう」訴え続けています。きっかけは2017年、子どもの通う宜野湾市内の緑ヶ丘保育園の屋根からアメリカ軍のヘリの部品が見つかったことです。
子どもの上に落ちていたらと危機感を持った当時の保護者らは「せめて学校や住宅地の上空は飛ばないでほしい」と、毎年政府への要請を行っています。
日米地位協定の運用について話し合う「合同委員会」のとりきめでは、ヘリやオスプレイの訓練の飛行経路は決まっていて、窓が落下した普天間第二小学校やヘリの部品が見つかった緑ヶ丘保育園は飛ばないことになっています。母親らは毎年東京での政府要請で、防衛省の担当者に飛行経路が守られていないことを訴えます。
要請「防衛省さんでは把握されているじゃないですか、普天間第二小の上も、緑ヶ丘保育園の上も、それを申し入れているだけですか?米軍に」「正直に申し上げると申し入れているだけ」「だからひどくなるんじゃないですか?」
しかし、いつも返ってくる回答は「アメリカ側に申し入れをしている」というのみで、現状が変わったとは感じられていません。
今月2日、県内の高校生に依頼され、緑ヶ丘保育園を案内しました。
当時の保護者 宮城智子さん「(園児が)外に出ようとしているところにバーンと落ちてきたって(職員が)いっていました、ここの下で靴をはいている子どもたちがいたりしたので、本当に子どもたちに当たらなかったのは奇跡だなと思っています」
さらに用意したスライドやクイズで基地周辺の実情を伝えます。
質疑応答 高校生「(保育園の落下物は)米軍のものかもしれないけど、空から落ちたかわからないという言い方をしていたと思うんですけど、謝罪とかも何もなかった?」
与那城さん「認めてないので、落としてないって言っているので謝罪もないし、司令官に会いたいと申し入れをしたんですけど、落としてないから会う理由がないと、あってもらってもいない」
高校生「落下物とかもきょう初めて知ったこともたくさんありましたし、今からでも自分たちにできることを探して迅速に取り組んでいきたいと思いました」「今日実際普天間基地の周辺とかをフィールドワークで散策してみて、コドソラさんの話を聞いてみて、子どもたちの教育に(米軍機の騒音のせいで)格差が出ているなと感じました」
活動を続ける与那城さんには、大切にしているものがあります。子どもたちと過ごす時間です。ごはんを食べながらきょうあったことなどを話します。
長女「忘れ物が多かったり」
子どもたちの前では「おっちょこちょい」だという与那城さん、活動を続けるなかで「あるもの」を身に着けるようになりました。
与那城さん「かぶるとガッと思いが入るというか、思いが自分の中に」
子どもたちが安心して過ごせる空になってほしいという活動の原点を形にした「小鳥の帽子」です。これをかぶり、不安や緊張のなかでも子どもたちを思いながら、要請や講演活動に臨んでいます。
ただ、活動で忙しくなるなかで、母親としての心苦しさも感じることもあると話します。
与那城さん「私は子どもたちのためにやっているけど、子どもたちにさみしい思いをさせてまで、私はやらないといけないのとか、ずっと葛藤でやってきたから」「お母さん話聞いてって息子がいったけど、ごめんごめんあとでねって言ったときに、息子が『お母さん話聞いて』ってめっちゃ泣いたんですよ、小学1年生の時に、それを今でも忘れられなくて」
子どもたちはお母さんをどう思っているのでしょうか。
長男「僕は今のままでいいかなって、今のままが一番ちょうどいいというか」長女「頑張っているな、と思います」
子どもたちに安全な空を取り戻す、与那城さんの活動は続きます。
与那城さん 活動の理由「ちゃんと子どもたちが、あなたは守られている存在なんだよ、大人たちが守っている存在なんだよと、子どもたちに直接伝えたことはないけど、そういう思いでやっています。あと子どもたちが大人になった時に、私たちみたいな活動をしないように」
以上「検証 動かぬ基地」でした。
