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沖縄の「今」を見つめる「イマジンおきなわ」です。沖縄市の東海岸で埋め立てが進む泡瀬干潟について取材しました。泡瀬干潟には多くの絶滅危惧種の生きものや保全すべき環境がありましたが、いま現在はどんな様子なのでしょうか。

春、潮の干満差が大きく、干潮時の浅瀬の海には人々が繰り出し「浜下り」を楽しむ姿が見られます。

しかし、戦後、特に沖縄本島周辺の浅瀬は多くが埋め立てられ商業地や住宅地となって消滅、沖縄本島東海岸の泡瀬干潟も滞在型観光地を目指したまちづくりの計画のため埋め立て工事が始まってから15年ほどが経過しました。

大規模な埋め立てなどの事業が行われる際には、その工事が環境に与える影響を事前に調査し評価する「環境アセスメント」が実施されますが、殆どの場合最後は「(工事の)実施に伴い生じるおそれのある環境影響はないものと判断しています」と締めくくられます。

果たして本当に「環境に影響はない」のでしょうか。

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

写真家・小橋川 共男(こばしがわ・ともお)さん「今から26年前から泡瀬干潟に関わりました、その間に悪い意味での変化がどんどん起こりました」

この日、集まった15人ほどの人々が参加したのは「泡瀬干潟を守る連絡会」が開催した干潟の調査と観察会です。連絡会は埋め立て事業の発案当初から、干潟を保全しようと反対運動や訴訟を実施してきました。

泡瀬干潟を守る連絡会・前川 盛治(まえかわ・せいじ)さん「薄いブルーは昔、全体的に(クビレミドロが)生育していた。現在いるかどうかわかりません」

調査の目的は「クビレミドロ」です。

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

「海のマリモ」とも呼ばれる非常に珍しい植物で、県の絶滅危惧種1類に分類されています。沖縄本島以外では確認されておらず、本島内でも数箇所しか見られません。そのため、工事が始まってからも実施される「環境監視委員会」のなかで継続調査が行われていますが、その個体数は徐々に減ってきています。

そのクビレミドロがどういう状況なのかを調査・観察に行きました。

写真家 小橋川 共男さん「この砂の上に小さな砂粒がいっぱい点々とある、カニの仲間たちが出てきて、そこでごはんを食べた証拠です」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

写真家の小橋川さんは、泡瀬干潟の生きものたちの姿をカメラに収めてきました。そして2008年に「こんにちは泡瀬干潟」という写真絵本を出版。本には多くの生きものたちの息遣いがあふれ、彼らに対する優しい眼差しが満ちていましたが。

写真家 小橋川 共男さん「ミナミコメツキガニがね、いっぱい遊んでいたところです。餌場だった、でもこっちはもうまったく見えなくなった」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

ミナミコメツキガニやトカゲハゼといった多くの生きものたちは姿を見せなくなったと話します。いっぽうクビレミドロをさがす前川さんは。

泡瀬干潟を守る連絡会 前川さん「あまりいないんですよね、これがクビレミドロです。こういう風に点在しかしていない、大きな集合ではない」

それでも何とか小さな群落を見つけ、参加メンバーが手分けして写真を撮っていきました。

そのうちバラけて自由に干潟観察を楽しみ始める参加者たち。

沖縄市から参加した男子中学生「友達に誘われて、めっちゃ楽しいです」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

北谷から参加した女性「こんないいところがあるって、しかもこうして無くなろうとしているって、そんな勿体ないって思いますよね」「(工事で環境に影響は)あると思いますよね、どう考えても」

泡瀬干潟を守る連絡会・前川さん「みんなの調査の協力のお陰で大まかな状況がわかりました」

約1時間半の干潟観察とクビレミドロの調査を終えました。

参加者女性「希少生物ということで見ることができて良かったなと思うのと、守っていかなきゃいけないものだなって」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

