経済的な理由で進学をあきらめる若者が今も少なくありません。そんな中、夢をあきらめないという思いを支えようと励んでいる大学生がいます。彼女が向き合うのは、かつて自身が通っていた無料塾です。
無料塾エンカレッジ、経済的に厳しい家庭の子どもたちが無料で通える塾です。夕方、中高生たちとカードゲームを楽しむのは大学3年生の西平彩珠(にしひらあじゅ)さん。西平さん自身もこの塾の卒業生です。
西平彩珠さん「今どこの長さを求めたい?EとFと同じ場所どこだ?そうそうそうそう」
自分が支えてもらったように、今アルバイト講師として子どもたちに寄り添っています。西平さんが無料塾と出会ったのは中学2年生ときでした。
西平彩珠さん「ずっと母子家庭だったので、大学に行くお金がないというのはうすうす感じてて、お母さんたちが言いはしないんですけど、あんまりお金はないんだろうな、とかっていうのはすごい感じてて」
そんな時、無料塾の先生から「奨学金という道がある」と教えられました。
西平彩珠さん「高校でも奨学金が受けられるよという説明会があって、そこから自分にも大学進学できるんだっていう視点が広がって、大学進学を決めました」
将来の夢は高校教師、無料塾で働きながら給付型の奨学金の支援を受け大学に通っています。
西平彩珠さん「眠いね、眠いね、頑張れそう?あと4分出来たんじゃない?」「ひとりひとり個性とか特性とかも全然違うので、同じような関わり方しても心を開いてくれなかったりという面が自分が働いてみて感じた」
しかし3年生の後期から奨学金の給付が止まることを知らされ、不安が広がっています。
西平彩珠さん「後期からは親の収入の関係で那覇市からの奨学金が受け取れないというところで、自己負担額が3分の2程度が出るというので、金銭的にちょっと不安はありますね」
西平さんの家族は、母一人子一人の2人暮らし。これまでの世帯所得で奨学金を受けていましたが世帯収入が上がったことで給付が受けられなくなったというのです。
給付停止の要因が最低賃金の上昇分の影響ではないかと専門家は指摘します。
島村教授「生活保護の基準額、生活扶助といいますが、それの1.3倍をめどにしてそれを計算した。それを上回った場合奨学金を停止するというのがおこる」
生活保護の基準額が大きく上がらない一方で、最低賃金の上昇が続いている。今回のように奨学金が突然対象外になるケースで学びをあきらめてしまわないように柔軟な施策が求められています。
西平彩珠さん「奨学金ってやっぱり親の収入の影響で本人が受け取れる金額が決まってしまうので、そういう奨学金よりは、私自身のがんばりとかも認めてもらえる奨学金があればすごい助かるなって思います」
ここからは、取材した比嘉記者とともにお伝えします。比嘉さん、なぜ給付金が止まることになるのですか?
比嘉記者「こちらをご覧ください。現在、ひとり親家庭の西平さんは世帯収入では給付金が受けられる世帯だったんですね。それで、世帯収入の基準がおよそ206万円という基準があって、この基準を今回最低賃金があがったということで世帯収入が上回ってしまって、給付が受けられなくなってしまいました」
自治体としては、暮らしぶりがよくなったという判断なのですか?
比嘉記者「あくまで給付対象の基準を上回ってしまったということで、今回給付の停止になりました。今の基準が実態の生活基準に追いついていないということがわかりますよね」
比嘉記者「最低賃金が上がっても、物価も上がっているので暮らしがよくなったわけではありませんよね」「逆にこれまで受けられていた給付が無くなったというのは、給付分、西平さん世帯ではおよそ30万円を工面しないといけないということになります」
負担が大きく大変ですよね。
比嘉記者「島村先生は那覇市が自治体として給付型の奨学金を設けているということはとてもすばらしい取り組みであると前置きしたうえで、世帯収入の基準をもっと広げるか、個々のケースに応じた対策対応が必要なのではないかと話していました」
「経済的不安で途切れてしまわないよう『学び続けられる仕組み』づくりがいま求められています」
QABでは未来を担う子どもたちの進学支援することを目的にした「羽ばたけQごろ~募金」を行っています。「羽ばたけQごろ~募金」は、広く県内の個人や、企業、団体などから募り、ひとり親家庭で大学や専門学校へ通う子どもたちへ送られます。皆さまの暖かいご支援、よろしくお願い致します」
