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今を生きる私たちが、沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINEおきなわ」です。コロナ禍で、改めて浮き彫りになった子どもの貧困問題。ある女性が、「自分たちに何が出来るのか?」模索した結果ひとり親家庭で育った人にハタチの節目の記念写真を贈るプロジェクトを立ちあげました。

これから「ハタチ」になる人たちにつなげたい!撮影現場の様子やプロジェクト立ち上げた女性の思いを取材しました。

勤め先の介護施設で、振り袖姿を披露する女性。シングルマザーの彼女は、当初、振り袖を着ることをあきらめていました。

上地恵里さん「妊娠してお金もかかってくるだろうし今後のことを考えてできないかなと」

経済的な理由で、人生の節目に振り袖を着ることができない…そんな若者のために、大人たちが、自分の技術をもちよって、無料で二十歳の振り袖写真を撮影する取り組みが始まっています。

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト

『振り袖プロジェクト』です。

上地恵里さん「みんなの協力があって、こういう感じで成人式を迎えられたので、なんかもっともっと思い出に残りました」

振り袖プロジェクト 主宰 新垣華さん「みんなが持ってる技術を少しだけ、本当に少しだけ持ち寄るだけで、一生に一度のね、思い出に残る最高のプレゼントができるんだったら」

振り袖プロジェクト 主宰 新垣華さん「これがもうちょっと入っているといいね、見えないように」

着付け師の新垣華さん、1年半前に振り袖プロジェクトを立ち上げました。きっかけは、コロナ禍で浮き彫りになった子どもの貧困問題です。友人が子ども食堂をひらくなど、率先して行動していたこともあり、華さんも、自分ができることを模索するようになりました。

振り袖プロジェクト 主宰 新垣華さん「私これを思ったのがなんかね、若い頃とかに、みんなでね、遊びに行こうって言ったときに、やっぱ誰かしら、今日お金がないとか、特に女の子とかだったら、何か今日かわいい服がないとかっていうねことがあったと思うんですけど、そういうときに、“は、じゃあ自分が貸すよって”。そこにいた誰ひとりいなくなることなく、みんなで楽しく過ごせたんですよね。でもじゃあ、人生に一度の成人式で、どうしてそれが叶わないんだろうと思ったときに、これだと思って」

自分の着付けの技術と、ヘアメイクができる人、撮影ができる人が集まれば経済的に困っている新成人に振り袖の記念写真をプレゼントできる、と確信した華さんは、SNSを通じて仲間を募ります。

すると…

打合せやりとり華さん「沖縄はもしかしたら里帰りしているときに撮られたりするんじゃないかなとかって思ったりする」

プロのカメラマンや美容師たちから次々と協力の申し出が!

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト

フォトグラファー 西村由依さん「華さんの(SNSの)ストーリーをみつけて、私自身母子家庭で育って、たくさんの人に今まで協力してもらったりとかして、たくさんの経験して、ここまで育ってきたので、次は私が大人になって、次は私が次世代の人たちに貢献できるようにできたらいいなと思って、やろうと思いました」

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト

写真家 栗山泰輔さん「人生の節目である20歳だったり、そういうときの写真をなんかあのときはこうだったなとか、ああいう大人たちがいるってすごいことだったなとか、少し振り返ってもらえたら、すごいうれしいなと思って撮ってます」

SNSを通じて撮影を依頼した彩華さん。振り袖プロジェクトは、ひとり親家庭で育った人などを対象に、無料で実施するものですが、主催者の華さんは、応募者にひとつだけ、お願いしていることがありました。

カメラマン「こんにちは」

彩華さんの母「あはははは。私も撮っているんですか?」

カメラマン「お母さんですか?」

彩華さんの母「はい、そうですー」

カメラマン「今、なんか着てるところらしいので」

彩華さんの母「裸でも出てきてくれてもいいけど」

カメラマン「地元で撮るのであれば、当たり前に付き添えたり、気軽に一緒に行けるけど、離れているじゃないですか、来てって、本人から言われたんですか?」

彩華さんの母「来れるって聞かれたんで、私もやっぱり一生に1回ですし、撮りたいっていうのもあったんで、どうにかして絶対来ようと思って」

カメラマン「この取り組み…は、えっと、何だろう、できれば大切な人と一緒にその日を迎えれるようにっていうのをなんか、心がけているみたいなんですけど…」

彩華さんの母「私がシングルになって、さびしい思いとかいっぱいさせたんで、できるだけ、今、好きなことさせてあげたいし、そういう風に大切な人って思ってくれているのは、すごく私もうれしいですし、私も大切な娘なんで、こんなぐちゃぐちゃになっちゃって」

カメラマン「だけど、カメラはちゃんと持ってますね」

彩華さんの母「そう、だって、(娘が)出てくると思って。」

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト

着付けが済むと、いよいよ撮影です。華さんは、今、振り袖プロジェクトを県内各地に広げたいと考えています。この日は、恩納村の老舗リゾートホテルを訪ねました。

振り袖プロジェクト 主宰 新垣華さん「シングルのご家庭に育ったお子さんを対象にですね、成人式の写真撮影等を無料で提供して、生涯一度のプレゼントをしてあげてるっていう活動してるんですけど」

ブライダルフォトで人気の場所を、無料で使わせてほしいとの相談です。

ムーンホテルズアンドリゾーツ 嘉手納傑務さん「ちょうどこのポトスのカーテンが囲むようにしてできてますので、ここでそのグリーンをバックに、振袖の写真と一番よろしいかなと」華さん「すごい、浮かびます」

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト

ムーンホテルズアンドリゾーツ 嘉手納傑務さん「新成人の門出を祝ってあげたいという気持ちなんだろうなというのがすごく伝わってまいりましたので、私どもとしてもそちらに共感をして応援したいというふうに思っております」

“振り袖を着たい人に、着せてあげたい”華さんの心意気から生まれた振り袖プロジェクト。縁もゆかりもなかった人たちが集まって作る二十歳の節目は、いつも笑顔であふれています。

振り袖プロジェクト 主宰 新垣華さん「こういう拠点が沖縄のいたる所にあったら、もう着れない子なんかいなくなるんじゃないかなって思うぐらい。それこそ、本当に、そんなあったかい場所がなんだろう、街中にできて、それを何十年後も何か、スタンダードとか当たり前としてある未来になっていてほしいなって」

IMAGINEおきなわ vol.14 二十歳をカタチに!振り袖プロジェクト