参加者男性「探して探して、ぽつん、ぽつん、ぽつんとしかないので、これ相当危機的な状況じゃないかなと思いました」

参加者女性「泡瀬のこの埋め立てがされている事に違和感があった、いま内地にいるんですけど、帰って来るたびに変わってきているなというのがあって」

参加者の海人男性「泡瀬干潟は素晴らしいと話は聞いてるんだけど、初めて干潟を見に来た」

参加者男性「今日初めてこんな生きものを観察するんだなとわかって、生きものが好きな孫を誘って」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

参加者男性の孫「クビレミドロという生きものがどんなものかわからなかったけど、特徴や埋め立てが関係して生息域や個体数が減少していることが知れたのでためになりました」

中学生「ぜひまた参加したいです」

参加者女性「毎年生き物がどんどんいなくなっている、海岸線の砂もみんな削り取られている、どうなるかと心配」

泡瀬干潟を守る連絡会・前川さん「何で減っているのか、もっと根本的に原因を究明してほしい」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

前川さんは新聞にクビレミドロの保全について記事を寄せていますが、今のところ効果的な対策はとられていません。

写真家 小橋川 共男さん「(私も泡瀬干潟のこと何ひとつ知りませんでした)ここで自分なりに学んだ、財産がいっぱいできました。工事で埋め立てて何をするかもわからないこういうひとつのあり方についてもおかしいと思うし」

沖縄市議会議員・桑江 直哉(くわえ・なおや)さん「生きものの種類とか数が減っているのは凄く感じます」

桑江さんは25年前、QABのリポートに登場していました。

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

沖縄市議会議員・桑江 直哉さん(2001年)「ここは多分箱舟だと思う、最後の干潟だと思う。だからこの干潟を残すことで沖縄の色々な生物を守ることができるんじゃないか」

「やっぱり全体的に劣化したというと申し訳ないけど、長年の埋め立ての影響で少しずつ生物の種類も数もどんどん減って」

泡瀬干潟を守る連絡会・屋良 朝敏(やら・あさとし)さん「心配しているのは渡り鳥、エサがあるから来るわけだから(環境が)劣化してエサがなくなったら、ムナグロとかわーっと群れて飛んでいた時期があった、ああいう光景はとっくになくなっている」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

泡瀬干潟を守る連絡会・前川さん「昔ね泡瀬干潟で命を救われたという人たくさんいますよ、終戦後はいろいろなものが採れたので泡瀬が私たちの命の恩人だという人もたくさんいますよ」「どうすれば干潟が守れるか、みんな知恵を出さないといけな」

写真家 小橋川 共男さん「この地形がまだ馴染んでいないし、これ(環境)が安定するのにまだ30年40年かかると思う、その時まで残念ながら見られないので、見てみたいなとは思いますけどね、どうなっているかね」

#IMAGINEおきなわ vol.97「泡瀬干潟の今~絶滅危惧種クビレミドロをさがせ!」

本当に「環境に影響はない」のか、それは未来に持ち越された課題なのです。

泡瀬干潟、辺野古、那覇空港。こうした大規模な埋め立て工事で「陸地化」した場所には大概、サンゴ礁や海草藻場が広がっていて、それは「美ら海沖縄」の原風景だったはず。工事の際に「埋め立てられ消失する場所からサンゴや海草は移植するから大丈夫(環境に影響なし)」と、実際、移植は行われましたが、移植されたサンゴや海草の10年後生存率は「ほぼ0%」に近いのを知る人は多くありません。

この泡瀬干潟沖の埋め立て開発計画は1987年から始まっていて、今回取材した「泡瀬干潟を守る連絡会」が結成されたのは2001年。ことし1月に会のの前川さんと小橋川さんは83歳に。

QABでは2001年から泡瀬干潟の取材のようすが残っていて、取材ディレクターは過去のニュース映像を見返し、連絡会の人々や取材記者などが「みんな、若いな!」と感じたそうです。

小橋川さんが「こんにちは泡瀬干潟」では、ファンシーなポエムを生きものたちに語りかけているのがギャップ萌えする、この写真絵本は県内の図書館にあります興味ある方はさがしてみてくださいね。那覇市立図書館・県立図書館には在庫あり確認済です。