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町長は、配備容認の考えを示しています。2026年度、陸上自衛隊・与那国駐屯地に配備が予定されている「対空電子戦部隊」について、防衛省は2025年12月4日の夜、住民説明会を行いました。

4日の住民説明会には、町民およそ100人が参加し、そのなかで防衛省の担当者が、南西諸島の防衛力強化は喫緊の課題だとしたうえで、2026年度、新たに与那国駐屯地に対空電子戦部隊を配備すると説明しました。

対空電子戦部隊は、敵の航空部隊が侵入してきた際に、特殊な装置で電磁波を出し、相手のレーダーなどを妨害する部隊で、担当者は使用する電磁波の周波数について総務省の電波防護指針に基づき、人体や携帯電話などに影響はないと話しました。

そして配備は、住民や国を守るための抑止力だと強調しました。

しかし、参加した住民からは、防衛省に対して部隊の配備について説明会だけでは不十分との声や、また、配備が検討されている中距離地対空誘導弾部隊について、生活が脅かされると不安の声が上がりました。

参加者は「軍備を拡大すればするほど、私たちは緊張にさらされています」と話しました。

別の参加者は「中国側からした場合に、これはけしからんということで、与那国に一発落とされたらみなさんどうします?与那国の人間は全員死ねってことですか」と話しました。

他の参加者は「(電磁波が)人体に悪影響がないという基準がとても甘い、例えばEUと比べて甘いという認識はあるのでしょうか」と話しました。

説明会後に取材に応じた与那国町の上地町長は「私の選挙の前に決まっていたことで致し方ない」と部隊を容認する考えを示しています。



与那国島で住民説明会/部隊強化に住民は?


「与那国駐屯地に対空電子戦部隊配備へ/住民説明会で不安と疑問の声相次ぐ

ここからは、きのうの住民説明会を取材した濱元記者です。防衛省が、与那国駐屯地に配備を予定して「対空電子戦部隊」とは、どのようなものなのですか?

濱元記者「はい、対空電子戦部隊は、その名の通り空からの侵攻に対応することを想定して編成された部隊です。例えば、空で広範囲の監視や指揮、管制などを行うための軍用航空機・早期警戒管制機に電磁波を使って妨害することで相手の行動を低減・無力化することを任務としていて、来年度配備するとしています。これに伴い、駐屯地の隊員の数も30人増えて270人となるということです」

説明会で示された部隊の機能増強について、住民から、どのような意見があがったのでしょうか?

濱元記者「参加した住民からは『自衛隊が家族とともに島に住むことで地域の活性化を期待する』という声も聞かれましたが、電磁波への安全性を疑問視する声や、『有事が起こった際に島の人は安全に避難ができるのか?』『自衛隊の配備などは住民投票をして結果を踏まえて決めてほしい』『配備や機能増強のリスクについての説明が不十分』『自衛隊員と関係者が増えることで島の自治が変わっていかないか』『住民ではなく国土を守る配備ではないか』などと、不安の声が多くあったように感じました」

国は、有事が想定されるとして配備は「抑止力」になると説明していますが、今後もこのような動きが続くのでしょか?

濱元記者「防衛省が与那国島に今後、地対空ミサイル部隊の配備も検討しているように、部隊の機能増強とこれまで以上に訓練が拡大されることも予想されます」「説明会では、担当者が駐屯地の外での訓練も行うことがあると説明し、住民の生活に影響が出てくることも考えられます」

「国の防衛という重要な問題だからこそ小泉防衛大臣も話していたように『理解を得るためのきめ細やかなコミュニケーション』が必要なのは明らかです」

「今回、挙がってきた住民の声を国はしっかりと拾い、対応していくことが求められています」